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ジャバラのまど Vol.14 君の名は…?アコーディオン呼び名あれこれ

アコーディオンはもはや世界共通語。どこの国に行っても「アコーディオン」といえば、誰もがほぼ同じ形の楽器を思い浮かべるでしょう。しかし、ことダイアトニックアコーディオンに関しては、地域ごとにさまざまな呼び名が存在します。アコーディオンは歴史的には新しい楽器のためか、なかでも既存の楽器の名前が転用されるケースが目立ちます。
まず目立つのがオルガン由来。わかりやすいところでは、イタリアの独特な形状のダイアトニックアコーディオン「Organetto」。

これはそもそもは「小さなオルガン」という意味で、教会の大きなパイプオルガンに対して、例えばポルターティフオルガン(下写真)のような小型のパイプオルガンの総称だったものです。

写真2_ポルタティフオルガン

また、イギリスで、このような小型のアコーディオンに使われる呼称「Melodeon」

この呼び名も、もともとはオルガンから。
19世紀に発明された新方式のリードオルガンの呼称だったのですが、それがだんだん小型化し、鍵盤ではなくボタン式のものも開発されるなどしたため、混同されて呼ばれたのかもしれません。ロッキングメロディオン(下写真)はブック型でボタン式の小型オルガン。ラップオルガンとも呼ばれ、膝(ラップ)に乗せて、ボタンの面を上に向けて弾きます。

写真1_ロッキングメロディオン

さらに、スイスの「Örgeli」

これは、ドイツ語でオルガンを表す「Orgel」とのつながりが疑われます。オルガン由来が多いことの要因としては、教会とのつながり・・・つまり、礼拝で賛美歌の伴奏に使うという用途が想定されたのではないかと。昔はk教会にオルガンを置くということはほとんど建築に近い大事業だったので、オルガンと同じように手軽に使えますよ、というのが楽器としてのアピールになったのかもしれませんね。
ちょっと面白いところではブラジル。「Gaita-Ponto」

「Gaita」とはポルトガル語でハーモニカのことでもありますが、もとをたどればバグパイプを表す言葉「Gaida」につながります。そういえばアコーディオン音楽の代表フランスの「ミュゼット」も、もと演奏に使われるバグパイプ状の楽器そのものの呼び名でした。(下の写真)。

写真3_ミュゼット用のバグパイプ「Musette de Cour」

バグパイプ的な仕組みの楽器はヨーロッパの各国では「農民の楽器」とされていたそうなので、「Gaita」は教会云々より庶民的な場所から出てきた呼び名かも?楽器としての用途の違いも想像されます。
さて、忘れてはいけない我らが日本。アコーディオンの呼び名としてはご存じ、「手風琴」がありますね。中国からの言葉ですが、ここには「琴」が。
そういえば「琴」は他にもさまざまな楽器の呼び名にも使われていますね。理由を考えてみたかったのですが、ちょっと文字数が足りなくなりました。あとは皆さん、いろいろ想像をめぐらせて楽しんでみてください。

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