「そうだ、旅に出よう」といいながら、山に登る
出雲神話を調べる時に参考にする本の基本中の基本は「記・紀」と古代の地理誌「出雲国風土記」だ。ほとんどこれさえあれば、あとは現地で確認していく作業というのがぼくのスタイル(スタイルというほどのものでもないが)だ。
ただ、副読本としていつもそばに置いてあるのは司馬遼太郎さんの旅エッセイ「街道をゆく」シリーズである。
「街道をゆく」シリーズは全43巻あり、司馬小説を乱読した後に最後にたどり着いた珠玉のエッセイ集というべきものであり、今でもぼくの駄文を書く時の参考にしている(ただ、司馬さんとは圧倒的に知識経験において劣っているために、他人が読むとまったく異なる出来となるのは悲しいところだ)。
「街道をゆく」シリーズはあらかじめ大まかなテーマを決めて、国内外のあまたの街道を歩きながら、その土地土地の含蓄のある歴史を物語のように語り継ぐ旅エッセイ。これを読むと旅に出たくなる。
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今、唯一楽しみにしているドラマ(それしか見させてもらえないというのもある)、「鎌倉殿の13人」を観る時も、司馬さんの「街道をゆく」を参考にしている。
街道をゆく42「三浦半島記」は、鎌倉の地を歩き、現代の日本にとっても重要な要素である武士の起こりと「中世」の成立を考えるというもので、「鎌倉殿の13人」を観ながら、そういうことであったのかと再確認できる優れもの。
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ぼくもできることなら「街道をゆく」のように出雲神話に関する名所を歩きながら、蘊蓄を語りたいところだが、実際は浅い薄学のせいもあって、歩くたびに自分が新しい発見に感動してしまう始末で、どうにもしまらない。
今回は休日を利用して、いまだ登ったことのないカンナビ山登山を試みた。
出雲に伝わる四大カンナビ山。ひとつは地元のカンナビ山・仏教山。もうひとつは四大大神のひとりを祀る佐太神社を見下ろす形の朝日山。そして、先日登山した大船山。そして最後に目指すは茶臼山である。
この地は「出雲国風土記」が作られた時代、出雲の中心地であり、出雲国府がおかれていた。茶臼山はそれを見下ろすように聳え立っている。近くには「出雲風土記の丘」や最古の神社形式を保つ神魂神社がある。
これだけ名所がそろっているとすべて回りたいところであるが、今回はカンナビ山登山が目的であるため、泣く泣く割愛させていただいた。
茶臼山。標高171m。カンナビ山の中では最も標高の低い小山。しかし、低い山だからと言って侮ってはいけない。先般の大船山登山で大変な目に遭ったので、今回は気合を入れてやってきた。
しかしこまごまとした住宅に囲まれて、どこをどう探していいのかわからない。とりあえず茶臼山に当てを付けてその周辺を回ってみると、住宅の中にひっそりとその登山口があった。
大船山登山で学んだので、すぐに登山入り口にあった杖をお借りする。民家を横目(すぐ横に民家がある)にいざ登山!
登ってみて分かったのだけど、ここからは出雲が一望できる。出雲国府も真下に見え、さらに宍道湖、中海が西に東に見渡せる。確かにこれは絶景だ。
前回、記事にした田和山遺跡もこの場所からだとよく見える。このカンナビ山は山代日子命と何らかの関係があったのではと想像するのも楽しい。
登山に30分、下山に15分とちょっとした登山には最適。さらに周りの史跡を歩くとゆうに一日はかかるであろう。ゆっくり古代出雲に思いをはせるならこの地は格好の場所であろう。
ただ、いかんせんこの日は日曜日。
ぼくはこの後、米子に用があったし、夜8時の「鎌倉殿の13人」までには家に帰りたかったので、のんびりしてもいられず、かけるように降りて、車を走らせるのだった。
時間は有限なのは重々承知ているが、もう少しゆったりと一日を使いたいものだ・・・とほほ。
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今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
もし、茶臼山に登るようなことがあれば、出雲風土記の丘や神魂神社、出雲国府址もぜひ一緒に回ってみてください。
なんだか出雲の中心にいる気分になるかもしれませんよ ♪
お待ちしています。
こちらでは出雲神話から青銅器の使い方を考えています。
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