書評 "君に友だちはいらない"

いま、ちょうど、熊本で新たな組織をつくろうとしている最中(さなか)、出会えてよかったな、な本。

基本的には、チームをつくること、そのチームがどういうチームでなければならないのか、を説いた内容だと感じました。たとえば、ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ、という部分では、自分が快適に、豊かに暮らすためには、地縁・血縁があるから集まった組織体ではなく、目的をもった組織に所属することが必要だ、と説いている。そして、たとえ前者であっても、目的指向性を持った取り組みをすることで、だらだらした無駄な時間を減らし、成長に繋げられるというようなことも指摘している。

人生って時間は有限で、効率って僕はわりと考えがちで、だからこの考え方にはぴったりだ。もちろん、キャンプでゆっくり星をみながらお酒を飲む、なんて時間のどこに効率があるんだとも思うけど、そういうことではない。人と人がつくることでしか成立しない"組織"においての話でこそ、そういうことは意識する。

「自分のことを知らない人たち」の中にいることは、自分にとって価値が高い、とも著者は言っている。重複しない知識や体験が折り重なり、チームとしては、新たな価値を創造できるわけだから、できるだけ刷新し続けた方がチームは存続しやすいはずだ。他方、個人にとってもコンフォートゾーンから外れることで成長もできるわけだから、組織も個人もwin-winとなる。組織における人事の固定化は、やっぱり避けねばならぬ。

僕は弱い。だから組織をつくる。その組織がどうあるのがよいのか。そんな助言を天国から教えてくれた瀧本さん。昨夏に亡くなった著者の冥福を、あらためて心から祈りたい。


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