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あなたは羊ですか、人間ですか?

小話「魔術師のたとえ」に思うこと

 以前、ギオルギィ・イワノヴィチ・グルジェフの「魔術師のたとえ」という小話を紹介しました。

 つくづくこの小話は、人間の置かれた状況を的確に描いていると、感じます。

 その思いは強まりこそすれ、弱まりません。

 そんなことを考えていたら、こんな話がムクムクと湧いてきました。

( ・∀・)=グルジェフ

( ´∀`)=弟子

( ゚Д゚)=精神科医

街中羊だらけ!!

 ( ´∀`)グルジェフ先生のいう「魔術師のたとえ」、本当に、その通りだな~。

 弟子はそんなことをつらつら思いつつ、街を歩いていました。

 ふと顔を上げると、弟子は驚愕しました。

 そこには、人間の衣服を着て、スマホをいじったり、電話したり、ショッピングをしたりする羊がたくさんいたからです。

 まるでこの動画のようです。

 (; ´Д`)あわわ。つ、遂に、幻覚を見るようになってしまったのか。

 弟子は驚愕し、わが目を疑いました。

 目をこすって、もう一度、じっくり見ても、そこには、自分は人間だと思い込んでいる羊しかいませんでした。

 そう、あの小話にあったように、魔術師に「お前は人間だ」と催眠術をかけられた羊のように。

師の応答

 不安が高じて、弟子は、師のところに行きました。

 (; ´Д`)先生、先生!!

 ( ・∀・)どうしたね?弟子君。そんなに息せき切って、走ってきて。

 グルジェフ先生は、「この世には、慌てることなんて何もないさ」という風情で、優しく声をかけました。

 (; ´Д`)出たんですよ、いや、見たんですよ。羊を!!

 ( ・∀・)だから、いつも言っているだろう、街中、いや、世界中には、羊しかいないと。

 (; ´Д`)あ、あれは幻覚ではないんですか。目をこすっても、何度、凝視しても、人間の動作をする羊にしか見えないんですが。

 ( ・∀・)それは、君が私の行を、真面目にやった証拠なのさ。

 続けて、先生は言いました。

 ( ・∀・)君には二つの道がある。

 (; ´Д`)よく映画である「家か地獄か」ですかい?

 ( ・∀・)違う違う。このまま、催眠術をかけられた羊になるか、さらに行を行って、人間になるか。二つの道だ。

 (; ´Д`)ま、まだ、僕は人間ではないんでしょうか。

 ( ・∀・)僕の基準ではまだまだだね。まさしく「半人前」だ。

 弟子は、怪訝な顔をしました。

 ( ・∀・)僕の言っていることが無茶に聞こえるのだろう。それなら、精神科医のところに行って、同じ話をしてみなさい。もっと過酷なことを言われるから。

精神科医の応答

 半信半疑な思いを抱きつつ、ストレイシープ・メンタルクリニックに行ってみることにしました。

 そして、医者に、同じ話をしました。

 (; ´Д`)と、突然、街中の人がですね、人間の格好をして、人間の行動をする羊に見えたんですよ。

 それを聞いて、精神科医はこう思いました。

「あ~、こりゃ、よくある幻覚の類だな。しかし、正直に言うと、患者がどうなるか不安だから、適当に話を合わそう」

 医者は微笑を浮かべ、暖かい言葉をかけました。

 ( ゚Д゚)なるほど。それは驚いたことでしょう。大変でしたね。それで、もっと詳しくお話いただけませんか?

 そう頼むと、弟子は、実に細部にいたるまで詳しく、情景を語りました。

 あまりにリアリティがあったので、「これは幻覚ではなく、本当なのかもしれない」という考えが一瞬よぎったものの、自分の見方の境界線を踏み越えて、キャリアを台無しにするよりも、粛々と仕事をすることを、医者は選びました。

 誰だって、食いっぱぐれて、コイン集めゲーム、ゲフンゲフン、お金稼ぎゲームから脱落したくないからです。

 ( ゚Д゚)なるほど。それはそれは、恐ろしい思いがしたでしょう。でも、大丈夫です。この薬を毎日飲めば、ハッピーになって、少しずつ、また全てが元通りになりますよ。

 薬を処方しながら、内心、こう思いました。

 「これで、多少、認知能力や理解力や俯瞰力が落ちるだろうが、問題なく、社会に再適応するだろう」

 医者の話を聞きながら、弟子はこう思いました。

 「かねがね、グルジェフ先生が言っていた通りだ。精神医学や心理学は、患者を、病んだ社会に再適応させる術であって、患者の真正の望みに真正面から向き合うものではない。それに薬なんて飲んだら、僕は一体どうなってしまうのか。もう薬漬けの日々になんて戻りたくない」

