嘘ゲーム日記『すいへり～べ！』第３部

※Twitterで不定期に続けている架空のゲームのプレイ日記のまとめです。
※ひと固まりの文章は一回分のツイートで、本来、各ツイートの冒頭には「#嘘ゲーム日記 『すいへり～べ！』プレイ中。」とついていたものです。
※各ツイートの合間にある「※」のついた文は、編集時につけた注釈で、公開後も追加されることがあります。

第三部：ジャンプ３～４　ルタカ→ウェイン→ラルサ→ブンウー編

　ルシーはポントス星系へ運ぶと言っていたが、次のジャンプ先はルタカ。初めの契約で巡る星系にポントスは含まれていない。
「事情を聞くのは上手に出られる今のうちか」
「そういうこと。ポントスへの追加料金ももらわなきゃね」
　なるほど。成長してるな。

　ルタカ系の主星（がルタカ）は生産性の低い農業惑星。
　ヴォルクォーツは売れないので未成熟区画の分を消費させてジャンプドライブの成長を再開。ルタカで手に入るのは船内で消費する生鮮食品ぐらい。まあ、着陸や燃料の補給前にやることがあるが……。

「なぜポントスに直行しない？」
「費用は払ったわ。予定のコースを飛ぶのよ」
「ここでも一週間以上は停泊するぞ」
「こんな星に？」
「燃料補給と乗客の募集をする」
「そうよ、ミス・ディノク。パトローネにも〈船〉にも、息抜きが必要なんです」

　〈プカプカ〉の加勢は嬉しいが、やはり幼い。感情にまかせて貴族の娘のプライドを傷つけても、復讐心という危険の芽を育てるだけなのだ……と、デュマレストの気分になりつつ、燃料をスクープ（連チャンは嫌だが宇宙港に精製燃料の設備がないのだ）。

　ルタカに着陸。濃いめの大気と、見晴らしの良い宇宙港。〈プカプカ〉にとっては初めての環境だ。
「データとして知ってはいても、こうして肌で感じると違うわね」
「お客は？」
「降りないって言ってるわ」
「オルビクは港の周辺で休暇を過ごすそうだ」

「心配なら、貨物ごと降りればいいのに！」
「あまりルシーを刺激するなよ。契約した寄港地は二つ。あとはポントスへ跳んで、おさらばさ」
「セイロやソリス大学に戻れるのね」
「“彼方”を目指さないのかい？」
「まだよ。まだ〈船〉として未熟ですもの」

　ここにはポントスの貴族が満足できるようなホテルも宙員会館もない。惑星上に点在する放牧地や果樹園、畑などを所有している農場主たちを束にしても大したことはないのだ。なぜ寄ったのか理解に苦しむが、とりあえず降りて平屋の管理ビルへ行ってみる。

「他に船が来ればすぐにわかりますよ」
　と、管理官は請け合った。
　ふむ。もし宇宙船が来たら知らせてもらえるように頼んで、買い付け＆二等寝台の設置の話をしに船に戻る。

「オルビクとも話したが、二等寝台を作りたいんだ」
「もう少し太れってこと？」
「違うよ。それじゃ、ろくなものを食べさせてないみたいじゃないか」
「ふふっ。ちゃんと鍛えて、スマートな体型を保ってますからね」
「どこに作るかはのんびり考えよう」

※二等寝台は乗客を冷凍状態にして運ぶ安価な客室（というか冷凍庫）。狭いスペースで大勢の客を乗せられる。家畜などを生かしたまま運ぶこともできる。

　二等船室が欲しくなったのは、「大地を探す男」は、二等で乗船してくることがあるからだ。普通船室を減らして、特等と二等だけにしちゃおうかなあ。ヴォルクォーツがあるうちはジャンプドライブを成長させるべきだろうし。どうもちぐはぐだ。

　生体宇宙船のいいところは、船内デザインの変更を自己消化と再生で意外と短時間でできること。用途が似通っている器官ほど簡単に行える。通常ドライブやエネルギープラントを二等寝台にするのは大変だが、船室同士ならそれほどはかからないのだ。

