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2020年上半期ベストアルバム

岡村靖幸『操』

序盤の高い熱量を徐々に体に馴染ませていくかのような印象を受ける流れ。しかし、表面上落ち着いているようでも、心の中心は弾まずにはいられない。アルバム感想のエントリが思った以上に読んでいただけたのが嬉しかった。


The Strokes『The New Abnormal』

彼らのディスコグラフィを全く追ってない俺だけど、このアルバムは完全にヒットした。SMAP「SHAKE」のハットの音のような「ッツー」という金物の鳴る一曲目「The Adults Are Talking」から間違いねえなって感じ。アルバム通して間違いねえなって感じ。


Dua Lipa『Future Nostalgia』

速過ぎず、そしてしっかりとしたビートのメロディが立ったダンスチューンが並べられていて、単純にアガる。そして、全て調べたわけではないので間違えているかもだけど、女性の代表としてのステイトメントの側面も強いのかな、と。「Boys Will Be Boys」はガッツーンとキた。内容やタイトルもそうだし「The Kis ain’t Alright」という一節も。


HAIM『Women in Music Pt.Ⅲ』

大体の収録曲が3分前後の長さで、かつ派手すぎないキャッチーなメロディ。そしてアルバムからの1stリリース曲「Summer Girl」で示されていたようなサウンドプロダクションはアルバムにも引き継がれており、まあこの音がたまらねえ。サックスも、バンドサウンドのもフォーキーなのも打込みものもバッチリ。デュアリパの作品同様タイトルから分かる通り、この作品はバンドをする女性音楽家からのステイトメントとしての側面も。


Hinds『The Prettiest Curse』

前述したHAIMと同様の印象の良さでセレクトしたところがあるんだけど、こっちの方がもっとガレージ感があるというか、いい意味でテキトー感があると言うか、作り込み過ぎてないことによる散らばりながら高まる熱を感じると言うか。マイケルジャクソン「Black or White」のギターリフみたいなのが出てくる「The Play」が特に好き。

作品タイトルの「The Prettiest Curse」は、”最高にかわいい呪縛”の意。「素晴らしくもタフでなければ続けていく事ができない、女性がロックバンドとして生きる呪縛を、全面的にポジティブに受け入れていくという決意」が込められているという。https://mag.digle.tokyo/review/82521/2

ということで、意識してなかったけれどスタンス的にもHAIM的な所があったんだな、と。


サニーデイ・サービス『いいね!』

ホントに聴き終えて「名盤だ…」とかではなく、カラッとした気持ちで「いいね!」と思えた作品だった。今年の始めにリリースされた「雨が降りそう」を踏まえるともう少しドロッとした楽曲が多いアルバムが出るものかしらと思っていたのだけど、良い方に裏切られたなあ。やついフェスでのアクトを観たのだけど、「コンビニのコーヒー」ホッントに最高だった。


及川光博『BE MY ONE』

これまでのミニアルバムでポップ、ロック、ラテンなど様々なトライをしてきたからか、本作はミッチーの音楽性の中心であるファンクの成分が強めの内容となっている。楽曲は粒立っており、歌詞でしっかりと「ミッチー」を演じきっているのは流石の一言。ミッチーのペンによる「悲しみで胸がいっぱい」を聞くと、「忘れてしまいたい」を思い出してしまうのだけど、こういった恋に破れる(若しくは上手くいかない)男性を描き続けるのは、50歳になっても変わらないもんなんだね。


DAOKO『anima』

正直前作、前々作と全く良い印象がなく…とはいえ「ステップアップLOVE」といったコラボ作品は優れた作品が多く、先行リリース曲「おちゃらけたよ」が出色の出来だったので「いざ!」と聴いてみたら撃ち抜かれた。それこそこれまでの活動で培ったであろうJ-POP的なキャッチーなフックもあるのだけど、ウィスパーボイスで歌われラップされる言葉からはモノクロかつ荒涼とした心象風景…まさにジャケットのような…インナーディストピア…?何とも適した言葉が見つからないが、この低体温加減とインターネットカルチャー、若干のkawaii感も溶け込んでグッとくる内容となっている。


Base Ball Bear『C3』

ここにメッチャ書いたので割愛するが、このアルバムに収められた音がバンドの曲聴く基準的なものになってしまった感じがある。他のバンド聴いてメロディがどうのより、もう録音のされ方がムリだな…とかなるようになった。


THE NOVEMBERS『At The Begining』

前作よりノイズの粒子が細やかかつ洗練されたように聞こえる。ボーカルが滑らかで楽器として楽曲に溶け込ませている感じが前作より強いような印象がある。とはいえ、エッジのたったシャウトやホイッスルボイスも十二分に楽しむことができるけれど。いやー、これがライブでどう再現されるのか体験したくて仕方ない。

正直10枚になんて絞りきれないけれど、だからこそ絞ることで見えて来るものもの有るな、なんて。年末までまだまだ楽しみは続くな~。

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