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エヌビディアCEO、ジェンソン・ファンのピッチはダメダメだったという話

いま、世界で最も注目の企業といえばどこでしょうか??

多くの人が、「NVIDIA」と答えるんじゃないでしょうか。

生成AIに必須のGPUの世界シェア98%を誇る注目企業です。時価総額は2兆ドルを超え、アップル・マイクロソフトに次ぐ世界3位に急伸したことは大きなニュースになりました。10年前に同社の株価を買っておけば200倍になっていたということです(遠い目)。

創業者でありCEOの台湾系アメリカ人、Jensen Huang(ジェンセン・フアン)は「革ジャンCEO」として最近頻繁にメディアに露出しています。

カリスマのような取り上げられ方をしていて実際、語り口も魅力的ですが、今年60歳とほかのシリコンバレーのCEOに比べるとずいぶん遅咲きのようにも思えます。そんな彼の人物像はなかなかに魅力的です。

The New Yorkerには彼の生い立ちのインタビューが掲載されています。

台湾生まれのフアン氏ですが、9歳の時に兄とともにアメリカに送られ、叔父との生活を送りました。

叔父の勘違いで、学校ではなく更生するための矯正院に入れられてしまったそうで、そこでアジア人の彼は猛烈にいじめられたそうです。そのころの経験が resilience (回復力)を養うきっかけになったと彼は回顧しています。

その後電気工学を学び、スタンフォード大で修士号も取得します。技術者としては優秀でしたが、「信じられないくらい内向的」だったそうです。

そんな彼のパーソナリティを変えたのはデニーズでのアルバイトだったそうです。そこで「人と話すこと」を学んだそうです。卒業後、デニーズで食事をしながらNvidiaの創業計画を話し合うことになります。

しかし、そんな彼の最初のピッチは大失敗だったというエピソードが残っています。

1993年、当時29歳だった黄氏は、元上司のコリガン氏に起業のアイデアを売り込みました。しかし、それはコリガン氏には全くと言っていいほど響きませんでした。

"I have no idea what you just said. That was one of the worst pitches I’ve ever heard," he said.
(今何を言ったのか全く分からない。今まで聞いた中で最悪のピッチの一つだ)

にもかかわらず、コリガン氏は、アップル社やアタリ社などの企業に投資していた著名なベンチャーキャピタリスト、ドン・バレンタイン氏にファン氏を推薦します。ピッチは最悪だが、人間としては信頼されていたからです。結果として、バレンタイン氏は投資をすることに決めました。

ファン氏はのちにこう語ります。

"The thing I learned from that, is your past is more important than your ability to pitch, interview, or anything like that. You can't run away from your past. So have a good past."
(私が学んだことは、プレゼン能力や面接能力などよりも、自分の過去の方が大切だということです。過去から逃げることはできません。だから、良い過去を持ちましょう。)

"Greatness is not intelligence. Greatness comes from character."
(偉大さは知性ではありません。偉大さは人格から生まれます。)

いまでは壇上で魅力的なピッチをするファン氏の姿からは想像もできませんが、若いころのこの彼のエピソードには「何が人を動かすのか」について考えさせられます。

もちろんピッチで失敗してしまっては何もなりませんが、それでも相手への影響力の根源はその「人間性」である、ということもまた事実でしょう。

一つ一つのことをしっかりと積み上げる姿勢。
そして目の前の人間関係を大切にする姿勢。

そうした当たり前のことの重要性を、この一見すると地味な「遅咲きのCEO」から学ぶことができます。

これからも彼のことをウォッチしていこうと思います!

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