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日本科学振興協会WGマガジン

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日本科学振興協会の研究環境改善WGや他のWGのnote記事を集めています。
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記事一覧

議論のきっかけとしての科研費増額署名を!

田中智之 まずは学会連合の有志のメッセージを読むところから「日本の未来のために、 科学研究費助成事業(科研費)の増額を求めましょう!」ということで、学会連合の有志という形で科学研究費補助金の倍増を求める署名が始まっています。学会によっては会員にメールすら届かないというところもあるようですが、ここは研究コミュニティ一からしっかりと声が上がることが大切です。この記事は7月13日に書いていますが、署名は25,000ということで、まだまだ伸び代はあるはずです。 日本科学振興協会(

BEAST-JAAS勉強会 2024年度第一回~博士課程支援に関する勉強会~

こんにちは!NPO法人 日本科学振興協会(JAAS)学生部とBEASTです! 2024年度から “Society with Art and Science” をミッションに掲げるサイエンスと社会を結ぶ学生団体 BEAST と一緒に「博士課程支援に関する勉強会」を開催していくことにしました! 2024年4月5日に第1回を開催しました。若手研究者への支援策についての情報を共有し、今後の行動計画を検討しました。 勉強会を開催してきた経緯JAAS学生部では2023年度から勉強会

ナラティブCV(研究者向けレジュメ[履歴書])書式R4RIの日本語訳

「Narrative CV(ナラティブCV)」は、従来の職務経歴書(Résumé)とは異なり、ストーリーテリングの要素を取り入れ、自身の強みや経験をわかりやすくアピールする新しい形式の自己PRツールです。従来の職務経歴書は、職務経歴を時系列に羅列しただけの形式が一般的でしたが、ナラティブCVでは、成果や経験をエピソード形式で記述することで、読み手にわかりやすく印象的に伝えることができます。 DORAなどが推奨する研究者向けのナラティブCVとして開発されたR4RI(Résum

研究評価における定量的指標の責任ある使用に関する指針(日本語訳)

本コンテンツはクリエイティブ・コモンズ表示・継承ライセンスの下で利用可能です(CC BY-SA 4.0)。元資料(英文)を次のように引用してください。 Guidance on the responsible use of quantitative indicators in research assessment http://doi.org/10.5281/zenodo.10979644 研究評価における定量的指標の責任ある使用に関するガイダンスはじめに研究評価は重要かつ

DORAとともにこれからの研究評価を考えよう

田中 智之 私が所属する日本生化学会は国内ではかなり早い段階で署名しており、私も個人で署名しております。DORAの歴史は長く、活動も活発なのですが、今も(特に国内では)JIFによる数値評価が重要な位置を占めている研究領域は少なからず存在します。 研究者の方はご存知ですが、ひとつの学術誌に掲載される論文の引用数の分布は正規分布ではなくべき分布に近いです。その場合、平均値にはあまり意味がなく(例えばものすごく引用数の多いお化け論文はJIFを上げますが、一報による効果です)、J

インパクトファクター至上主義からの脱却を目指そう

藤田医科大学・宮川剛 (JAAS副代表理事) 私は、個人としてDORAに署名し、また日本神経科学学会の将来計画委員会・委員長として学会のDORA署名にもたずさわりました。私が所属している団体としては、他にも日本分子生物学会、日本生物科学連合が署名をしており、日本科学振興協会(JAAS)による署名は私が関係するものとしては少なくとも5つめの署名ということになるかと思います。  DORAの宣言の中で指摘されているようにジャーナル・インパクトファクター(JIF)偏重が数多の深刻

DORA私的雑感

山形方人(JAAS理事) このほど、JAASでは、その研究環境改善ワーキンググループの有志の間で議論し、科学振興の立場から、学術の健全で多様な発展を支持し、多様な観点で研究内容の評価を行うことを、社会全体で共有すべき価値観と考え、DORAの署名を通じて表明することとなりました。DORAは、American Association for the Advancement of Science(AAAS、Science誌を発行)などのJAASが参考にしている欧米の機関も署名して

