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私がツイートした本当の理由

J-Cast ニュースが私への取材をもとに掲載した下記記事は、私の主張を丁寧にまとめて下さった。

「小池百合子氏のアラビア語能力は高い」 元外務省の通訳者がツイートした理由

しかし、そこに私がツイートすることとなった直接の動機(理由)や私なりの葛藤は書かれていないため、「カネをもらってやっているのでは」「業者だから当然」といった意見もあるようだ。補足しておきたいと思う。

私のアラビア語能力は公共財

私は外務省の語学研修でアラビア語を身に着けた。それはいわば国(国民)が私に投資してくれたようなものだ。浪花節的に言えば、私は国民の皆さんに恩義を感じて生きている。したがって、私は自分自身が仕事に携わるときも、経営者として業務にあたる際にも、常に公共の利益を意識している。わかり易く言えば、「自分の力で今があるのではない。たくさんの人に助けられて今があるのだ」ということである。
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私が一連のツイートをするきっかけとなったのは、6月9日に日刊ゲンダイさんが配信した記事:小池百合子都知事「学歴詐称疑惑」に見る胡散臭さ を読んだことである。その中で、小林節名誉教授が「アラビア語のできない日本人が…」とおっしゃられていることに驚き、小林先生のような知識人でも事実を確認せずに公言するのか?と義憤を感じた(*)のがすべての始まりだ。

「私はその風説が何年も前からあることを知っていながら、間違いだ、と声を上げていない。先輩に迷惑をかけないようにと思って黙ってきた。その結果がこれだ。これでよいのか?」と自問した。結論を得るのに、長くはかからなかった。「小池百合子という政治家もまた公共財であり、その知事を続投させるか否かという判断を都民がしなければならないときに、それは事実に基づいて行われるべきだろう。それを指摘できるのにしない、ということはこれまでの自分の人生を否定することになる。」

私が本件のツイートの冒頭で「日本人のアラビア語能力について妥当な判断を下す能力を与えられた者として、言っておきたい…」と書いたのには、そういう背景がある。その能力は自分ひとりのものではない。皆さんのものだ、という思いである。

事実に基づかない失礼な非難

ある人の語学力を、事実に基づかず、思い込みで「中学生レベル」とか「お使いレベル」などと公言することは非常に失礼であり、あってはならないことである。同時に、わかりもしないのに、「ここでしゃべってみろ」などと議場で放言するのも失礼だ。筆者は、ある優良企業に仕事の打ち合わせという名目で呼び出されて往訪したところ、「本番で何かあってもいけないので、ここですこしやってくれませんか?」と同社のアラブ人従業員が同席する場で抜き打ちに通訳力を試験されそうになったことがある。その場でこちらから仕事をお断りして辞去したのは、言うまでもない。(結局先方が謝罪され、業務を引き受けてご満足頂いたが。)

他人の語学力を簡単に判定できるものではない。だから私は小池知事が大学を卒業するに十分な語学力があるとかないとかを判断する材料はないし、その能力もない、と言っている。私にも簡単に判定できないことを、私よりはるかにアラビア語力も経験も劣る人が「中学生レベル」などと言える筈はない。

私がカネをもらってやっているのでは、といった憶測、非難も極めて失礼である。今回のツイートをもたらしたのは、上記の思いと、偶々コロナで多少余った時間があったことである。

正しい選択を

私はツイッターアカウントを主に情報収集のために維持していたので、フォロワーは100人に満たなかった。それが、思いがけず注目された背景には、真実を知りたい、という社会のニーズがあったのであろう。誤解のない状態で都民の選択が投票箱に反映されるのであれば、このストレスの多いツイートをした甲斐があったというものである。

私は小池百合子氏は政治家として支持できると言ったが、他の候補者も支持できると思う。それぞれの政策を比較していないが、山本太郎氏の都民に寄り添う姿は魅力的だ。私は現在は都民でないが、私の会社は設立以来都民であり都民税、事業税を26年間納め続けてきた。100万円支援してくれるなら、それはコロナ禍による損失の1月分にも満たないが、有難い。誰がなっても、中小企業支援を強力に進めていただきたい。
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注:*それは私の誤解だった。「小林先生は、小池さんが(就学前に)アラビア語ができなかったとおっしゃっているのでは」と指摘してくれる方があり、読み直してみるとそのような趣旨に読めた。それでも最短期間で卒業したというのはおっしゃるとおり、普通にできることではなく、偉業である。背景については、様々な憶測がある。私には判断できない。
誤読して批判的コメントをしたことは、先生にお詫びしたい。

写真:アラブで最も人気のあるTVキャスターのひとり、Dr. Faisal Qasim をアルジャジーラに訪問した。(2017年4月)


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