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ゲームゼミ ベスト記事

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#ゲーム

今の任天堂は「子ども」に向き合えているのか 現代エンタメの「子ども」の居場所

先日配信された「Nintendo Direct 2024.6.18」を見た。「ニンダイ」ことNintendo Directは恒例となっている任天堂独自の放送だが、今回も非常に盛況な結果となったようだ。ソーシャルメディアには数多の好意的な感想が寄せられ、メディアも嬉々として取り上げた。Nintendo Switchの成功以降、ゲームカルチャーを7年に渡ってドミネートし続けた任天堂の権威は、未だ揺らぐ気配がない。 筆者もまた、リアルタイムでこのニンダイを見て、そしてゲーム仲間と

『学園アイドルマスター』批評 アイマス×スレスパ=「成長感」

5月16日から配信された『学園アイドルマスター』(以下、学マス)は、現状2024年に発売されたゲームの中で随一の傑作である。 それは「ソーシャルゲーム」と呼ばれる、モバイル向けキャラクター収集ゲームに留まる範囲ではなく、一般的な大作やインディーといった垣根を超えてなお十分評価に値する程度に、一本のビデオゲームとして論ずるに値するテーマとその達成を確立したからである。 では本作の本質とはなにか。まず本作のベースとなっているのは、既にSNS等でも語られる通り『Slay the

「今、ゲームメディアが死につつある」ゲームジャーナリズムの限界と提言について

今、世界的にゲームメディアが死につつある。 確かに、以前から衰退はしていた。特に、2023年にはFandom WikiによってGameSpotやGiant Bombといったサイトが買収された途端、40〜50人がレイオフならびに何らかの影響があったと報道された。VICE、Destructoid、The Escapist、Dot Esportsなどでもレイオフがあった。いずれも海外では大きな影響力を持つゲームメディアであるにもかかわらず、明白に経済状況は悪化していた。 そこに

「減益したのはスクエニだけではない」決算資料から紐解く、日本ゲーム業界の「真実」

スクウェア・エニックス(以下、企業名は一部省略)が苦しんでいる。24年3月期決算によれば、営業利益は前期443億円から325億円と26.6%減らした。このため、数々のゲームメディアやSNSでは同社に対し嘲笑的な風評が寄せられ、5月13日まで約6300円だった株価も約5300円と急落した。結果、スクエニは今日本で特にネガティブなイメージのある企業となったことは否めない。 しかし筆者は、この報道には疑問がある。 スクエニが減益で苦しんでいるのは事実だが、それは何も、スクエニだ

『Starfield』の真実 Bethesda30年の歴史に見る、栄光と衰退

2023年に最も落胆されたゲームは、おそらく『Starfield』である。 『Starfield』は2023年9月、Bethesda Game Studiosが手掛けた、宇宙を舞台にしたRPGだ。約7年、巨額の予算と膨大な人員というリソースが費やされ、さらに開発陣自ら「Bethesda史上30年ぶりの完全新規作」「1000以上の惑星となる宇宙が舞台」と大いにオーディエンスを盛り上げていたことで、2023年にもっとも期待される作品の一つとなっていた。 しかしながら、実際に発

『SANABI』の真実 韓国文化と韓国社会から考察する「韓国ゲーム」の達成

2023年には多くの韓国発のビデオゲームが話題になった。インディーゲームとしては異例のヒットとなった『Dave the Diver』、リッチな表象でソウルライクを再解釈した『Lies of P』、ダンジョンクロールを対人ゲームとして落とし込んだ『Dark and Darker』などだ。しかし、こうした韓国産ゲームの中で筆者個人が最も評価しているのが『SANABI』である。 『SANABI』は韓国のインディースタジオ「Wonder Potion」によって開発された、ワイヤーフ

100本以上ゲームを遊んだJiniが選ぶ、2023年のゲームランキングTop10

2023年は21世紀のゲーム史においても2004年、2007年、2017年に匹敵する豊作の一年であったことは記憶に新しい。数々の話題作が発売され、一本がソーシャルメディアでバズっては、また別のゲームがその話題を塗り替え、そして忘れられていくサイクルを何度も目にした。 そうした一年の中で、私はのべ100本以上のゲームをプレイした。そしてこれほど遊んでいると、その中には言葉に窮する平凡な作品も多々あったのだが、ごく一部、こうした「バズ」の如何に関わらず、純粋に今も記憶に留まるゲ