もしドラ



4月の春めいた暖かな日差しが注ぐ中、私は、神奈川県某所で会社の研修を受けていた。
その研修のなかで、ある本が配られた。
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら/岩崎夏海・著」
表紙はカラーで少女漫画のよう・・・表紙をめくってパラパラと、ゲッ!小説??率直に拒否反応がでた。
その少女漫画のような表紙の小説は、世間一般(通称)に「もしドラ」と言うらしい。
早速、研修で配られた「もしドラ」を会社に持っていて見せたら女子社員から「知らないの?数年前に流行ったじゃん!」って。
ドラッカーって何??って思う人もいるかもしれません。薬(DRUG)中毒の人ではありません。また、マウスでドラッグ(DRAG)している人でもありません。ドラッカーとは、ピーター・ファーディナンド・ドラッカー(P・F・ドラッカー)で、人の名前で経営学者だそうです。
ということで、とりあえず読んでみることにした。
ザックリなあらすじは、主人公は女子高生、甲子園を目指す高校野球の小説で、途中過程である人物が亡くなるというもの。方向性は違えど、子供の頃に見た、タッチ/あだち充を思い出させる内容であった。(余談:この本の主人公は、川島みなみ。タッチの主人公は浅倉南。同じく高校野球部のマネージャー。微妙な共通点に何かちょっとした意図を感じました)
野球部が甲子園を目指すストーリーにドラッカーの著書である「マネジメント」の内容を織り込んだ物語となっていた。野球部の女子マネージャーが「マネジメント」の本に出会い、野球部に成果としての甲子園出場を果たすといった内容の小説であった。
主人公のみなみが気に留めたのがマネージャーの資質、才能ではない、真摯さである。
真摯さ、それはマネジメントに必要不可欠なもの・・・
野球部マネージャーをやっていた闘病中の友達に変わり、代行としてマネージャーを引き受けることになった。そもそもマネージャーとは何?そんな疑問からドラッカーの著書である「マネジメント」に出会った。
ちなみに私はこの本を読んだことがない。
病床の友達の代わりではあるが、野球部を強くするためのマネージャーとしてのマネジメントに取り組み始めた。我々サラリーマンでも共通する部分であると感じた。組織を強くするためにはどうしたらいいのか?それを高校野球に当てはめていくストーリーだった。
「事業は何か?定義することが不可欠である。わかりきった答えは無い」
ドラッカーの言葉に対して野球部の事業って何?とみなみが考えた。私は読んでみて不思議な感覚と難しい問いということを感じた。
野球部に所属していて得られるもの、そしてプレーヤー含め観客などみんなを感動させることそして甲子園を目指すといったことであろうか。
次に野球部にとっての顧客とは一体誰なのか?を問われた。顧客は何を買いたいのかを調査した。野球部にとってのマーケティングだ。野球部に携わるひとを顧客として設定し、そのひとの求めているものをリサーチした。
病床にある友達の働き甲斐として、部員に対するお見舞い面談を設定し、反省会などでフィードバックしながら責任を持たせて成果をあげていった。
お見舞い面談をリサーチとして活用していることが、なんとなくかおもしろく思えた。
マネジメントの組織化については、野球部の組織として、人は資産であり、強みを生産に結び付け、弱みを中和することについて、監督(専門家)からアイデアを引き出し、部員(顧客)を満足する練習メニューをつくる発想がおもしろい。練習メニューの結果を数値化することにより自己管理目標に結び付け、さらには部員たちに強みと弱みを理解させ最善を尽くす願望を期待させるもので働く人たち(野球部員)に成果をあげさせるにはしていった。
野球部は変わり始めた。しかし甲子園には程遠い。どうすれば古い常識を打ち壊し新しい価値を創造することができるのか。高校野球に対するイノベーション(常識を変えて新しい価値の創造)をやることにした。高校野球に新しい価値の創造なんてあり得るのだろうかと感じた。
高校野球では一般的な送りバントとボール球を振らせてストライクをヤメ「ノーバント・ノーボール」作戦を考えた。送りバントでアウトカウントを増やさない。ボールを投げてピッチャーの体力を消耗させない。
人の強みを活かし弱みを中和し、常識を変えたプレーで予選を勝ち進んで、甲子園出場も視野に入ってきた。そんな中、努力が大事かそれとも成果が大事かの疑問になってしまった。私自身も努力それとも成果と考えると悩んでしまう気がする。私は、努力があって成果につなげれは理想だと感じた。
決勝を迎える前日、病床にあった友達が亡くなった。その友達の為にマネージャーを引き受け、野球部をマネジメントしてきた。亡くなった友達から自分だけ聞かされていなかった。本当は野球が嫌いなのに亡くなった友達の代わりに野球部マネージャーをやっていることを部員がみんな知っていた。だけど、部員に話してあることを自分だけ知らなかった。以前にもそんなことがあった。自分だけ知らない。そしてその場所から逃げ出した。追いかけてきた別のマネージャーに捕まり球場へと向かい、試合の途中に間にあった。
ノーバント作戦だったが裏をかいてバント作戦により出塁し、功を奏して優勝して甲子園への出場が決定した。
この高校野球部の女子マネージャーは、真っ先に思いつく「スコアボードをつけたり後片付けや洗濯をする人」とは、全く違い、責任や役割において野球部という組織を強くし、結果的に甲子園出場という成果に結びつくものであると感じ、そして、、、真摯さ、それはマネジメントに必要不可欠なもの・・・に結びつくのか?
真摯さとは、明確な表現こそ見いだせなかったが、正しいと思ったことにマジメに取り組むことではないかと考えました。






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