　宇宙港から離れた農場へ移動。
　〈プカプカ〉は濃い大気内を飛ぶのが珍しく、楽しいらしい。
「いい匂いがするわ」
「きみの身体を腐蝕する成分の匂いじゃないか？」
「野暮なこと言わないで頂戴」
　そんなやりとりを、特等船客の二人が黙って見ている。

　緑豊かな谷間を抜け、放牧地に接近する。事前に管理棟からメイボル農場には連絡したので、〈プカプカ〉の船体が近づいても農夫たちは驚かない。細い毛の密生した大きな家畜が、あちこちで草を食べている。
「あの岩場に降りましょう」
「任せるよ」

「ここからの谷間の景色が、とても素敵でしょ」
　自キャラが農場主と交渉する間、〈彼女〉は絵を描くつもりらしい。
　歌声が谷間に響き、ムスムス（家畜）が興味深そうに寄ってくる。農場主のメイボルも歌が気に入ったようだ。無事、肉と野菜を買いつける。

※最近はいちいち記録してないけど、〈プカプカ〉は好きな風景を描く趣味があるので、暇があれば描いている。

　メイボル農場には加工場があり、解体して小分けにされた冷凍肉が手に入った。野菜は根菜類が中心。どちらも維持プラントの備蓄スペースに収納される。毛皮も買いたいが貨物に余裕はない。
「客人をもてなしたい。ぜひ屋敷に泊まってくれ」と農場主。

「宴席できみの歌を聴きたいそうだ」
「私はかまわないわよ」
「じゃあ招待を受けるとしよう」
　ルシーも誘うと、船内でやきもきしているよりは――と同意したので、護衛も連れ、三人でメイボル農場へ。この手の移動用に小型のエアラフトを買うべきかも。

　屋敷の庭で、セーゴ・メイボルが盛大な宴を催した。わざわざ買い付けに来たのが気に入ったらしい。近隣の農場主やその家族もやってきて挨拶される。交易路を開拓する手もあるな。
　宴席の料理から、ムスムスの各種調理法を〈プカプカ〉に伝えられた。

　自家製のワインを酌み交わし、陽気な宴席に。
　〈プカプカ〉の歌で踊る若者たち……。
「いい気なものね。こいつらは、あんたたちを『珍獣を連れた興行師』ぐらいのつもりで見ているのよ」
「辛辣だな」
「ルールは守ってるわ。ここは船内じゃないんだから」

　ルシーはだいぶ酔っていて毒舌も全開だ。反論する。
「農場主たちは、この星の先行きを考えてる。そりゃ下心はあるだろうさ。それでもお互い好意を持って取り引きしたい気持ちに偽りはない」
「一方、私は何か隠してるってわけ？」
「そこまでは言ってない」

「そこまでは言ってない。ただ、寄り道のわけが知りたいだけだ」
　ほんとだよ。まあ、こっちはのんびりと〈船〉を成長させてるんだから別にいいけど。
「あのプラントは、やばい品なのか？」
「違うわ！　ただ……」
「ただ？」
「万が一に備えて……」

　結局それ以上は聞き出せなかった。ルシーは酔いつぶれ、マルガに連れられていった。屋敷から出てきた護衛に尋ねる。
「みんなのために、一つだけ教えてくれ。お嬢様の機械船は、ハーニオンで本当に故障したのか？」
「それは……いいえ」
「やはりそうか」

「船だけでなく、きみたち二人もハーニオンに足止めされている――ということか」
「そうです。表向きは」
「だが、寄港して手続きをすればばれることじゃないか」
「たとえわかっても、今から追いつくのは難しいし、どの船に乗ったかもわかっていない」

　なにが「やばい品じゃない」だ。
　農夫たちに民謡を教わり、一緒にいい気分で歌っている〈プカプカ〉に、オルビクへ電話をするように頼む（人類と違って生体宇宙船には朝飯前だ）。
　船医は、宇宙港の管理官に「融通を利かせる」役目を引きうけてくれた。

