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読書録/石山本「源氏小鏡」〜絵で読む五十四帖〜

「石山本「源氏小鏡」〜絵で読む五十四帖〜」 大本山 石山寺

 家のご近所にある「石山寺」は、紫式部が参籠し、源氏物語の構想を練った場所として有名なお寺です。この寺の境内にあるお土産屋さんで母が購入したのが、石山本「源氏小鏡」という小冊子です。

「源氏小鏡」とは、南北朝時代にその原型が成立したといわれるもので、源氏物語本編のあらすじ、登場人物や巻名の由来、和歌などを解説した解説本、今流に いえば「ムック」です。特に、石山寺に伝わる室町時代後期のものと思われる、全5巻からなる「源氏小鏡」は、巻ごとに、その物語の場面を描いた美しい挿絵 が挿入されていて、とっても美しいもの。この「源氏小鏡」の美しい54枚の挿絵と、それぞれの巻のあらすじを短くまとめて解説してくれるのが、この石山本 「源氏小鏡」〜絵で読む五十四帖〜なのです。

 これを見ると、光源氏ってほんと、次から次へと…(笑)。そして上の写真にあるように、きっかけは「影から覗き見」だったり、「聞き耳を立てて」 だったり。平安王朝の男女の恋て、今の常識から見れば「それって、アカンやろ」的な感じですよね。こうしてわかりやすく解説されると、それがあからさま で、なんだか笑えます。

 源氏の息子の代になると(宇治十帖)、登場する女性はたやすく求愛を受け入れなくなってき ます。そこには、亡きあの人の面影に心ひかれて、という即物的な想いで言い寄ってくる男性と、そうした表面だけを見て、内面や人格まで尊重しようとしない ことに複雑な想いを抱いて心を閉ざす女性との、悲しい関係が描かれています。そんな、深い内面世界まで読み取っていくために、まずは入り口としてこういう 本があると、とってもうれしいですね。

 石山寺にお立ち寄りの際は、ぜひ買い求めてみてはいかがでしょうか。絵を見るだけでも、楽しめますよ〜。

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