【今週は1名様ご入会!】週間レビュー No.299
今週の週間レビューです。今週は1名様にご入会いただきました。深く御礼申し上げます。
また、29日のオンラインイベントでは、20名の皆様にご参加いただきました。深く御礼申し上げます。
今週は久しぶりにバイサイドのM&A戦略についてお話しています。
【投資基準の明確化】
M&Aの投資基準の定量的な基準としては、投質実行のために最低限必要な期待利回り(ハードルレート)を設定することが多いです。
当該投資案件のIRRがハードルレートを上回るかどうかによって、投資の是非を判断することになります。ハードルレートを設定する際には、投賓先の事業領域や地域国などの特性を考慮しつつ、リスクに見合うリターンを検討します。なお、定量基準としては、EBITDA倍率などを用いて投資回収期間の検討を行うこともありますが、時間価値が考慮されないなど投資判断の手法としてはあくまで簡易的なものである点に注意が必要です。
こうした定量基準に加え、 自社の関連事業への貢献度や各種戦略との整合性など、定性的な評価指標についてもあらかじめ設定しておくことが望ましいです。これらの甚準に満たない買収候補先を「足切り」していくことによって、一貫した投資判断を行うことが可能となり、無用な案件の検討にリソースを投入することも回避されることになるからですね。
モニタリング手法の策定
買収後のモニタリングは、買収した事業の動向を追跡し、所定の目標を達成できているかを評価することが目的となります。M&A戦略策定プロセスにおいて設定すべきモニタリング基準は、全社的なポートフォリオ管理ルールと基本的には同一のものとなります。
特に事業撤退に関する基準を策定することが重要であり、参照すべき経営指標および撤退(売却・清算など)を判断する数値基準など、客観的かつ定量的な基準を定めることが推奨されます。社内の利害調整が複雑となりやすい事業撤退の局面においては定性的な基準では機能不全に陥る可能性があるからですね。
また、M&Aによって自社に加わった会社・事業だけではなく、自社で従来 より保有している事業についても、当該モニタリングの対象となり得ます。前述 のとおり、非中核事業から撤退し中核事業に経営資源を集中することは、全社的な収益性の向上に資するため、既存事業か否かに関係なく自社の保有事業に 対して一律の甚準を設定し、当該基準を下回った場合には撤退するという運用 を行うことが事業ポートフォリオ管理の観点から重要です。
今月のリアルイベントは来週リリースしますが、オンラインのみの予定です。
来週もよろしくお願い申し上げます。