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Forbes Japanが選ぶ「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」のキャピタリストのキャリアまとめ

「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」をご存知でしょうか。毎年秋にForbes JAPANはより発表され、10人の国内のキャピタリストが選出されています。
本記事では、そんな日本で活躍するキャピタリストたちはどのようなキャリアを辿っているのかを調査しました。
将来的にベンチャーキャピタル業界への進むことを検討されている方に向けた調査になります。

過去には、上場ベンチャーのCOOやCFOのキャリアもまとめているのでご覧ください↴

目次


本記事の調査概要

日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキングについて

フォーブス ジャパンは、日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)の協力のもと、会員企業にアンケート調査を行い、その回答から「日本版MIDAS LIST」を作成した。2017年11月から18年10月の1年間におけるIPO(新規株式公開)、M&A(合併・買収)によって得たキャピタルゲインが対象。

具体的には、IPOによるキャピタルゲインは保有株式を初値で売却した金額(公募売り出しの場合はその金額)から投資金額を引いて算出。M&Aは支払いが確定している金額に限定し、アーン・アウト(将来の業績に応じた支払い)による支払い金額は含まず、投資金額を引いた。
注:回答が得られなかった投資家についてはランキング対象外とした

引用:日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング BEST10

調査の対象

対象:Fobes Japan「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」2019から2024の受賞者48名(複数回受賞あり)
2019:https://forbesjapan.com/articles/detail/24985
2020:https://forbesjapan.com/articles/detail/30869
2021:https://forbesjapan.com/articles/detail/38387
2022:https://forbesjapan.com/articles/detail/44535
2023:https://forbesjapan.com/articles/detail/52235
2024:https://forbesjapan.com/articles/detail/67451

調査概要

所属するベンチャーキャピタル

受賞したキャピタリストが当時所属していたベンチャーキャピタルをまとめました。複数人受賞者を輩出しているのはジャフコ、UTEC、SBIインベストメント、グロービス・キャピタル・パートナーズ、三菱UFJキャピタル、インキュベイトファンド、STRIVE、INCJの計8社でした。

公開情報をもとに著者作成

※受賞時の所属先を計測/複数回受賞者のうち転社している場合はそれぞれ1人と計測

複数回受賞者

2019年から2024年の間に、ランキングに複数回登場していたキャピタリストは10名でした。そのうち、特に以下の3名のキャピタリストは3度にわたりランキングに登場しています。

坂本教晃氏
2020年6位、2021年3位、2023年2位を記録

東京大学経済学部卒業後、経済産業省入省。2008年経済産業省退官、流通事業会社の副社長を経て、コロンビア大学経営学修士(MBA)。McKinsey & Company を経て、2014年8月にUTEC参画。日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)企画部長。

UTEC HPより引用

田中正人氏
2019年5位、2020年4位、2022年8位を記録

2007年SBIインベストメントに入社。2022年7月オリックス・キャピタルに入社。
投資歴15年の中で14社のIPO企業を輩出。その他、スタートアップ2社の経営、EXITを実現した経験あり。
主な担当投資案件:ビジョナル、BASE、ANYCOLOR、ミンカブ・ジ・インフォノイド、RPAホールディングス、リネットジャパン、ギックス、シェアリングテクノロジー、オルツなど。

オリックス・キャピタルHPより引用

郷治友孝氏
2020年7位、2023年8位、2024年3位を記録

1996年4月通商産業省(現経済産業省)入省、『投資事業有限責任組合法』(1998年制定)を起草するとともに、関連する会計制度・税制の企画及びファンドパフォーマンス計測に関するレポートの企画立案を行う。また、中小企業技術革新制度(日本版SBIR制度。『新事業創出促進法』(1999年制定)の一部として)を起草。その後、文化庁、金融庁を経て、2004年4月UTEC共同創業に当たり退官。東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、東京大学博士(工学)。日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)会長。

UTEC HPより引用

2回ランキングに登場したキャピタリストは、今野穣氏(2019,2022)、小沼晴義氏(2020,2023)、村田祐介氏(2019,2024)、松本祐典氏(2022,2024)、細野尚孝氏(2019,2021)、赤浦徹氏(2021,2024)、高宮慎一氏(2019,2021)の7名でした。

出身業界

公開されている情報を元に、各キャピタリストの出身企業や業界を調査しました。ベンチャーキャピタルには新卒で業界に入り活動される方と別の業界から転職して活動される方両方が存在しますが、今回対象となった48名のうち、別業界の企業や組織での就労経験が確認できたのは27名でした。
ベンチャーキャピタル以外の業界での経歴を持つ人は多く、特に以下のような業界に多いことが明らかになりました。

著者作成。キャピタリストの出身業界のうち、2名以上確認できたものを集計

圧倒的にコンサルティングファーム出身が多く、ついで銀行や証券といった金融業界、そして官公庁となっています。
コンサルティングファームの中でも、三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)出身者が仮屋薗聡一氏、堤達生氏、渡辺洋行氏の3名、アーサー・D・リトル出身者が安西智宏、高宮慎一の2名となっていました。
また、官公庁は、2名(坂本教晃氏、郷治友孝氏)ともに経済産業省出身でした。
この他、事業会社、監査法人、商社など多様なバックグラウンドの方がVCに転職し活躍されています。

MBA保持者

ビジネス分野でのキャリア形成に活用されることが多いMBAですが、ベンチャーキャピタリストの中にも何名か保持者がいることがわかりました。
47名の対象者のうち、MBAを取得していることが確認できたのは以下の7名です。
・仮屋薗聡一氏 米国ピッツバーグ大学MBA
・坂本教晃氏 コロンビア大学経営学修士(MBA)
・河原三紀郎氏 Northwestern大学Kellogg School of Management (MBA)
・浅海治人氏 早稲田大学ビジネススクール修了
・高宮慎一氏 ハーバード大学経営大学院MBA修了
・郷治友孝氏  スタンフォード大学経営学修士(MBA)
・濱田壮彦氏 ニューヨーク大学(MBA)
・湯浅 エムレ 秀和氏 ハーバードビジネススクール卒(MBA)

おわりに

本記事では、ベンチャーキャピタリストとして活躍されている方のキャリアについて複数の切り口で考えてまいりました。6年分のランキングを参照し、48名の受賞者がいる中で10名のキャピタリストが複数回受賞していることが明らかになりました。
また、VCへの転職という観点では、前職がコンサルティングファーム、特にアーサー・ディ・リトル、そして三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)出身者が多いことが特徴的でした。
ベンチャーキャピタルへのキャリアを検討されている方の参考になっていれば幸いです。

※公開情報をもとに筆者が作成した図版について、切り抜き等やスクリーンショット等、無断転載はご遠慮ください。
※2024年6月12日時点の情報に基づいて執筆。
※本記事の内容の一部は、信頼できると考えられる公開情報に基づき作成しておりますが、その正確性を保証するものではありません。また、記載した見解は、必ずしも会社の立場、戦略、意見を代表するものではありません。掲載された内容によって生じた直接的、間接的な損害に対しては、責任を負いかねますので、ご了承ください。

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