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レスキューヘルパー、イミグレーション編

出国に向けて大きく前進しました。1カ月前のレスキューヘルパー2日目に、当人を救急外来に連れていきました。糖尿病と栄養失調でかなり身体が衰弱していたからです。


幸運にも、栄養失調のため血糖値が低く保たれており、脚を切断するという事態は免れました。それでも、医者の診断書には、「すぐに帰国して治療をするように」と書かれてます。にもかかわらず、あれから1カ月以上経ちました。入管から出国許可が下りなかったためです。

その間、当人をほったらかしにしておくわけにはいきません。私と友人とそのドライバーの「レスキューヘルパーチーム」は、定期的に訪問介護を続けてきました。


レスキューヘルパーチーム

いつまで続くかわからない奉仕活動。しかし、収穫もありました。この1カ月間で、友人とそのドライバーの介護力が、うなぎ上りに向上したことです。いつか「介護」に直面した時、この経験が少しでも役立てられるのなら、存外の喜びです。

人生のどのシーンで介護が必要になるかは、誰も分かりません。介護は突然やってくるからです。

経済産業省によると、[仕事をしながら介護に従事する、いわゆるビジネスケアラーの数は増加傾向であり、2030年時点では約318万人に上り、経済損失額は約9兆円と試算されています]とのことです。


ビジネスマンも、「介護」について学ぶ時代が、足音を立てて訪れています。


さて先週末、ついに入管から連絡が来ました。出国にあたり、本人の指紋採取が必要とのことです。

体が弱っている当人をわざわざイミグレーションまで連れ出すのはどうかと思いましたが、入管と揉めて、さらに時間がかかるのは得策ではありません。国家権力には黙って従うべきです。

当日の指紋採取のアポイントメントは午前9時半です。イミグレーションに向かう前に、便座に座りながらのシャワー浴という、フィリピンスタイルの入浴介助を行いました。


フィリピン式入浴介助の現場

プライバシーの観点から、途中でトイレのドアを閉めて、私は外に出ました。その間に、室内の別のタスクに取り組んでいたところ、トイレから「ああぁ~~!!」という叫び声が!!

すると、当人がトイレからずれ落ちて倒れていました。足元のモノを取ろうとしてバランスを崩したようです。幸いにも、頭を打つような事態にはならず、右腕のみの軽い打撲で済みました。


安全性の確保とプライバシーの両立。難しい。。


日本の介護現場であれば、事故報告書ものです。大事に至らず本当に良かったです。

出かけにハプニングがありましたが、気を取り直して一同イミグレーションへ出発。約一カ月ぶりに部屋の外に出た当人が、「ああ、まぶしい」と外の光を見てつぶやきました。

ひとでごった返すイミグレーションに着くと、2階→4階→2階→3階→2階と、各階をたらいまわしにされました。お役所はどうしてこうも、車いすユーザーに不親切なのでしょうか。しかも、2機しかないエレベーターのうち1機は故障中です。お役人さん、車いすで階段は登れないんですよ。

それでも、イミグレーションの中で車いすを押すという貴重な体験が積めて、私自身は満足しています。この経験がいつ活かされるかは全く分かりませんが、何事も新しい体験には価値があります。


館内をたらいまわしにされる。。
マニラにあるイミグレーション

とにかく、最大の難関であったイミグレーションの壁は突破できたのです

あとは、当人が無事に飛行機に乗って日本にさえ行けば、何とかなるでしょう。そうやって希望を持たせてくれる、日本の医療と福祉は、本当にありがたいですね。私は日本人であることを、心から感謝しています。

次は、出国(のはず)。レスキューヘルパーシリーズも、いよいよ大詰めです。


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