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なぜ子供は「べつに」というのか?〜「シチュエーション」の大切さ

お子さんがいらっしゃる方であれば、子供から「べつに」とか「ふつう」という返答をされた経験がある方も少なくないのではないでしょうか。

「今日学校どうだった?」「うーん、別に」
「友達と何話した?」「ふつう」

みたいな会話が、我が家でもよく繰り広げられています(涙)。

以前本で読んだのですが、「どうだった?」といった「オープンクエスチョン」は、特に子供にとっては答える難易度が高いのだそうです。

一日には、色々な出来事がたくさんあります。その中で、何か一つピックアップして、それについて報告するというのは実は技術がいることです。その難易度が高いために、「うーん、、、ふつう」と言ってしまう子供が多い、ということらしいです。

少なくとも、オープンクエスチョンではなく「クローズドクエスチョン」、つまり選択肢がある質問にした方がどちらかというと答えやすいでしょう。

「今日学校楽しかった?」「うん」→「何が楽しかった?」
「今日、体育の授業あった?」「うん」→「体育は何をしたの?」

まずはYESかNo、何かしらの返答を引き出したうえで、その返答をさらに深く掘っていく方が、会話の糸口は掴みやすいでしょう。

会話する前に状況に目を向ける


しかし、こうした問いかけの技術以上に大切なのが、会話をする「シチュエーション」だと私は思っています。

そもそも問いを投げる前に、お子さんは会話に「レディ」、つまり準備が出来た状態になっているでしょうか。

家に帰ってきて、着替えて、テレビの前に座って、さぁ、おやつを食べよう!という気持ちの時に「今日、何があった?」という問いが横から飛んでくる。

その時、お子さんの意識はテレビに向いてしまっているかもしれません。そんな状態で難しい問いが飛んでくると、「別に」と答えてしまうのも無理はないでしょう。

コミュニケーションを図る前に、「相手はどんな状態か」に関心を向けることが大切だと思うのです。

最近、私は息子と夜の散歩を日課にしています。また、週末は公園にランニングに行きます。

口数の少ない息子ですが、一緒に散歩していると、ポツリポツリと思いついたことを話し始めてくれます。

「あの木のカタチ、面白いね。そういえば今日理科で植物のこと習ったよ」

といった具合です。

大人もそうですが、歩いていると、いろいろな考えが浮かんできますから、ついそれを口にしたくなるものです。それをきっかけに、学校で習ったことや、子供が普段考えていることについて話を聞くことが出来ます。

職場の同僚の状況に想像力を向ける

職場でも、こうした「会話をするシチュエーション」に普段我々はどれくらい意識を向けられているでしょうか。

例えば今、職場での「1オン1」が推奨されています。業務上の確認だけでなく、相手の心理状態を確認したり、ストレスを軽減するような会話をすることが大切とされています。

私は、1オン1を設定する「タイミング」はとても大切だと思っています。

まず避けた方が良いのは、直後に重要な会議や顧客とのミーティングが入っている時間帯です。必然的に、次の予定に気を取られてお互いにそわそわしてしまい、リラックスした会話をするのは難しいでしょう。

1オン1は比較的仕事に余裕がある日や、夕方の時間帯でその日の仕事のプレシャーから少し解放された時間帯が良いように思います。

また、相手がどのような心理状態にあるのかにも想像力を巡らせることが大切です。

業務で大きなストレスを抱えているのであれば、ちょっと投げかけをしたくらいでは、簡単に本音を話してはくれないでしょう。相手が本当にリラックスして話せるタイミングを見極めるべきだと思います。

そもそも、オンラインのミーティングというのは、別の空間にいる人同士がいきなり話し始めるので、最初のうちはなかなか頭の切り替えが出来ません。先ほどの「テレビを見ている時に話しかけられる子供」の状態と似ているとも言えます。

なので、会話に「イン」(入り込む)するためのアイスブレイクや雑談にしっかり時間を使わないと、意味のある会話をすることは難しいでしょう。

そう考えると、コロナ以前にあった職場の食事会や、合宿のようなオフサイトミーティングは、会話をする「シチュエーション」を整えるという意味でとても意義があったなと思います。先ほどの「散歩しながら会話をする」効果が、長い時間を一緒に過ごすことで得られるのだと思います。

リモートワークが中心の職場もまだ少なくないかもしれませんが、一緒にいることで会話をしやすくする、という視点についても今一度忘れないようにしたいものです。

コーポレートブログからの転載です)

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