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イノベーションユース シーズン2:セカンドラウンドの様子を紹介!

執筆者名:大賀哲
(日本科学振興協会)

 こんにちは!日本科学振興協会の大賀です。前回は、イノベーションユースの概要をご紹介させていただきました。今回はイノベーションユースで実施していることを具体的にご紹介していきたいと思います。


イノベーションユースセカンドラウンド実施!

中高生がオンラインで発表

 先日11月25日(土)26日(日)に、セカンド・ラウンドと呼ばれる中間発表を行いました。イノベーションユースは、ファーストラウンド(書類選考)、セカンドラウンド(中間発表)、ファイナルラウンド(最終プレゼンテーション)と進んでいきます。ファーストラウンドの応募者の中から内容やメンター(応募者の研究にアドバイスをする研究者や有識者)とのマッチングを検討し、以下19名の応募者の方にセカンドラウンドで発表をしていただきました。

  • 川井和(長崎県立諫早高等学校)貧困・孤立をなくすための子ども食堂

  • 久次里佳(神戸大学附属中等教育学校)部活動と非認知能力の育成

  • 大山絢有実(宮崎大宮高校)コラッツ予想

  • 浦上尚子(神戸大学附属中等教育学校)即興型英語ディベートスピーチの研究

  • 法月彩芽(神戸大学附属中等教育学校)未就学児に対するシティズンシップ教育

  • 齋藤遥(徳島県立城ノ内中等教育学校)視覚情報が感覚に与える影響)

  • 横山史織(神戸大学附属中等教育学校)声に含まれる倍音と聞き手が受ける印象の関係性

  • 倉本萌花(神戸大学附属中等教育学校)言語表現と無意識

  • 吉井葵(三田国際学園高等学校)入試における教育格差

  • 荒井咲良(神奈川県立相模原高等学校)効率的に計画を立てる方法

  • 秋元咲潤(神奈川県立相模原高等学校)野菜の色素を使った色鉛筆の試作

  • 庵本悠惺(熊本県立天草高等学校)海洋資源の持続可能な利用

  • 比留川紗矢(鎌倉女学院)果肉と種を一緒に食べられるアボカド開発

  • 松浦茅南(神戸大学附属中等教育学校)女子高生の摂食障害とSNS

  • 冨重友花(神戸大学附属中等教育学校)行きやすいカウンセリング

  • 高山かれん(東京学芸大学附属国際中等教育学校)SafeBuddy : 学生による、学生のためのセクシュアルハラスメント予防アプリ

  • 巴山天(神戸大学附属中等教育学校)ボードゲームの教育現場への導入

  • ロリーバ秋令(三田国際学園高校)異世代間フレンドシップ

  • 武田光平 アントレ教育の効果とオンライン教育

自分の発表だけでなく質疑にもトライ

 ほとんどの応募者の方がはじめて研究発表するという状況で、20分で研究発表、残りの20分で質疑応答を行いました。とくに、イノベーションユースでは応募者どうしのコミュニケーションを深めるために、応募者が自身の研究を発表するだけでなく、討論者として他の応募者の発表にコメントするかたちをとっていました。自分の発表だけでなく、他の応募者の発表からも多くを学び、実際に言葉にして質問やコメントをしていました。

発表した中高生の方々の感想

研究発表は私にとって初めての体験で、たくさんのことを学ぶことができました。一番嬉しかったことは、普段はあまり関わっていない方々から、私の研究にコメントを頂くことができたことです。私が知らなかった研究手法や、もっと私が発表の中で説明すべき箇所などについて知ることができました。頂いたアドバイスを活かして、ファイナルラウンドでより良い発表ができるよう頑張ります。

浦上尚子(神戸大学附属中等教育学校)

イノベーションユースでは、自らが進めてきたプロジェクトを更にアカデミックに深めることのできる実験的環境だと感じました。大学の教授やメンターの方と共に、プロジェクトの改善点や追求すべきポイントを見つけることができるので、視野が広がり、研究内容のブラッシュアップができる機会として貴重な経験をさせていただいています。セカンドラウンドは一度自分の研究の方向性を定めて、次のステップに自らの思考を繋ぐ良いイベントだったと思います。

ロリーバ秋令(三田国際学園高校)

