人生はドラマチックにいかない(映画「HOMESTAY」感想)

※ネタバレ含みますので未見の方はお気を付けください!

「HOMESTAY」を観ました。
正直、特に事前情報なく「評判よさそうだな~」ってだけで観たので、かなりショッキングだった。

散りばめられた若さや青春や爽やかさの奥に隠された痛みや人生そのもの、そこを見つめる怖さの自覚。
だから、明日からも頑張ろう、とか、まあそういういっぱしの前向きな気持ちが得られるというよりは、静かに錘を乗せられたような感覚が強い作品だと感じました。

「答え」について

真が周りの人に「気づかれていた」ことに気づいたシロは、真に身体を返そうと試みる。そこで「シロ自身が死ぬ前に犯した罪」についても問われるんですよね。
そしてシロは自分が真だったと気がつく。
正直、「なんだ、そんなことだったのか」と拍子抜けしてしまった。で、モヤっとした。この「モヤっ」は、何なのだろう、どこから来るのだろうと考えました。

冒頭でも少し書いたように、この映画は「青春」の描写もかなり多いです。その青さに目がくらんでしまうと、彼らが抱える痛みや生への難しさが見えなくなってしまう。
学生や若さに対して爽やかさやキラキラ、を求めてしまいますよね。特に映像作品になると顕著です。ただ、もちろんそのキラキラな側面もある一方で、人に言えない悩みや行き場のない苦しさ、真っ暗な世界を抱えている。その暗い部分は大人になったら忘れてしまうのか、それとも大きくなるのか、敢えて見ないようにするのか。私はその世界を忘れ始めているかもしれない。青春の雰囲気にかまけてドラマチックなラストを期待してしまっていた。これが「モヤっ」の理由。

でも、人生ってそうじゃないよな、と。
自分を受け入れられず自殺した真も周りのせいだと思ったシロも、彼が抱えていかなければならない。突然誰かがやってきて自分の運命や人生が一気に変わることなんてないんですよね。自分が持つ暗い部分も自分の人生として生きていかなければならない、例えそれが自分にとって受け入れ難いことだとしても。

だから、やっぱり自分でどうにかしていくしかないんだ。
当たり前だけれど忘れてしまいがちなこと。
「モヤっ」が教えてくれたこと。

今、こうやって将来を考えるタイミングでこの作品に出会えて良かった。



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