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労働者と生活者、岐路に立つ日本の外国人労働者の受け入れ

私の20代後半は、アメリカの介護施設でケアワーカーとして勤務する外国人労働者でした。単なる出稼ぎ労働者かというと、そうではありません。アメリカのシニアビジネスに憧れ、介護をサービス業として学ぶため海を渡りました。

しかし、異国の地で生活するには稼ぐ必要があります。なので、複数の仕事を掛け持ちしました。稼いだお金は、全て自己投資に使いました。旅行や習い事、ボランティア活動を通じて新しい文化や考え方に触れ、自分の視野を広げることに喜びを感じました。

現在はフィリピンで、労働者の日本への送り出し業務に従事しています。彼らはもともと日本での稼ぎを目的としていましたが、徐々にその意識が変化していることに気づきました。

「日本の文化に触れたい」「日本語をもっと学びたい」「日本で生活したい」という希望が強くなっています。つまり、労働者から生活者への比重が高まっているのです。10年前と比較して、生活者としての割合が明らかに増えています。

私自身も、アメリカのシニアビジネスに憧れて海を渡った経験があるため、彼らの気持ちは深く理解できます。

日本は今、外国人労働者を単なる労働者としてではなく、生活者としても受け入れる必要がある段階にあります。これは、30年間のデフレで労働者を引きつける魅力的な賃金を支払えなくなっている現状に起因しています。

本当に稼ぐことだけを目的とするならば、他国での労働や国内での高収入の仕事も選択肢になりえます。少子高齢化に直面する国々の間での外国人労働者の争奪戦が予想される中、残念ながら、日本が高給を提供するのは現実的に難しいです。

ではどうしたらよいか。結論から言えば、日本を好きで、生活者としての魅力を感じる外国人を惹きつけることが重要だと思います。

最近、Travel Tour Expoでの日本の製菓メーカーのブースで働く機会を、日本語を学んでいる7名の女性に提供しました。彼女たちに、来日前に日本の文化に触れてもらいたかったからです。

アルバイトの様子

意外だったのは、「日本人と一緒に働けたのが良かった」という感想が多かったことです。彼女たちにとっては、日本人と働くことも1つの価値になるのかもしれません。確かに、日本人の接客は訓練されていますからね。まじかで見ていて、勉強になったのでしょう。

このアルバイト経験は、彼女たちが日本をより一層好きになるきっかけとなったはずです。このような体験のプロデュースが、外国人労働者を、「生活者」として受け入れる上で重要になります。


着物をきて大満足

さて、外国人労働者を「労働者」としてだけでみたら、賃金と労働環境をどんどん改善していかなくてはなりません。その努力は必要ですが、「生活者」として、日本や、職場のあるその土地を好きになってもらう努力も、同じくらい大切になるでしょう。

たわいないコトでもいいのです。見るもの触れるものすべてが初めての外国人ですから、日本人が当たり前だと見過ごしていることに価値を見出すことも多々あります。

私もアメリカで右も左も分からないときに、利用者さんのご家族にドライブに連れて行ってもらったり、買い物に連れて行ってもらったりしただけで感動したの今でも覚えています。日本人が当たり前と思っている日常が、外国人にとっては新鮮で魅力的なアドベンチャーになります。

生活者として日本に馴染めば、旅行や習い事、地域コミュニティへの参加など、知的好奇心を刺激する多くの機会があります。これが日本の真の魅力であり、今後、外国人労働者を惹きつける要素です。

外国人労働者を「労働者」としてだけでなく、「生活者」としてどう受け入れていくか。外国人の視点に立ち、日本の魅力を再発見していくことが求められます。

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