【老親リスクを回避せよ04】ある国会議員との対話
以下は、東京郊外の私鉄沿線の駅街頭で、傘をさしながらマイクを握っていた政治家と会話したときのひとこまです。
私は福祉関連のNPOをやっていて、シニアとのつきあいが多いのですが・・・。あなたの党は福祉についてはどうお考えですか?
「そりゃあ、福祉は最重要課題です。しっかりとやっていきます」
そうですか。でも福祉を充実させるためにはお金が要りますよね。ということは、やはりあなたの党は税金をたくさん取る方向に持っていくのですか?
「いや、国民の生活をこれ以上圧迫するなんて、絶対にダメです。増税には断固反対です」
税金をあまり取らずに福祉をしっかりやっていくと、当然お金が足りなくなりますよね。じゃあ、赤字国債を発行していくということですかねぇ? (注:現在では、「国債発行という国の借金は未来にツケを回すことになる」という論法は大ウソだったことが知られつつある。財務大臣が執拗に拒んではいるが…)
「滅相もない。子ども世代に借金を残すなんて、そんな厚顔無恥はしてはなりません。そうでしょっ」
国債も発行せず、増税もせず、それでどうやって充実した福祉を実現できるんですかねぇ?そうなるともう行政改革して節約するしかないですね。
「もちろんですとも。行政改革は継続強化していくことが必須です」
行革というと、突き詰めていけば結局は人件費だと思うのですが。
「・・・。まぁ、そうなるでしょうね」
ということは、役人の首をどんどん切っていくと考えていいですかね。
「とんでもない。一生懸命働いている人たちの生首を切るなんて・・・。わが党はそんなことはしませんよ」
となると…。自然減を新卒で補充しないという無難な策しか残りませんよねぇ。それでは何十年もかかってしまって、財政破綻のスピードに全く追いつけないような気がするのですが」
「・・・」
・・・
「そこが難しいところなんですよ…」
???
いかがでしょぅか。戦略とは優先順位です。票を失いたくないからといって、すべての既得権益には触れないということでしょうか?
生活保護者も障害者も母子家庭も大事。いや、公務員と政治家がいちばん大事。高齢者も大事とは言いながら、優先順位は要介護度の高い順。
この国は、これから先もずっとそうなのでしょうか?
私のスタンスはちがいます。後期高齢者よりは前期高齢者。重度要介護者よりも軽度要介護者。要介護シニアよりは自立シニアに重きを置いたほうがベターだと思っています。
理由はふたつです。ひとつは、これまでの医療福祉行政において、前者に対しては後者に対してよりも手厚く振舞ってきたし、その結果として何とか最期を迎えられるインフラがすでに整ったと思うからです。もうひとつは、後者の人たち(元気なシニア)にはまだまだ培ってきたさまざまな価値を、続く世代に引き継いでもらうべく活躍してもらわなければならないから。そういう人たちにこそ、元気なうちから老い先への不安を低減できるような配慮をすべきだ…と思うからです。
誤解を恐れずに言うならば、次の世界に旅立つときを待っている人たちと、まだまだ何十年とこの国に貢献してもらわねばならない人たちの、いずれに資源配分の比重を置くのかということです。これこそが、いまのニッポンの高齢者施策に求められている優先順位だと、私は思っています。
旗幟鮮明。社会科の教科書に乗っていた幕末の志士たちには信念があったし、それを言葉で発信していました。(注:現在では、教科書に書かれていた明治維新の話はほぼ創作で、幕末の志士たちは、当時の英国の戦略の一環で踊らされていただけということが知られつつある)
いや、昭和の時代だってそうだったような気がする。自分の主義主張を堂々と演説している最中に、過激な反対派に刺殺されてしまった政治家だっていたものです。本音で語れば、それだけリスクは高くなります。だから暗殺されるなんてこともままあったわけです。それでもかつての政治家には、信念を曲げず政治家生命を全うした人たちがいた…。そんな気がします。少なくとも、八方美人な票集めコメントしか吐けない現代の政治屋に比べれば…。
となりの芝かなぁ…。
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