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アレッポの石鹸

『アレッポの石鹸』を使い始めて20年は経過している。

これ一つあればシャンプーもボディソープも何もいらない。

これ一つで風呂での用事は全て足りる。

界面活性剤を使ってないので頭皮への刺激が少ない。段々と薄くなっていた頭髪も減る速度が緩やかになってきた。

『アレッポの石鹸』は石鹸として完璧に機能を果たしてくれるのでこれ以上の期待はしていなかった。

最近その『アレッポの石鹸』に違和感を感じるようになった。

以前のものは枠練り製法で作られ、しっかり乾燥されていた。使用後の水切れもよく乾燥が早かった。

最近購入したものは、石鹸としての能力は全く問題がなくとても気持ちよく使える。しかし使用後の水切れが悪い。角が丸くなる。すり減ると気泡が現れる。

こんなことは初めての経験なので、「どうしたんだろう」と思いラベルを見直した。

アレッポの石鹸職人から
トルコに避難し、多くの困難を乗り越え石鹸作りを再開できました。この石鹸が皆様に愛されていることは石鹸職人にとって誇りです。母国の平和を祈りながら石鹸作りを続けて参ります。(石鹸表面のラベル)

というメッセージが書かれていた。

シリアが戦乱に巻き込まれ、石鹸の製造ができなくなっていたのだ。街中で劣化ウラン弾が使用されて、放射線量が大量に計測できるとのニュースを見たことがある。

『アレッポの石鹸』はトルコに製造拠点を移していたのだ。材料は全く同じで使用感も変わらない。

需要が間に合わないのか、慌てて作っているのが見て取れる。枠練りで気泡の消えるのを待ち切れない様子だ。

乾燥を十分にする前に出荷している様子がわかる。

『アレッポの石鹸』に代わるものを見つけることができないので、このまま使用を続けるが、落ち着いたらじっくり乾燥をしたものを出荷してほしい。





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