待遇とポジションの話
中学の時、終戦記念日特集だったか、某新聞に読者欄で従軍体験が多数紹介されていた。その中にある兵士の体験があった。どこの戦域のどの司令官は投稿では伏せられていたが、「食料も物資も乏しくなり、兵士は苦労していた。すると新任の司令官の命令で、庵を作ることになった。材料も苦労して探しだし、兵士(工兵か?)が色々と足りない中で庵を建てた。しかし、司令官や司令部参謀は庵を自分達だけで独占し、兵士を労うこともなかった。あるとき川に魚を捕まえに行って、件の庵の近くを通ったら、司令部参謀から、ここはお前らが来るような場所じゃない!と怒鳴られて追い返された」という内容。
それから20年ほど経過したとき、何かの雑誌で陸軍参謀だった人の手記を読んだ。「某司令官は文武両道に長けた人で、戦場にもかかわらず、庵を設け、時間を見つけては茶を立てていた。私も参謀として何度も庵に招かれ、わざわざ用意させたらしい茶菓をご馳走になった。あのような人こそ軍人の鑑云々」という内容。
どうも、同じ戦線の同じ司令官の同じ庵の話らしいが、末端の兵士と司令部幕僚とでは、同じ事実もまったく違って見えるものだと思ったことだよ。
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