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”捨てたものは帰ってこないよ”

慎森はとわ子と離婚した。
離婚して何年と時が経っている今。

慎森:「またあのソファーに君と座って、なくした時間を取り戻したい」
とわ子:「…なくしたんじゃないじゃん。捨てたんじゃん。捨てたものは帰ってこないよ。」
「わたしはもう思い出にしたし、さよならも言った。結婚も恋愛も契約とは違うから、ひとりが決めたらそれで終わりでしょ」

(大豆田とわ子と三人の元夫 第二話)


”捨てたものは帰ってこないよ”
”ひとりが決めたらそれで終わりでしょ”


たしかに。
たしかに。
捨てたものが返ってこないのは物も気持ちも決意も同じ。

つまり続きはないということ。
また追いかける、獲得する、ということ。

二人で とか、お互いで成立するものはどっちかが「捨てる」と
もう片方は「失う」になる。「失った」になる。

「失う」と書くとすべてなくなったようなニュアンスになるけど
このとわ子と慎森が失ったのは「夫婦関係」なだけであって、
今こうして話をすることができてるし、すべてを失ったわけではない。

つながりはある。
物だとなかなか実現できないが。


”捨てたものは帰ってこないよ”

捨てたもの。
私の捨てたものってなんだろう。
恋人関係は何人もの人となくなってるけど、捨てたって感じはしないな。(みんな今無縁だけど(笑))


恋愛って終わるときは片方が片付けていたら成立するものね。

なんで形にしちゃうのかなあ。
形にしなきゃ終わりなんてないのになあ。

話がそれてしまいました。

なくしたものは見つかる可能性がある。
でも世の中「なくした」は都合の良い話。
そんな不確実なもの、都合いいよね。

だから人間捨てるの。
捨てたって言い切るの。

なんでもなくしものにしちゃうと、自分の「もの」が
いっぱいいっぱいになってしまうね。

あ、だから恋愛も形にするのか。
そしてお別れをするのか。
整理ができるように。

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