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外国人ケアワーカーに「マジック」を教えよう@フィリピン

私は、2011年からフィリピンに住んでいます。
フィリピン人ケアワーカーを育成して、送り出す仕事をしています。こちらの記事が私の自己紹介になります。

私がフィリピンに来た理由は至極明快です。世界中の介護現場で活躍している民族がフィリピン人だったからです。それ以上でも、それ以下でもありません。

日本人と比較するかたちで、彼らの特徴を端的に挙げると、

  • 語学力

  • 柔軟性

  • プレゼンテーション力

だと思います。彼らは語学に優れ、柔軟性があるため、世界中が彼らの職場になっています。

そして、多くの日本人は「プレゼンテーション」が苦手ですが、彼らは得意です。歌やダンスだけではなく、人前で話すのも上手です(話の内容は別として)。

シニアになっても歌って踊るのがフィリピン人

話し出すと止まらなくなることもざらですので、会議などでは、司会者がボクシングのゴングのようなものを用意しており、「カンカンカーン!!」と強引に話を止めることもあります。

他人の話を傾聴する文化の日本とは、大きな違いです。

さて、フィリピン人ケアワーカーを育成して、日本の介護現場に送り出す過程で分かったことがあります。フィリピンにいた時は強みだった、「語学力」と「柔軟性」が、日本の介護現場になると、強みとして機能しずらくなります。

なぜなら、介護現場で、日本語以外の言葉を使うことはほとんどありませんし、分単位でスケジュールが決まっているタイトな業務の中では、彼らの柔軟性を発揮する余地もありません。

日本人の代替として、フィリピン人ケアワーカーを捉えている限り、「日本語が上手でない」とか、「時間にルーズ」といったように、マイナス面だけがクローズアップされてしまいます。

唯一、活路が見いだせそうな彼らの強みは、「プレゼンテーション力」です。何かを表現するアクティビティやイベントでは、フィリピン人の強みが遺憾なく発揮されるでしょう。

彼らは生粋のエンターテイナーでもあります。人を楽しませ、盛り上げるのが本当に上手です。

しかしながら、限られた日本語力と、限られた介護現場の時間内で、彼らの強みである「プレゼンテーション力」を活かすにはどうしたらよいでしょうか。

私が出した結論は、懐かしの童謡を覚えさすことでした。介護施設で定番になっている童謡をいくつか、彼らの持ちネタになるように教えました。「富士山」「茶摘み」「ふるさと」などです。

ところが先日、童謡以外に、彼らの「プレゼンテーション力」を発揮するツールに出会いました。「マジック」です。

日本でマジシャンの育成と派遣サービスを行っている起業家が、世界進出の足掛かりとしてフィリピンにやってきたのです。偶然の出会いでしたが、常に「介護」のことを考えている私は、


「介護」、「フィリピン人」、「マジック」、いいね!と繋がりました。


偶然の出会いの翌日に、その日の午後に帰国の彼らを誘って、さっそく送り出しの現場を見てもらいました。日本で働きたい候補者たちの熱気に触れてもらいたかったからです。

マジックも披露してもらいました

さすがは世界に打って出ようとする若手起業家です。私の意図することもすぐに理解し、その上で、彼らの利益につながる算段もつけてくれそうです。今後のコラボレーションに大いに期待しています。

「介護」「マジック」という、一見すると類似性のないワードを、「フィリピン人」が繋げてくれたら面白いと思いませんか。

さて、介護現場でよくある光景に、こんなシーンがあります。先輩スタッフが、まだ職場に慣れていない新人スタッフを食堂に連れていき、こう指示を出すのです。

「利用者さん達と、適当にコミュニケーションをとってください」と。

利用者さんのことがよくわからない状態で、どうやってコミュニケーションを取ればよいのでしょうか。日本人でも困るのですから、日本語が不自由な外国人が同じ状況におかれたら、なおさら難題でしょう。

そんな時、もし持ちネタのマジックが1つでもあれば、先輩スタッフの指示もこんな風に変わるのではないでしょうか。

「利用者さんたちに、あなたのマジックを見せてあげてください」と。

これでコミュニケーションのきっかけが掴めます。きっかけさえあれば、フィリピン人は生粋のエンターテイナーですから、すぐに施設の人気者になるでしょう。(もちろん、その前に日々の業務をきちんとマスターすることが肝要です)

イメージ画 by Chat GPT

私の企みが成就し、フィリピン人ケアワーカーに、「マジック」という飛び道具を持たせてあげられるかどうか。妄想は膨らみます。


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