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精聴リスニング授業実践

最近実践しているリスニング授業の手順です。生徒は夢中で書いたり話したりします!使用教材は共通テストの問題集を想定しています。

i. 素材の選択

学習時期によって解かせたい共通テストの大問は異なるかと思います。例えば品詞を学んだら、内容語(名動形副)と機能語(代助be前)の強弱を意識したいですね。従って品詞導入時は短い英文を細かいところまで聞き取ることが必要と考えています。どうせ聞こえない関係詞や接続詞なんかも良い素材です。従って共通テストだと大問1,2あたりがいいです。

ii. 解く

ターゲットにする問題が選択できたら、生徒に解いてもらいます。出来は問いません。なんとなく解けた問題も復習するという思考手順を身に付けさせたいので、必ず問題を解いてもらいます。

選んだ素材が問題でない場合にも、何かしら課題を考えるとよいです。「何の文法に気をつけるべきか」「応答を考えてもらうからしっかり聴いて」などとプラスアルファの課題があると集中して聴いてくれます。

問いの答えをいつ教えるのか、という問題があります。私の場合、すぐ教えてしまったり、聴き取りの練習後に考え直させたり、ターゲットによっていろいろです。

iii. シャドーイング

人間は自分に発音できない音は聞き取れないようになっていると言われます(発音完璧でなくても語彙力や文法知識で補完できる人もいる事実もありますし、この事実は大切)。なのでまずは謂わゆるシャドーイング(聞こえたまま真似る)練習をします。1度シャドーイングしたら、割合として何%くらい口真似できたか記録させます。これ重要です。

iv. ひたっすら書き取り

謂わゆるディクテーション(聞こえた英文を書き取る)をします。以下が通常の手順。再生する回数は全部で10回。まず5回ほどポーズ無しで連続して再生します。グループで答えを話し合い、更に話し合いを挟みながら5回聴いてもらい、答えを修正した後に答え合わせ。

この時、速度が大切です。教科書の英文は大抵遅いので、(生徒の習熟度にもよりますが)wpmが150以上になるよう調整します。NaturalReaderというWebアプリを使うと簡単に調整できます。前半は速く再生して、最後の方だけ元の速度で再生すると、生徒は「共テおっそ」と言ってくれたりします。

NRでリスニング素材作ろうぜ
https://note.com/jadoeigo/n/n2a484e99ef9a

v. 話し合い

書取りの途中、グループで相談してもらいます。話し合いながら素材文の精密な復元を行う活動です。グループで決めたWriterが書き、Moderatorが話を振ってグループの答えをまとめていきます。

グループワークでは100均で買えるA3くらいのサイズのホワイトボードや、大きな移動式黒板やボードを使います。タブレットやPCがあれば、WebアプリのCanvaやJamboardなどを用いても良いです。いずれにせよ英文を見て話し合える環境を作ることが大切です。

ここで大切なのは、聴こえたことの復元をする際に語彙、文法、発音のクセといった知識をフル活用してもらうことです。聴き取れなかった部分に語法的に何が続くのか、前置詞の後ろだから名詞なはずだとか、コツを伝えると話し合いがそのような流れになります。文法や語彙の指導とのつながりを意識してもらえるのでぜひ行いましょう。

実はこの知識が、発音が完璧でなくても聞こえるための補完役にもなるのですね。発音が苦手でも、知識を極めれば通用するぞ、という自信も大事にしたいものです。

vi. 弱点分析

話し合いと書き取りが終わったら、解答解説を確認してもらいます。その時、なぜ聞き取りづらかったのかを分析させると良いです。

解答の英文を見た時のリアクションは2つ。①読んでも分からない か、②読めばわかった のどちらかです。それぞれ印をつけて意識をしてもらいます。

読んでも分からないの要因は、語彙力/構文把握力不足。解説を読むか聞くかして理解してもらいます。②読めばわかった 発音練習不足です。

①にせよ②にせよ、とにかく発音練習が大切です。

vii. 発音練習

以下の手順で練習。一つひとつあまり時間をかけないのが大切。②は特に教員は語りたがるので要注意。一言でよい。

① 速音読
 まずは口慣らし。細かく考えずに読みます。自分の発音しづらい箇所を印つけしながら。

② 発音のポイント確認
 発声、強弱、音変化、間違えやすい母子音、発音の難しい単語を発音しながら確認。①で印をつけたところを回収できるように。

③ コーラスリーディング
 ②を最終チェック。

④ Read Look up and Say
 この後の「試合」のために練習。時間の許す限り。

⑤ 速音読対決
 速く発音し終えた方が勝ち、という「試合」です。2回勝負!

⑥ シャドーイング
 wpm150や元の音声の1.3倍など、とにかく速い音声をシャドーイングします。最低2回はやります。

⑦  元の速度でシャドーイング
 「おっそ」という声が聞こえます。

最後に、何%くらいシャドーイングできたかを意識してもらいます。ここまでやればiiiで行った最初のシャドーイングで記した%より数値が上がっているはずです。その数値変化が成長を表します。

ここまでが手順

長ーく見えますが、大体40分くらいで終わります。それほどかかっても、飽きずに取り組んでくれる授業です。もし参考にしていただければと思います。

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