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2023年に行ってよかった展覧会


2023年行って感動した展覧会を書き連ねていきます。僕は最近美術館に行くようになった人間なので、そのつもりでお読みください。

あ、あともっとあれもこれも足したかったけど、書ききれないのでかなり絞りました。


⚫︎ナラッキー展 by Chim Pom (王城ビル)

歌舞伎町の実在した5Fの廃ビル(王城ビル)を全部展示にした展示でおどろおどろしかったです。こういうのをサイトスペシフィックな展示(その場において作り込まれた展示)というようですがどうしてもこういう展示は心打たれます。

廃ビルのエレベーター部分



屋上まで展示。歌舞伎町の廃ビルの屋上から景色が見られることはまずないから、感動です。

⚫︎宇川直宏展(練馬区立美術館)

練馬区美術館だし、小さい展示と思いきや、ものすごく大きな禍々しい機械(メディアアート)が結構あって、昨今の生成AIの可能性も飲み込んだすごい展示でした。また、初めて練馬区美術館に訪れて、動物たちが可愛すぎて、トリッピーにすら見えました。そういう意味で、宇川直宏と相性がいい気がします。

この禍々しい感じのメディア・アートが縦横無尽に動きます。
テレビから発せられたノイズを独自に音にプログラミングし直す機械。このときは、宮台真司とダースレイダーが話してるだけだった番組のすべての音をシーケンスして音が生成されていた
真ん中のカメラのアームが自在に部屋中を撮影して、被写体を独自の生成AIによって壁に投射される。写真は椅子に座っている自分の生成AIによって再構成された画像が投射されたもの。

⚫︎合田佐和子展 -帰る途もつもりもない- (三鷹市美術館)

立体物・映像・絵画、様々な形の展示がありましたが、立体物に関しては、サイバーパンク感やおどろおどろしさもありながら、少女的な感覚を大事にしていて、絵画にも自分の憧れ(往年のハリウッド俳優や70年代のミュージシャンなど)を全く隠さない、むしろ見せるという姿が本当に清々しくて初めて図録を買いました。

写真不可だったかな。

⚫︎加藤泉展 (ワタリウム美術館)

加藤泉はモチーフが海外の呪物像のような、日本の埴輪のようなあるいはwikipediaには胎児とありましたが、そういうプリミティブな像をモチーフにした作家で、ワタリウムでの展示はその頃、作家がハマっていた、透明プラモのモチーフを更に加えて、普段より可愛さが倍増していました。ワタリウムは4階建てですが、2階から4階まで見て行って、4階にネタ元となった得体のしれない海外のプラモ(「透明の牛」とか)のコレクションが飾ってあり爆笑でした。

ワタリウム美術館は「プレイプレイ・アート展」も「山田寅次郎展」も「梅田哲也展」も筆舌に尽くしがたい素晴らしさでした。

4階にはこういうよくわからないプラモがズラッと並んでいました。

⚫︎蔡國強展 (国立新美術館)

中国人の現代アート作家の展示。床に敷いたものすごく大きな紙に、箒のような鉛筆で下絵をつけ火薬を爆破させて絵を描く。絵が大きい。火薬なのに緻密で、火薬だからダイナミック。

●エゴン・シーレ展 (東京都美術館)

ウィーンの28歳で夭逝した画家の作品展でしたから点数が少なくて、他の画家の作品が多かった印象ですが、それでも病的な感じと虚飾性が混ざっていてとても良かった。病的な感じと虚飾性を一言で言えば「ジョジョの奇妙な冒険」なんですが、エゴン・シーレの作品はジョジョの奇妙な冒険のキャラクターに見えなくもないです。

写真不可だったかな

⚫︎ブラックジャック展 (森アートギャラリー)

手塚治虫のオリジナルの原稿で有名なエピソードがだいたい読めて泣きそうになりました。「びのこあいちてゆ」の話とか、トラック事故で手を無くした寿司屋の青年のあの話とか。

手術室で写真撮れます。

⚫︎ルカ・ティエリ×江口寿史展 (イタリア文化センター)

日本の80年代カルチャーに影響を受けたイタリア人作家ルカ・ティエリが、80年代日本の漫画風のポスターをたくさん書いていて、外から見た日本カルチャーとして、楽しかった。江口寿史との合同展。同時期に開かれていた世田谷文学館の「江口寿史展」もすすめパイレーツから、最近のイラスト仕事まで網羅しててよかった。

近未来の高円寺純情商店街

⚫︎「ここに来て止むに止まれぬサンサシオン展」 (アーティゾン美術館)

アーティゾン美術館はブリヂストンの創業者の石橋氏の石橋財団の所蔵作品が豊富で、それを使った自由な展示が魅力。画家の山口晃さんが所蔵作品からセザンヌと雪舟の絵をピックアップして、自分の絵を並べて語る。山口晃さんの絵が少なかったけどいい試みでした。

他にも今年は、アブストラクション展など、アーティゾン美術館が好きになった年でした。

山口晃さんの作品

⚫︎横尾忠則「寒村百得展」(東京国立博物館)

とにかく横尾忠則が好きなのであまり語ることがありません。新作のみの個展です。寒山百得は中国の唐代のトリックスター的詩人で、それがモチーフになっています。東京都現代美術館でも横尾忠則の特別展示があり、それも合わせて素晴らしかったです。

寒山百得展から
東京都美術館の特別展から

⚫︎「何が見える?」展 (東京都写真美術館)

写真機が発明されて動画が生まれるまで、人々の錯視を利用したり、自動的に円環する紙芝居でアニメーションを試みたり、色々動画が生まれるまでのともすれば珍奇な機械がいっぱいあり、見せもの小屋の人たちや発明家の想像力の逞しさがわかる博物館的展示です。

中心部分が回転するようになっていて、それで原初的なアニメーションが見られる

⚫︎「ハッピーバース 米澤柊展」PARCOミュージアム

アニメーターである米澤さん独特の筆致の、人物が風に吹かれて消える動的な身体の解体と、その時の表情を納めた絵(あまり上手く言えません)


書くのが面倒くさくなっちゃったけど他にも良かった展示

ワタリウム美術館 プレイ・プレイ・アート展、山田寅次郎展、梅田哲也展」
ワタリウム美術館の展示に関しては個別に書くかも。。それくらいどれも素晴らしかった。
東京ステーションギャラリー - 佐伯祐三展
東京国際フォーラム - 東京アートフェア
東京国立博物館 - 古代メキシコ展
東京オペラシティコンサートホール - 泉太郎展
山種美術館 - 富士と桜展
三菱一号館美術館 - 芳幾芳年展

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