見出し画像

塩谷哲 with ソルト·ストリングスコンサート2020がすごすぎた

2020年11月27日(金)
銀座ヤマハホールにて

正直、塩谷哲さんをピアニストとして知っているという程度でした。仕事でいろいろ疲れまして、音楽で癒されたい!と思って衝動的に行きました。

で、楽しかったり癒されたり感動したり、そしてちょっとした衝撃を受けました。

何か言わずにはいらなくなったので、書いてしまいます。

1 編成

ピアノ(塩谷哲)、ヴァイオリン(藤堂昌彦、徳永友美)、ビオラ(岡さおり)、チェロ(結城貴弘)、コントラバス(井上陽介)

クラシック色が強い、品のある編成です。コントラバスが入ることで音域だけでなくリズムが厚くなる?のか、ジャズっぽさとカッコよさが増しています。

2 高度なテクニックと集中力

ここがイチオシ。おそらくかなり恵まれた才能ある人たちが、相当な時間をかけて練習をし、ものすごく難しい曲を究極まで磨き上げた、という演奏。そこまでやらないと形にならないような難しい曲かもしれません。演奏中の、一音たりとも外さない、それもいい音で!とでもいうようなすさまじい集中力と気合いに圧倒されました。

特に「Tango Fugata」(ピアソラ)とか「Rondo」(塩谷哲)とか、本当にすごかった。

3 湧き上がるグルーブ感

それぞれが持つリズム感なんていう言葉では足りないグルーブ感が、一体となったり、自由になったり、でも常に統一感があって。リバーダンスを思い出しました。この上品なホールと編成ながら、ライブハウスでジャズを聴いているような、うねるようなグルーブ感を感じて心が高揚しました。

4 美しい音で奏でる歌

そして何より音が美しい。この楽器で出る一番いい音をだけを出しているとしか思えない。難しい曲を弾き続けているのに1ミリも雑な所がない。その研ぎ澄まされた音で奏でられる、心を揺さぶられる歌。塩谷さんの、音楽だけでない、哲学のような生き方のようなものまで伝わってきました。

「Beauty and Brilliance」「Earth Beat」(塩谷哲)では涙が出そうでした。

5 曲間のトークが面白い

さらに、曲の合間のトークが本当に面白いんです。高度な演奏の間は、メンバー同士で冗談を言い合って、客席からはずっと笑いと拍手。高度な演奏を披露する塩谷さんとメンバーがトークで見せるのんびりなごやかな雰囲気のおかげで、リラックスして聴くことができたと思います。塩谷さんのような上司についていきたい(笑)。

楽しいトークと、磨き上げられた演奏。最高のエンターテイメントでした。

6 アマチュアながら楽器の演奏について考える

この域まで到達するのに、一体どれだけ努力したんだろうか、才能があってもここまでやるんだと、ただ趣味でピアノを弾いている身ながら心が痛くなりました。

どんなに難しくてもすべて正確に一番いい音で演奏し、そこに歌や思いまで入れて、聴いている人を楽しませることまでが可能なんだなあと。

もちろん才能も経験も使える時間も環境も違うから、結局できることしかできないのですが、練習の優先順位というか、技術不足なりの作戦というか、これから3月の本番はどう仕上げるべきかとか、今後何を目指してピアノを弾くのかとか、2時間の間、素晴らしい演奏を聴きながら、ものすごくいろいろ考えてしまいました。

7 最後に

今回、東京はコロナ感染者が増えていたので、もしもコロナに感染したり、しなくても濃厚接触者になったら、どれだけ非難されるかと最後まで迷いました。結局、決死の覚悟で一番厳重なマスクをして(笑)一切外さない、誰とも話さないと心に決めて行きました(なおコンサート会場の対策は万全でした)。
でも行った甲斐がありました。心が癒されるどころか、エネルギーをいただきました。ありがとうございました。