見出し画像

【ジェイの才能探訪#11】子ども達の自立を目指す熱いスクール“ハッピーテラス郡山緑町”(スクール訪問①)

 今回からスクール訪問編をスタートさせる。約10年間教員職をしていた、教員職しか知らない私が、全国のフリースクールやオルタナティブスクール、子ども預かり施設等を訪問し、勉強させてもらおうと思う。

 各スクールの方針、雰囲気、私が受けた感想を簡単にまとめていこうと思う。そのスクールの職員の方から取材した内容を中心にまとめていくが、私の主観がおおいに入り込んでいる部分が多いことを了承していただき、ラフに読んで頂きたい。


 本日の訪問先は“ハッピーテラス郡山緑町”さん。福島県の郡山市に位置する。発達に不安を抱えている子どもが放課後や土曜・長期休暇に訪れ、異年齢で関わりながら、各々の特性を伸ばしていくスクールである。責任者の佐藤さんから話を伺った。

〈 概要 〉
 受け入れている子どもの年齢はなんと、0歳〜高校3年生までとかなり広い。実際に通っている子の年齢は小学生〜中学生が多いようである。利用している総人数は50人以上にものぼるという。もちろん全員同時に利用するのではなく、曜日やタイミングを変えて、入れ替わりながら1日あたり約15〜6人が利用するという。

 0歳〜という小学校就学前から受け入れている理由としては、進学ギャップを緩和するためである。小学校入学や中学校・高校進学となると生活環境が大きく変わる。すると、ストレスによる様々な良くない反応も出てきてしまう。そんな時スクールのスタッフがすでに顔なじみであれば、子ども達も少しは安心できるということである。学校で少し無理をしても、このスクールで息抜きができるのである。

4〜5人でまとまって活動できる
横になれる休憩スペースも有

〈 方針 〉
 冒頭でも紹介したが、発達障がいと診断されたり、診断がおりていなくとも普段の生活で不安を抱えている子ども達が中心に通ってくるようである。では、この子達にどのようになっていって欲しい、どんな姿になって欲しいと思って接しているのだろうか。

 キーワードは「自立」である。まずは自分でやってみる、何事も経験してみることを重要視しているという。将来、社会に出ると発達障がいの有無や程度の重い軽いに関わらず、働いていくことになるだろう。その就職という最終地点を見越して、経験値を積んでおく、自身の得意不得意等を把握していくことで、将来の身の振り方が分かり、自立に繋がるのだろう。

 また、大事にしている観点があるという。失敗の捉え方である。様々な経験をしていくと、きっと失敗することもあるだろう。しかし、これを悪いものと捉えるのではなく、経験の一部と捉えて次の挑戦への糧にしている。
 おそらく、このスクールに通う子達は、学校生活では、落ち着きがない。授業中話が聞けない。要領良くこなせない…などで怒られることが多いことが予想できる。こういった子達へ「ミスして良いんだよ。次に繋げるにはどうしたら良いだろうね。」と失敗を許容するアプローチは、心理的安全性が確保できるであろう。

〈 イベント 〉
 下記の画像を見て欲しい。これは、とある月のイベント表である。

 注目して欲しいポイントが3つある。まず1つ目は、毎日何かしらか楽しそうなイベントが計画されていることである。子ども達がワクワクして来られるように工夫を凝らしているそうだ。(しかし、計画立案は大変!)

 2つ目は、生活経験を重視したイベントが企画されている点である。駄菓子屋やコンビニでお金の使い方を実践したり、土曜日に中学生達が公共交通機関の利用を実践したりと、将来使うであろうスキルの習得を目的とした、自立を見越したイベントが計画されている。
 こういった生活経験は、私が小学校で教鞭をとっている時に、今の子ども達に圧倒的に足りていないスキルだと感じていた。このスクールに通う子達は、さも通っていない子達なんかより上手に生活できるのではないだろうか。

 3つ目は、地域との関わりが大きいということである。普段から地域のお店を利用したり、地域人材を利用してイベントを行ったりすることで地域との繋がりが自然と生まれていく。そうすることで、地域の人々のスクールに通う子達への理解が高まり、地域全体で子ども達を見守っていくことが可能である。

〈 スタッフ 〉
 子ども達がスクールに来るのは午後からである。そのため、スタッフは午前中のうちにミーティングを行う。昨日までの子ども達の様子や注意点などの情報共有を行い、午後からの指導に活かす。また、スタッフ一人一人が今日の子どもが達成する目標を立てる。

 指導中は、他のスタッフの指導方法に口出しをしないという。もし質問等があれば、子ども達が帰った後や翌日のミーティングで共有するという。さらに、親御さんのお迎え時に、今日の様子を報告することも欠かさないということであった。とにかく広く情報共有がなされていると感じた。

〈 最後に 〉
 子ども達の“自立”を目指し、様々な生活経験をが企画されている。情報共有を大切にしながら、子ども達を第一に考えて一丸となって接してくれるスタッフがいる。そんなスクールが“ハッピーテラス郡山緑町”さんである。

 また、話を伺った代表の佐藤さんからは、子ども達への熱い思いが大いに伝わってきた。スタッフ全員が情熱を持って子ども達と関わっていることが分かり、当然話を聞いていた私の心も熱くなった。

 最後に聞いたエピソードを1つ。このスクールは開校して約8年が過ぎ、当時小学生だった子は高校生に。現在、その高校生は小学生の面倒を見てくれるという。「あ〜それやっちゃうと怒られるよね…じゃあこうしたら?」自身の経験をもとに小学生達にアドバイスをする。すると大人の言う事を聞かない子も素直に聞くらしい。もはやスタッフの一員を担っていると言える。自然とこのような動きができるのであれば、もう社会に出て活躍できるのではないかとさえ思えてしまう。こんな子を育て上げられる“ハッピーテラス郡山緑町“さんは間違いなく素晴らしいスクールである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?