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10年後、日本はケアワーカー送り出し国になる

日本で介護を学び専門職へと昇華した人材が、海外(日本以外の国)で活躍できる道を模索しています。

先日、フィリピン人ワーカーをヨーロッパに送り出している企業にインタビューに行きました。単刀直入に、下記の質問をしました。

  1. 日本で介護を学んだケアワーカーが、欧米などの賃金の高い国で働くことが出来るのか。

  2. 「Yes」の場合、日本での介護経験が付加価値として認められ、魅力的な報酬や雇用条件に繋がるのか。

気になる回答ですが、欧米といって一括りには出来ないものの、概ね「No」です。ケアワーカーとして働くためには「看護師」であることが条件でした。

さらに、イギリス・アメリカ・オーストラリアなどの英語圏では、英語力を問うテストがあり、英語が公用語であるフィリピン人でも合格するのに4-6カ月くらい掛かるとのこと。ドイツであればドイツ語の試験があります。

なるほど、こうやって他国の条件を眺めてみると、日本語を覚えて、厚労省が定めた介護試験にさえ合格できれば、誰でもケアワーカーとして働ける我が国の条件は、むしろ易しいとすら感じます。

とはいえ、日本は外国人ケアワーカーに対して、一気に門戸を開いたわけではありません。10年以上前から外国人ケアワーカーを日本に送りたいと考え、30代の10年間を捧げて暗中模索してきた身としては、隔世の感があります。

2015年EPA看護師の国家試験再チャレンジ支援
入国時の写真

さて、日本の外国人ケアワーカー受け入れの変遷を見る限り、欧米などの諸外国が、規制緩和に動き出すのも時間の問題だと思います。

なぜなら、世界も高齢化しているからです。

そして、医療のヒエラルキーの中で、最下層の介護職は、自国民が進んでやりたがらない職業だからです。そんな中、日本の介護は、世界から見るとガラパゴス的に進化して、「生活の専門職」という新しいカテゴリーを作り出しました。

この視点は非常にユニークであり、世界も注目し始めています。

冒頭のインタビューで、日本での介護経験が付加価値として認められ、魅力的な報酬や雇用条件に繋がるのか。という質問に対して、送り出し企業の社長は「Yes」と答えました。

次の10年で、日本は外国人ケアワーカー受け入れ国から、「生活の専門職」として育成し、世界に輩出する、ケアワーカー送り出し国になるでしょう。そんな未来がより強く描けたインタビューでした。


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