『オーバーウォッチ2』のベータは何故失敗したのか?良いゲームが「良いサービス」にはなれない理由
Activision Blizzard期待の新作『オーバーウォッチ2』(以下、OW2)のベータが開始されたが、その評判は芳しくない。筆者自身、なんとかキーを受け取ってプレイすることになったが、その批判の根拠をすぐに理解することになった。
コンテンツが少ないのである。本ベータに用意されたものは「5v5の設計」「新ヒーロー」、更に製品版に搭載予定の「PvEモード」など決して少なくはないのだが、2016年にリリースされて以来6年ぶりとなる新作から期待されるほどではなかった、という具合である。
事実、日本人として初めてオーバーウォッチ・リーグに参加したta1yo氏のアンケートによれば、93000近い票のうち「楽しい」「楽しくない」ではなく「何が変わったのか分からない」に73%(約68000票)集まるほどに、コンテンツの不足が指摘されている。
では『OW2』は一体何が原因でここまでコンテンツの少ない続編としてリリースされてしまったのか?
原因の一つに挙げられるのは、2021年7月に浮上したActivision Blizzardのセクハラ・パワハラ問題である。一連の報道から垣間見るBlizzard社の労働環境のは間違いなく「面白いビデオゲーム」を作る上で理想とは言い難いことが明らかになったし、この問題に前後してディレクターのジェフリー・キャプランを含む多くのクリエイターが辞職した点も、開発の遅延に影響したと見るのが妥当だろう。
しかし、2019年にはすでに発表を済ませた作品が、土壇場となる2021年のスキャンダルによってそこまでクオリティに影響するかと言えば、それもまた疑問である。そもそも、ta1yo氏のアンケートにもあるように、『OW2』は作品が「良い」「悪い」ではなく「作品らしきものがない」という評価以前のレベルなのだ。
では『OW2』が躓いた原因はどこにあったのか。それはおそらく、2016年に『オーバーウォッチ』がリリースされたその瞬間にまで遡る。言うまでもなく、『オーバーウォッチ』は素晴らしい作品だった。
だが作品として優れた『オーバーウォッチ』も、サービスとしてはその時点で既に大きな欠陥を抱えていたのではないか?「作品」ではなく「サービス」として消費されつつあるビデオゲームの行く末を、本作のベータから問いたい。
「スキ」を押すと私の推しゲームがランダムで出ます。シェアやマガジン購読も日々ありがとうございます。おかげでゲームを遊んで蒙古タンメンが食べられます。