DORAに準拠した新しい履歴書(narrative CV)

JAAS理事、並木重宏 DORAに準拠した新しい履歴書(narrative CV)についても、多様な研究者を確保するためのしくみとして、この機会に紹介させてください。 DORAのサイトには多く取り上げられていますが、和文ではほとんど言及されていないようです。文章が雑になり恐縮ですが、以下Narrative CVについての情報です。イギリスのRoyal SocietyがDORAと共同で作ったテンプレートが広く使われるようですが、ヨーロッパ各国のFunding agencyで

JAAS(日本科学振興協会)のDORA署名について

DORA、すなわち研究評価に関するサンフランシスコ宣言(San Francisco Declaration on Research Assessment)は、2012年、米国細胞生物学会(ASCB)において起草された研究評価のあり方に関する勧告です。研究計量に関するライデン声明とともに、世界的なイニシアティブになっています。 DORAでは、論文の質を測るメトリクスとして、ジャーナルインパクトファクターが誤用されている科学界の現状を指摘し、採用・昇進・助成等個別の研究者や研究

科学教育 Advent Calendar 2023開催!

執筆者名:下平剛司 (JAAS教育対話促進プロジェクトチームリーダー)  こんにちは! JAAS教育対話促進プロジェクトチームリーダーの下平剛司と申します。この記事では、プロジェクト初の企画である「科学教育アドベントカレンダー2023」について紹介していきます! 科学教育 Advent Calendarとは?「科学教育」を共有する場を創る  教育対話促進プロジェクトは「科学教育で繋がる場を創ること」を目指して活動するJAASのプロジェクトです。  今回の企画名の中にある

オールとエクセレンスを広げる科学教育

執筆者名:山形方人 「Science for all (すべての人のための科学)」 「Science for excellence(卓越のための科学)」 この2つのコンセプトは、科学の普及と発展を両立させるために重要です。 「Science for all (すべての人のための科学)」とは、誰もが科学に触れ、科学の楽しさや面白さ、重要性を理解できるようにすることです。そのためには、わかりやすい科学教育や、科学体験の機会の提供などが必要となります。 「Science fo

Think globally, act locally: 「会いに行ける科学者フェス」での発表のすすめ

以下、日本科学振興協会 年次大会2023の特設ホームページからの転載です。 研究者の皆さまへ、 「会いに行ける科学者フェス」のプログラム委員会・委員長の宮川と申します。 ポスター、展示、企画などのご登録締め切りが8月17日(木)まで延長となりました(その後も紙媒体プログラムへの掲載がないLate breakingの登録受付けも検討中です)。延長にあたり、研究者、特に若手・中堅の皆さまに、本イベントでの発表を勧めさせていただきます。 ご発表のお声がけをあちこちでしていま

JAAS研究環境改善WGのnoteサイトでのフォーラム機能設置

JAAS研究環境改善WGの独自noteで発信したそれぞれの記事について外部との対話を進めるためにフォーラム機能を設置します。 日本版AAAS設立準備委員会を経ての、NPO法人日本科学振興協会JAASの立ち上げ(2022年2月22日)は、科学者のコミュニティを中心とした、様々なステークホルダーの方々を巻き込んでの様々な対話と支援の成果といえると思います 。その歴史を辿れば、以下のような対話の仕掛けがありました。 ◆ 総合科学技術会議「科学・技術ミーティングin大阪」(201

絶滅動物の復活はできるのか、そしてやるべきなのか(後編)

 皆さん、こんにちは。JAAS広報・アウトリーチWGの中西です。  前回に引き続き、ケナガマンモス復活計画の記事です。  前編(前編へのリンクを貼る)では、どのようにしてケナガマンモス(ならびにその他の絶滅動物)を復活させようとしているのか、その方法について解説いたしました。  そして、復活計画とはいっても、現在考えられている方法で復活するケナガマンモスは、ケナガマンモスそのものではなく、ゲノム編集でケナガマンモスの遺伝子を導入してケナガマンモスの特徴を持たせたゾウ、いう