私はセカンドラウンドに2日間参加した。自分のセッションだけでなく、他のセッションの発表や質疑、さらに特別レクチャーの中にも多くの学びがあった。特に研究過程で行う実験の妥当性については、研究者としての目線からさまざまな指摘を伺え、今後の研究活動を円滑に、適切に進めていく上で非常に重要な経験となった。これを糧に、ファイナルラウンドに向けてさらに研究に励みたい。

齋藤遥(徳島県立城ノ内中等教育学校)

中間発表を通じて、今まで行ってきた研究をまとめ、今後に向けてどのような活動を行っていくべきかを整理することができた。その上、研究内容を初めて聞く人の前で発表をすることにより、新たな改善点がどんどん明確になっていった。例えば、私の研究の一部として性暴力防止のアプリ開発を行っているのですが、「性暴力を通報することのハードルを下げることはもちろんですが、そもそもアプリをダウンロードするハードルを下げないと利用者が増えていかないのでは?」という意見をもらい、このようなセンシティブな問題解決のためにアプリを作成することの難点が改めて見えてきた。

高山かれん(東京学芸大学附属国際中等教育学校)

普段、全国の高校生と交流する機会もなく、フィードバックをもらう機会もないので貴重な機会になりました。 また、様々な視点からフィードバックをいただいたので自分の視野の狭さを痛感するとともに考え方の幅も広がったような気がします。 自分がしてきたことを他人に発表することは今までしたことがなく、人に「伝える」ことの難しさがよく分かりました。自分が抱える課題も明確になったので今後の活動に生かしていきたいです。

川井和(長崎県立諫早高等学校)

"いま" の現在地点を確かめて次へ

 以上のセカンドラウンド(中間発表)を経て、応募者の高校生はファイナルラウンド(最終発表)へと向かいます。現時点での到達点、達成度とファイナルラウンドに向けて参考にしていただくという意味で、新規性・重要性・波及効果・表現力・遂行力・総合力の各部門で審査を行い、各部門で優秀な評価を得た応募者の皆さんをVisonary Innovatorとして表彰いたしました。
 各部門の受賞者は以下の方々です。

新規性

  • 大山絢有実(宮崎大宮高校)コラッツ予想

  • 比留川紗矢(鎌倉女学院)果肉と種を一緒に食べられるアボカド開発

  • 齋藤遥(徳島県立城ノ内中等教育学校)視覚情報が感覚に与える影響

  • 横山史織(神戸大学附属中等教育学校)声に含まれる倍音と聞き手が受ける印象の関係性

重要性

  • 川井和(長崎県立諫早高等学校)貧困・孤立をなくすための子ども食堂

  • 冨重友花(神戸大学附属中等教育学校)行きやすいカウンセリング

  • ロリーバ秋令(三田国際学園高等学校)異世代間フレンドシップ

  • 武田光平 アントレ教育の効果とオンライン教育

波及効果

  • 高山かれん(東京学芸大学附属国際中等教育学校)SafeBuddy : 学生による、学生のためのセクシュアルハラスメント予防アプリ

表現力

  • 比留川紗矢(鎌倉女学院)果肉と種を一緒に食べられるアボカド開発

  • 横山史織(神戸大学附属中等教育学校)声に含まれる倍音と聞き手が受ける印象の関係性

遂行力

  • 川井和(長崎県立諫早高等学校)貧困・孤立をなくすための子ども食堂

  • ロリーバ秋令(三田国際学園高等学校)異世代間フレンドシップ

総合力

  • 川井和(長崎県立諫早高等学校)貧困・孤立をなくすための子ども食堂

  • 齋藤遥(徳島県立城ノ内中等教育学校)視覚情報が感覚に与える影響

  • 横山史織(神戸大学附属中等教育学校)声に含まれる倍音と聞き手が受ける印象の関係性

 今回の表彰は、あくまでセカンドラウンド時点での評価です。今回表彰された方も、そうでなかった方も今回の結果とフィードバックを受けてファイナルラウンドに臨んでいただければと思います。

10代の研究をサポートするプラットフォームへ

 このようにイノベーションユースでは、10代の若者たちの研究をサポートし、それを形にするためのプラットフォームを目指しています。ファイナルラウンドは3月16日(土)・17日(日)に開催予定で、開催情報はイノベーションユースのホームページをご参照ください。

※本記事は「科学教育 Advent Calendar 2023」の企画において寄稿されたものです。
※本記事の内容や主張は執筆者によるものであり、本記事の掲載をもってJAASや教育対話促進プロジェクトがその内容や立場を支持するものではございません。

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