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どこにでもある日常

遠くの街を散策する
一つ一つの景色が非日常的で素晴らしく感じる
どこにでもある街の景色でさえ美しく感じるのだ

旅先にいたある日の午後
私はどこに行くべきか迷っていた、本来行くはずだった場所は朝早くに行ってしまいすっぽりと予定が空いてしまったのだ

どうしようかなと思いつつ車を走らせる
情報を集めながら考えよう、この旅の目的は映画のロケ地を巡ること
次に見てみたい映画の中の景色はと思考を巡らせながら街の中心部へ車を走らせる

車をコインパーキングに停めると時刻は15時を過ぎていた

車を停めた場所から歩いて20分位のところに撮影場所があるみたいなのでとりあえずその場所に向かうことにする

街中を歩き出す、駅周辺は賑やかで色んな飲食店が立ち並び明るいこの時間から顔を赤らめた人達が談笑している姿もちらほら見える
しばらく歩くと街並みは一変し住宅街の中に

高い建物がなくなり遠くの景色が見える
立ち並ぶ建物の隙間から雄大な山々が顔を覗かせる上を見れば1面青の絨毯
建物自体はそんなに古くないがどことなく懐かしさを覚える雰囲気で少しだけ過去に戻った感覚すら感じさせられる

時折道端にはペットを散歩させてる人、猫を撫でてる人、立ち話をしてる人、子供が遊んでるのを見守ってる母親、学生さんなどを見かける
ここに住んでる人達であろう

撮影場所に着く、なんてことはない街並みの中にある場所なんだがその景色が美しい
遠くに見える山々や澄んだ青空、流れる川の透き通るほど透明度の高い水、その川で優雅に泳ぐ鴨
その全てが美しい

まるで非日常の世界に迷い込んだ感覚だ
私はその場で立ち尽くす
その街の景色の1部になりたかった
穏やかな午後その場所の空気感に飲み込まれる、まだ高い位置にある太陽に照らされる暑さが体から汗を滲ませ時折吹く風が汗を吸ったTシャツを冷やしてくれる

この街に住んでる人達にはどこにでもある日常
しかし私には非日常の世界

人はどんなに美しい景色でもその世界の中にいるとその景色が美しいことを忘れてしまうのだろうか
私が日常を過ごしている世界も実はとても美しい景色の中なのではないだろうか
何時も見ている住んでる部屋から見える景色や毎日通っている道ですらほんとはとても美しい景色なんではないだろうか
それが何時も見える景色だからそんなことに気づかないだけなのかもしれない

この旅から帰ったらもう一度自分のいる世界をじっくり観察してみよう
もしかしたら素晴らしい発見があるかもしれない

どこにでもある日常
しかしそんなものはないんだ
その日常は見方を変えればきっとそこにしかない日常なのだと

この場所で感じられたこと改めて自分のいる世界に美しい景色があることに感謝
「有難うございます」

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