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『ゲームゼミ』ゲームを本気で語ろう

3000万回読まれたゲームブログ管理人による、日本初のペイウォール型ゲームメディア。「20年代のビデオゲーム文化」を語るべく、社会、文化、哲学などを縦断的に論ずる、ビデオゲームを… もっと読む
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#ゲームレビュー

突如大ヒットした『HELLDIVERS 2』の魅力は「味方を殺せること」

今年2月8日に、Arrowhead Game Studiosから発売された『HELLDIVERS 2』が、話題を呼んでいる。中小規模のインディースタジオにも関わらず、販売して一週間わずかで100万本を達成、あまりの人気でサーバーがダウンし、その人気で更に人気を呼んでいるという好循環だ。 では『HELLDIVERS 2』とは一体どのようなゲームなのか。内容は非常にシンプルである。舞台ははるか未来の宇宙。宇宙進出に果たした人類は、各惑星を植民地化して資源を吸い上げることに成功し

ローグライク論 世界で最も美しいゲームデザインの一つを分析する

8/11更新:いただいた反応に対する返信をページ下部に追記しました 気付けば、「ローグライク」はメジャーなゲームジャンルとなった。とりわけインディーゲーム文化においてその存在は非常に大きく、インディーゲーム市場を見れば2~3割は「ローグライク」あるいは「ローグライト」的な要素を備えている。 筆者個人の考えとして、ローグライクは恐らく世界で最も美しいゲームデザインの一つだ。美しい、つまり完成されている。種々のルールがことごとくシナジーを生み出し、プレイヤーのゲームプレイの中

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作品を批評しているのか、批評を批評しているのか ──ゲームゼミ週報

先日、筆者は「2023年に考える『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』の功績」という批評をゲームゼミに寄稿した。全部で約2万字のこの批評は、ありがたいことに大変多くの方に読んでいただくことができた。これはまったくの自画自賛だが、自分がこれまで書いた批評の中でも会心の出来だと思うし、作家として書き続けてきたことに対する自信を持てた。 ところで、今回の批評における結論……『ゼルダBotW』は西欧的なゲームデザイン(オープンワールドとイマーシブシム)と日本的なゲームデザインの「シ

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2023年に考える『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』の功績

2023年5月12日、ゲーム業界を揺るがす衝撃が走った。『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』(以下、ゼルダTotK)の発売である。まず本作は傑作である。具体的には2023年における最高傑作なのはほぼ確定として、恐らく2020年代において本作を超える傑作はもう出ないのではないかと早くも思わされるほどの傑作であった。 筆者も批評を書く人間として、さすがに『ゼルダTotK』について語らずにはいられなかった。しかし、本作を語る上で大きな問題が一つあった。それは前作『ゼルダの

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Xboxが”本気で”目指す「ゲームクリエイター・ファースト時代」の予感

6月12日、Microsoftは「Xbox Games Showcase 2023 + Starfield Direct」(以下Showcase)と題した発表を行った。その中で、Xboxを中心に今後展開される様々なタイトルがお披露目されたのだが、その内容がとにかくすばらしく、この手の発表では経験したことのない「心に響く」想いがあった。 それは、ただ話題作が多数発表されたからではない。サラ・ボンドやフィル・スペンサーといったXboxの代表者たちが、繰り返し「ゲーム制作者を第一

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消えゆく「公園」と「子ども向けゲーム」 ──ゲームゼミ週報

ロックマンエグゼの記事を執筆した。結論から言えば、この作品は何よりも当時ローティーンにこれほど寄り添った作品は既に珍しく、その点こそ評価すべきという論旨だった。実際、筆者自身も「エグゼ世代」であり、『エグゼ』というゲームもさながら、アニメ、マンガ、おもちゃといったメディアミックスを含め、子の世界観に没頭していたのだと思う。 ただ、この記事を書いていてハッとしたことは、まさに『エグゼ』のような「子ども向けゲーム」は現在とても減っているか、もはや消滅してしまったということである

