柘榴
誰もみな物ほしげな夏 湖水には柘榴の花が浮かんでいます
その年の春に、柘榴は一年生として学校へ通い始めた。六歳の柘榴は、背が高くほっそりしていて、葉は濃緑、花は朱色に近い赤だった。もの静かで明るく、クラスメイトに愛されていた。しかし夏になると、悩める水泳の授業が始まった。木々はプールでは泳がないものだ。身の軽い柘榴でさえも。結実し始めた果実が真ん中からぱっくり裂けるんじゃないかって気がした。
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誰もみな物ほしげな夏 湖水には柘榴の花が浮かんでいます
その年の春に、柘榴は一年生として学校へ通い始めた。六歳の柘榴は、背が高くほっそりしていて、葉は濃緑、花は朱色に近い赤だった。もの静かで明るく、クラスメイトに愛されていた。しかし夏になると、悩める水泳の授業が始まった。木々はプールでは泳がないものだ。身の軽い柘榴でさえも。結実し始めた果実が真ん中からぱっくり裂けるんじゃないかって気がした。
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