詩(私は/虚無と…) 2022年12月19日投稿

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私は
虚無と
並んで座っている。
彼女が
体を寄せてくると
私はその肩に
腕を回す。
彼女も腕を
絡ませてくる。
それから
私たちは
強く
抱き合い、
互いの体の
冷たさを
感じあう。
やがて
彼女は
牙を剥き出して
私に
襲いかかり、
肉を
喰いちぎり
骨を
噛み砕き
関節を
飲み込み
こぼれた血の
一滴まで
啜(すす)る。
そして、
まるで
何も
無かったかのように
そこには
もう
何も
無い。

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