夫婦の役割

人生で行き詰まった時、ある尊敬する方から聞いた夫婦のお話です。

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旦那がどうしようもない酒飲みで、奥さんが大変な思いをしていた。旦那の収入が少ないのと、給料が全部酒に消えてしまうので奥さんも働いていた。その中で奥さんは家計をやりくりして、今のお金で100万位になった。

その貯金を知った旦那は、酒に酔うとその金を奪おうと今度は暴れるようになった。奥さんは旦那が酔って帰ると窓から逃げ、真冬でも裸足で逃げ出していたそうだ。奥さんは大変困って、ある方に相談に行った。

「あなたは旦那さんに酒をやめてほしいと思いますか」と聞かれ、当然その通りだから「はい、そうです。」と答えた。

「では、自分の命とそのお金とどちらが大切か。」と聞かれ、

奥さんは「自分の命だと思います。」と答えた。

「だったらそのお金を旦那さんに渡して、好きなだけ飲んでもらいなさい。」とその方がおっしゃった。奥さんはとてもつらいけれど、泣く泣く、言われたとおり旦那に金を渡した。

後日、その報告に奥さんが来て、

「お金を渡して、”これで好きなようにお酒を召し上がってください。”と言いましたら、”それはお前が持っておけ”と言われました。以来お酒を飲みすぎることがなくなりました。」ということだった。

これには後日談があり、今度は旦那がその方の家に来て、

「女房から話を聞きまして、こちらでお話をされて、すっかりいい女にしていただきました。」

「以前は冷酷な女でしたが、最近では情の深い優しい人間になりました。」と報告して帰って行った。

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上のお話は、二人とも真実を語っていて、どちらの話も事実だそうです。

私もよく夫のマロと喧嘩をしますが、自分本位になっていると、いつまでも話は平行線のまま、ものすごいエネルギーを使って、お互いヘトヘトになります。しかも得るものは何もない・・・！！こちらが我を張ると、向こうも絶対２倍我を張る！！わかってても同じことをくり返してしまうのです。

言われるがままにするのはちゃんちゃらオカシイ話ですが、相手と意見が合わない、平行線のままの場合、絶対にこちらの意見を変えたくないのですが、相手を変えようとするのではなく、自分が変わってみると、思いがけずいい回転が始まっていきます。

しかーし！！上の話の奥さんも然り、自分が変わるにはものすごい時間と恐怖が伴います。何で私が謝らないといけないんだ！！向こうが絶対間違っている！！って嵐が自分の中で吹き荒れます。ハリケーンです、ハリケーン！守っていた大事なものが粉々散り散りになって、お山の向こうに飛んで行くイメージです。全て自分が負をおっ被さります。涙の決意がいります。

でも、大切な人との意見が割れる時、なぜうまくいかないのかをよくよく考えてみると、自分が役割をちゃんと果たしてないという事実がそこにはないでしょうか。

上の夫婦の話だと、最初は二人とも、夫婦としての自分の役目を果たしてなかった。それが、悲惨な状況を生んでいたそうです。

旦那は自分を嫌う奥さんを辛く思っていたし、奥さんは暴れる旦那に困っていた。だからまず奥さんが変わり、自分の全てを旦那に捧げる覚悟を決めた。それはものすごく辛い選択だったでしょう。必死に稼いでも全て旦那の酒代に消え、暴力を振るわれていたわけですから。しかし、実際は死ぬような決意が旦那を変え、旦那は、そのお金を寄越すということがどれだけの心なのかわかり、家族の絆を感じ、自分も変わったそうです。

自分が変わるのは簡単なようで、とっても難しいです。でも、自分以外に軸を置くと、ずっと苦しみながら我を張って生きているより、ずっと楽になることがあります。友達関係、職場、全て同じだそうですよ。