やっぱりノンケって、みんな、おっぱいが大きい人が好きなんですか?

「皆さんは、女性的なゲイなんですか?」
とノンケに問いかけられて、僕らは、二人とも「うふふ」と口に手を抑えながら『女性らしいポーズで』笑った。けれど、その皮肉は、彼には全く伝わらなかった。典型的な偏見すぎて、もうどこから丁寧に説明すればよいか、呆れていた。軽く笑い飛ばして、僕らは次の話題へとうつった。

ゲイの友達が数ヶ月前から週末だけバーをしていると聞いていて、立ち寄ったお店のカウンターで僕らは話していた。ノンケの彼とは、たまたま一緒になっただけだった。

「どういう人がタイプなんですか?やっぱりノンケって、みんな、おっぱいが大きい人が好きなんですか?」
いくつかの会話をした後、僕の友人は、笑いながら彼に問いかけた。目は全然笑ってなかった。僕は、さっきの『女性的なゲイですか?』発言をしてきた彼が居心地悪そうな顔をしているので、つい助け舟を出してしまった。
「ちょ、やめとき、デリカシーw」
と僕は言った。
「そうですよね、ほら、女性がいる前だし」
とノンケの彼がやや不機嫌そうに言って会話が終わった。

二軒目のバーに行く道すがら、彼の他の発言も思い出して、そういや、あの発言もザ・ノンケって感じで、ちょっと失礼だよね、ほんとやになるよねぇ、と僕らは話していた。
僕は、普段から割と無理解な人々と接する機会が多く、あまりに酷い偏見の言葉にさらされているから、受け流してしまっている。
どれが痛みなのか、もうわからないぐらい、あちこち刺されている。
でも、彼の無知からくる発言を、僕らは丁寧に修正してあげなきゃなんなくて、知らないから仕方ないよねぇ、と適当に流してあげるのが大人で、そうして、僕らの不注意の発言は割と「常識がないな」みたいな目線で厳しくあしらわれるってのは、確かに不公正だなぁ、と思った。

「ゲイの人とかと話したことがあんまりないので、どう喋っていいかわからない」
と言いながら、散々、偏見をバラまいていたし、いざ私たちが逆の偏見をパロディみたいにぶつけてみたら不機嫌になるのだもの。
「ゲイの人と話すのは、気を遣う」と言われるのはやっぱりイラっとくる。カミングアウトしていない人も多いんだから、いつもから気を遣ってくれよって感じだし、だいたい、私たちが、どれだけ普段から気を遣ってると思ってるの?

にじいろらいと、という小さなグループを作り、小学校や中学校といった教育機関でLGBTを含むすべての人へ向けた性の多様性の講演をしています。公教育への予算の少なさから、外部講師への講師謝礼も非常に低いものとなっています。持続可能な活動のために、ご支援いただけると幸いです。