売れなさすぎる地下アイドルを推すオタクの気持ち
推しの地下アイドルグループがなかなか売れてくれない。
オタクによっては「推しが世間に見つかる」ことを残念がる人もいる。
「自分だけが知っていたのに」
「自分がCDを買わなくても、チェキを撮らなくても、推しは充分に生計を立てられる」
「ステージ上から自分を見つけてもらえなくなってファンサが減る」
そんなつまらない独占欲を満たせなくなると、沼から出て足を洗ったり、現場から遠ざかるのは、よくある話である。
私自身もテレビで見て心惹かれたアイドルやアーティストに心ときめき、何度かライブに足を運ぶも、人気が増すごとにライブのチケットが取りにくくなり、徐々に熱も冷めて茶の間ファンへと化す…。
という経験が少なからずあるので、寂しい気持ちはよくわかる。
ただ、今の推しは、売れなさ過ぎる。
ビジュは良いし、性格も良い。
歌はうまく、ダンスもキレがあるし、
ファンサも毎回特大なものを授けてくれる。
一度会えば心奪われる。
そう思える推しグループが、毎週ライブハウスで一生懸命にアイドル活動をしているのに、ファンが一向に増えない。
遠征をしても、会場にいるのは見知ったオタクのみ…。新たな土地で新規ファン獲得を試みての遠征だったはずが、推しにとってもオタクにとっても、交通費が普段の数倍であること以外はいつもと変わらないライブになるだなんて、誰が想像できただろうか?
こんなに売れてくれない推しが初めてであるがゆえに、気が狂ってこうしてnoteに綴っているわけだが、”売れないアイドル”をそれでも続けてくれる彼女らは、どんな気持ちなのだろうか…。
チケットの売れ行き具合を見れば、
「今日も一桁」
「購入者リストは毎度見慣れた名前ばかり」
「今日もコールが無いかもしれない」
ストライキしたくなるようなステージだとわかるだろうに、それでも満開の笑顔でステージに飛び出してくる彼女たち。
グループ始動から手を抜くことなく一生懸命にアイドル活動を続けているにも関わらず、一向にファンが増えていかないことに、プライドはズタズタになっていないだろうか。
そんな心配を蹴散らすような、120%の全力パフォーマンスを目の前の客に見せつけてくれる彼女らに負けないように、オタク達もコールを発しながらペンライトを振るも、少人数のか弱い声量では、大音量の音響にかき消されてしまう。
オタク達の弱さが申し訳なくて、毎度涙が零れそうになる。
講演後のチェキでは、隣のアイドルグループには長蛇の待機列ができているにも関わらず、数人で何度も最後尾のプラカードを回し、時折床に置かれる様子を見て、彼女たちは何を想っているのだろう。
売れて遠くへ行ってしまう寂しさよりも、売れない虚しさがこんなに申し訳ないだなんて、知らなかった。
どんなに客が少なくても、目の前にいるファンを楽しませる。
そんな信念が伝わってくるような、全力のパフォーマンスを魅せてくれる彼女らが、一日でも長くアイドル活動を続けてくれますように。
「推しは推せる時に推せばよかった」
そう後悔せず済むように、今日も今日とて、推しに会いに行く。
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