 弟子は、以前、精神科に通い続け、薬を飲み続けていた時期があります。

 神経性の病気でしたが、全く治らず、思い切って、断薬を試みたら、頭が思いっきりスッキリしてしまいました。

 それ以来、薬について調べ、薬をホイホイ処方する医者には、懐疑的な思いを抱くようになりました。

 しかし、それを正直に言ったら、さらに別の薬を処方されそうな気がしたので、穏便に済ますことにしました。

 ( ´∀`)やった~。これで、安心して、社会で暮らせますね。

 薬の名前は、「Happiness」と言いました。

 何だか、どこかで見聞きしたような名前です。

早く人間になりたい!

 病院を出ると、弟子は、薬をゴミ箱に捨てて、グルジェフ先生のところに戻りました。

 ( ´∀`)先生!医者はダメです。薬を処方されてしまいました。幻覚だと思われました!

 ( ・∀・)ほらね。さあ、君はどっちの道を選ぶかね?

 ( ´∀`)人間になりたいです!!

 ( ・∀・)「早く人間になりたい!」(妖怪人間ベム)というセリフがあったね。なら、善は急げだ。この鋤をもって、外の畑を耕しなさい。

 (; ´∀`)ひ、一人でですか?

 ( ・∀・)うん、一人で。

 「出たよ、先生の「いじめ療法」が」と思ったものの、口には出しませんでした。

 グルジェフは、人々が常に眠っている状態にあると考えていたため、強烈な目覚めの感覚を体験させるため、過酷な肉体的訓練を課しました。

 一人で広大な畑を耕すというのも、そういう行の一種です。

 弟子はこうも思いました。

 「これ、超サイヤ人養成コースなんだろうか。僕は人間になれればいいのにな~」

 ( ・∀・)そう言えば君は『ドラゴンボール』世代だったね。この重力変化のできる装置に入って、フリーザ君と戦いなさい。何、死にはしないから。まあ、ひどい大けがにはなるかもしれないが。きちんと治療するから、心配いらない。

 (; ´∀`)いや、あの、というか、無茶ですって!人間になれればいいです。超サイヤ人になれなくてもいいです。

 ( ・∀・)目標に達するには、それを超えたさらに大きな目標を設定するのがいいんだよ。

 そうして、問答無用で装置に入れられ、弟子は、死にそうな思いをしました。

 そして、限界を超えた瞬間、自分のどこかから、大きなエネルギーが湧いてきて、物事がとてもクリアに見えるようになりました。

 髪の色は変わりませんでしたが。

超サイヤ人ブルー

 ( ・∀・)どうだい?いろんなことがはっきり見えるだろう。まあ、またすぐに戻ってしまうだろうが、それが「人間」の世界だよ。
 
 続けて先生は言いました。

 ( ・∀・)人間になって、なお正気を保って、この世を歩いていくのは大変なことなんだよ。多大なエネルギーが要る。
  世にあるいろいろな行のいくつかは、余計なものを落として、自分を真正のエネルギーとつなげるためのものなんだ。
  多くの人は、外部の何かからエネルギーを得ようとするが、それは奴隷の道なのさ。
  おまけに、それを得るために、お金を稼がないといけない。

 (; ´∀`)そうか~。でも、先生、もうちょっとソフトな方法もあると思いますよ。

 実際、ソフトな方法もあるが、きちんと最後まで行をやり続けなければ、意味はない。

 ( ・∀・)君は見所がある。大丈夫。君はやれる。超サイヤ人にもなれる!頑張りたまえ!

 弟子の代替案など、どこ吹く風で、先生は再度弟子を修行へと借り出しましたとさ。

 おわり

( ´∀`)サポート本当にありがとうございます!!😭😭😭🥰🥰🥰 (  ・ ∀ ・)ご恩返しするためにも、今後も一生懸命頑張ります!!😊😊😊