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「小さくなるまちづくり」を考える③

 前回は、具体的な「小さくなるまちづくり」の実現方法として、「家」に関する自分の考えをまとめました。
 今回は、「食」に関してまちづくりにおける役割等を考えます。

目次
・食べきれない量と安過ぎる作物
・まちの人々が食べる分を、まちの人々でまず作る

○食べきれない量と安すぎる作物
 以前、テレビで珍しい野菜を栽培している農家の方を取材した番組があり、その中で「普段スーパーで目にする野菜は、農家から市場に出すと1箱で数十円の売り上げにしかならない」という話をしているのを見ました。値段が安すぎてしまうのは、同じ時期に同じ野菜が大量に生産されてしまっているためです。そして、日本では食べきれずに捨てられている食料も、毎年何万トンも発生しています。
 つまり、「現代の日本では、特に作物について食べきれないほどの量を生産して、かつ価格が安すぎてしまっている状態」にあるといえます。これは、資本主義における成長促進のおかげでもあります。多くの人に充分すぎる量の作物を供給でき、かつそれが低価格であるという環境をつくることができたからです。ただし、作物を作っている生産者にとっては、資本主義の理論で考えると苦しい立場にある労働者であり、生活が難しくなってしまっています。

○まちの人々が食べる分を、まちの人々でまず作る
 そこで、ちいさくなるまちづくりにおいては、この作物の生産をまちの人々で協力して行うようにします。資本主義の成長とは真逆に、縮小を受け入れるまちづくりでは、作物の生産も資本主義の考えに沿って行うと損にしかならないからです。
 人々が、自分たちにとって必要な量をつくることは資本主義とは異なり、成長する必要はありません。すでに、たくさんの量を作る技術はありますから、そこから充分な量を作ればよしとする考え方になります。

 次回は、ちいさくなるまちづくりにおける課題について考えてみます。

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