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PS5で発売される15本の要注目ゲームと、今後のSIEの戦略を解説する

2023年5月25日、ソニー(SIE)は“PlayStation Showcase 2023”をYouTube、Twitchで放送した。本番組ではのべ33タイトルの新作情報が公開され、PS5とPSVR2を軸にした今後のSIEの戦略も垣間見える、想像以上に興味深い内容だった。 はっきり言って、この発表はゲーム業界でほとんど波紋を呼んでいない。なんといっても日本語放送もなく、そのうえ海外タイトルが主だったので、日本の多くのゲームファンは配信を見ても「なんじゃこりゃ」と一瞥して帰

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オープンワールド論 定義と歴史から現代ゲームの本質を捉えなおす

2023年5月12日、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(以下、TotK)が発売された。結論から言おう。本作は傑作の中の傑作である。まだ完全にクリアしていないが、極めて高い確率で『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、BotW)を超えた傑作だ。 そこでさっそく『TotK』のレビューにうつりたい……と考えたのだが、ここで少し問題となったのが『TotK』を語るうえで当然避けられない「オープンワールド」というワードについて、実のところ筆者を含めまともな

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「高齢者は社会の負担なのか?」 ──ゲームゼミ月報(2023年4月)

「高齢者」は果たして日本社会の負担になっているのか?辛うじてZ世代と言えなくもない年齢の筆者だが、先日、仕事上での後輩と打ち合わせしたとき、大真面目に「老害の負担のせいで自分たちの世代がダメになる」と訴えるのを聞いて驚いた。要は、成田悠輔氏による「高齢者は集団自決すればいい」などネットの「老害論」を真に受けたらしい。 今でこそ成田氏の主張は批判されているが、実のところ成田氏は2019年から繰り返し主張しており、むしろ彼は「老害論」とでもいうべきラディカルな思想によって現在の

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真のホラーゲームはルールで恐怖させる ゲーム史に残すべき傑作ホラーゲーム3選

『バイオハザード RE:4』が発売された。元々2005年に発売された『バイオハザード4』をリメイクした作品だが、バイオハザードの中でも最高傑作と名高いこの作品を、極めて丁寧かつ見事に蘇らせており、リメイクかくあるべしと言わんばかりのすばらしい作品となっている。 しかし「バイオハザード」を語る前に、そもそも「ホラーゲーム」とは何なのか。もっと言えば、ホラーゲームのように「存在しない何か」に恐怖を抱くのは何故なのか、というテーマはあまり語られてこなかったように思う。そこで前回の

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「タルコフから脱出できない理由」「美しさと正しさ」「炎上は無力」——ゲームゼミ月報(2023年1月)

ゲームゼミも今年で3年目ということで、そろそろ新しいことをしたいなと思う。それがこの「ゲームゼミ月報」。なんということはない、要するに日記的な連載記事である。 ゲームゼミでは毎月、それなりに気合の入れた記事を更新してはいるものの、もう少し手頃に読めるような記事があってもいいのではないかと思い、半分日誌(というか月誌)として書くことにした。特にTwitterの空気感にはほとほとうんざりしているので、Twitterに書きたいけど変に解釈されそうだから書けないよね~的な話もゴリゴ

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ゲームを1年で120本遊んだJiniの考える、2022年ゲームランキング

長くおまたせしてしまったが、ようやく2022年の最良のゲーム……ゲーム・オブ・ザ・イヤー(GoTY)についての記事が仕上がった。2022年は比較的豊作だったと考えており、したがってGOTY記事の執筆には多大な時間を費やすことになったものの、それは大変に幸福な作業であったといえよう。 ところで、筆者はこのゲーム・オブ・ザ・イヤーの選定にあたり、自信がある。憚らず言うなら、自分こそ2022年のビデオゲームの美をもっとも理解し、それについて語るべき存在であると公言したくなるほどの

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