【図解】直近10年で伸びた市場に学ぶ、ビジネスアイデア⑰〜ワークマン〜

こんにちは!
JAFCOインターンの加藤です。

本日は以前投稿したワークマンの記事をまとめてみました!

1.ワークマンの事業内容

ワークマンは主に作業現場での作業服や安全靴などを販売する会社です。ビジネスモデルとしては以下のようになっています。

ワークマンビジネスモデル

ワークマンはフランチャイズ展開を行っています。フランチャイズ加盟店に対し、商品の供給や販売方法、運営ノウハウなどの提供をする代わりにロイヤリティを受け取ることで収益を得ています。

フランチャイズストアと直営店の店舗数、売上高は次のようになっています。

ワークマン内訳

直営店がわずか45店舗に留まり、ほとんどがフランチャイズストアであることが分かります。売上についてもフランチャイズストアが全体の93.5%と大半を占めています。

なお、ワークマンの売上高は、直営店での売上と、フランチャイズストアへの商品供給売上ロイヤリティの受け取りその他営業収入の合計で構成されています。そのためワークマンの売上高と直営店、フランチャイズストアの売上高の合計は一致していません。

ワークマンの商品別売上比率は次のようになっています。

商品別売上ワークマン

ワーキングウェアが31.2%と最も高く、続いて作業用品(25.6%)、履物(15.6%)となっております。仕事場での使用を目的とした商品の売上が特に多いことが分かります。

2.業績分析

ワークマンの株価は次のようになっています。

株価推移ワークマン

2018年頃から伸び始め、一時期は2012年から約20倍にもなっております。

次に売上高について見ていきましょう。

売上高推移

毎年少しずつ伸びていましたが、2018年頃から急激に伸びていることが分かります。2020年には1000億円の大台に乗せています。

競合他社と比較してみましょう。

売上高成長率ワークマン

他社と比較しても、安定的に売上を伸ばしていることが分かります。

営業利益率推移ワークマン

営業利益率も非常に高い水準を維持しています。2018年以降は20%超となっており、高い収益性を誇っていることが分かります。

このようにワークマンは近年業績を大きく伸ばしています。売上高と営業利益率を同時に伸ばしているという点が大きなポイントです。

3.ワークマンの強み

①ブルーオーシャンの発見

元々ワークマンの強みとして、服の機能性の高さがあげられました。しかし、高価格かつ機能性重視となると、競合が多く、ブランド力が必要でした。一方で、リーズナブルかつ機能性重視となると、ライバルはおらず、4000億円規模の空白市場となっていました。ワークマンはそこに目をつけ、2018年にアウトドア向けの店舗として「ワークマンプラス」の1号店を出店しました。

図

「ワークマンプラス」は一般的なワークマンと販売している商品は同じですが、照明の変更や陳列の工夫などで見せ方を変える「空間戦略」を行うことで、一般客の増加に繋げました。製品の数を増やさずに客層拡大を実現していることもポイントの一つです。

②データ経営

ワークマンには加盟店を回るスーパーバイザーがいます。彼らは販売状況や顧客の変化を把握しており、ワークマンは現場での判断をスーパーバイザーに委ねています。そしてその結果を本部に上げることで、本部ではその判断が1店舗のみに通用するのか、あるいは地域全体や全店舗でも通用するものなのかを判断しています。

ワークマンには5400ほどの製品が存在しますが、1店舗に陳列できるのは1800ほどであり、何を陳列するか判断する必要があります。現場のスーパーバイザーは各店舗のデータを取って回り、検証を繰り返しながら陳列する商品の最適化を行っています。また、店舗発注の完全自動化やデータを駆使したSNS販促の向上にも取り組んでいます。

③しない経営

ワークマンでは「余計なことをしない。仕事を絞って、成果の出る仕事だけをする」というものを大事にしており、社員にストレスを与えない、ワークマンらしくないことはしない、価値を生まない仕事はしないとしています。具体的には、ダントツな製品以外作らない、広告はイベントやアンバサダーのSNS拡散による販促に集中させる、といったものが挙げられます。ワークマンは広告費0を目指しており、テレビ番組への提供を打ち切っています。

このようにワークマンは空白市場を発見し、既存の製品をスライドさせ、「データ経営」と「しない経営」により、効率的に客層と売上の拡大を行っていることが分かります。

4.これからの展望

①国内アパレル市場の今後

国内のアパレル市場は少子化に伴う人口減少により、年々縮小しています。バブル期には15兆円だった国内のアパレル市場規模は現在約9.2兆円となっており、2030年には8兆円ほどになると言われてます。また、近年の消費者はデザイン性よりも機能性を重視するようになり、客単価も下がっている傾向にあります。この傾向が続く限り、国内アパレル市場はますます縮小に向かうと考えられます。
一方で、ワークマンは機能性の高い製品を販売しているので、需要が著しく小さくなるとは考えられず、他のアパレル企業が苦戦する中で生き残っていくのではないかと考えられます。

②ワークマンの今後

Amazonをはじめとする大手ネット企業の参入により、小売業で打撃を受けている企業は少なくありません。しかしワークマンはEC販売は導入しているものの、Amazonのように家に直接郵送するわけではなく、「店舗在庫」による「店頭受け取り」を軸としたECサービスを展開しています。理由としては、在庫の最適化と配送費の削減が挙げられます。消費者にとっては、わざわざ店舗まで行かなくてはならないので多少不便さはありますが、消費者により安く提供できるという利点もあります。「しない経営」というポリシーがここにも表れていると感じます。これが吉と出るか凶と出るかは分かりませんが、このような一貫したポジショニングはさらなる飛躍の可能性を感じます。

5.まとめ

-ワークマンはフランチャイズ展開をしており、ここ10年で売上を約2倍の1000億円に伸ばした。
-ワークマンは既存製品をアパレル市場向けに販売することで、機能性×低価格という独自のポジショニングに成功し、客層の拡大につなげた。
-現場を重視する「データ経営」と、余計なことはしない「しない経営」を軸に、より収益性の高い経営を可能にした。
-縮小する国内アパレル市場において、今後も生き残っていくと考えられる。

今回ワークマンを調べてみて、フランチャイズ展開であることや「しない経営」など、非常に興味深いなと感じました。今後どのように成長していくのか目が離せませんね!

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