「他の船が来ても、我々のことを知らせるのをぎりぎりまで待てと頼めばいいんだな」
「そうだ。理由は、新たな交易ルートの開拓をライバルに邪魔されたくないから……わかるな？」
「〈トラビス〉じゃ、よくやってたよ」
「うまくやれ。ボーナスははずむ」

　オルビクめ、医者なのに〈贈賄〉技能があるのはそういうわけか。でも、助かった。管理官も、こちらが他船を気にしているのは知っていたしリアリティはある。って、ゲーム内で、そこまでフォローしているかどうか知らないが。
　というわけで、屋敷で寝る。

　今日からはゲームをやってられなくなるので、まあ、いけるとこまでいったらセーブだなあ。

　結局、農場で数日過ごした。自然を満喫し、〈プカプカ〉の絵も仕上がった。オルビクは港で待機していたが、他船は一隻も来ていない。
「音楽データにない歌をいくつも覚えたわ」
「ルシーじゃないが、きみがジュークボックスにされる前に出発しよう」

　ルシーたちも素朴な世界で過ごすことで気分転換になったようだ。
　もっとも、二人が船外にいる間に、〈彼女〉に貨物を詳しく調べてもらったが。
「生体宇宙船の中枢部への接続が可能みたい」
「じゃ、機械部品というより身体の一部なのか？」
「さあ……」

　危険物ではないようだが、この貨物を追う者がいるみたい。
　ルシーとまた交渉するか。「カマをかける」が可能だといいんだが。
　メイボルには、他の船にもいい農場があることを報せると約束し、出発。
「宇宙港で船医を拾うのを忘れるな」
「もちろんよ」

　献立に美味いステーキと揚げた芋や、地ワインを使ったシチュー、カブとすね肉のポトフなんかが混じるようになり、いい寄り道をしたと実感する。
　ルタカ産のムスムスは、本気で高級商品にできるのでは？
「〈船〉のシェフの腕もほめて欲しいんですけど」

※食事は〈プカプカ〉が調理している。

　セーブ。
　次の寄港地はウェイン（水界度０の砂漠惑星）。
　ジャンプドライブが成長中。二等寝台の成長点を設置。
　船倉は特等のルシー・ディノク（ポントスの貴族で科学者）の船荷と、ヴォルクォーツ（消費中）。
　ルシーの護衛のマルガと、船医のオルビクも同乗中。以上。

※しばらくツイートを控えるときは、セーブ情報を書くことにしている。

　しばらくほとんどできないので、プレイ時間をみんなに追いつかれてしまうなあ。って、もうとっくに追いつかれてるか。というわけで仕事に戻ろう。

　ちょっとプレイ中。
　ウェインに寄港。砂漠だが有用な鉱石が産出する。初期開拓者たちの一族が支配。実際の産出作業は今では多星系企業のメリオール社が請け負っている。
「二等寝台が八基、来週には使えそうよ」
「砂にやられないよう着陸してもフィールドは切るな」

※「多星系企業」もピンからキリまである。“連合”中にたくさんの支社を持っている超巨大企業もある。

　ちょっとプレイ中。
　客二人は追っ手（来るの？）を恐れて船から降りない。
　できたばかりの二等客室には意外と乗船希望があり驚く。この砂漠で、いくつかの支配者一族とメリオール社に酷使される流れ者が逃げ出す唯一の手段なのだ。二等料金が払えるだけましらしい。

　ちょっとプレイ中。
　メリオール社のコネのない船にとっては、交易のうま味があまりない星だ。鉱石も安くは売ってもらえないし。食料品は高く売れるが肉も野菜も売る気はない。
　もしや停滞気味？
　忙しくて少しずつしかできないけど、まだ私はやめる気ないぞ……。

　ちょっとプレイ中。
　こんなウェインにも宙員会館はある。メリオール系のホテルは、よそ者だとぼられそうな気がしたのでこちらに滞在。
　特に見るものもなく、噂話に耳を傾ける。砂に埋もれた謎の遺跡の話を聞いたが、さすがに今は手が出ないって。ここは早く発とう。

　あ～。『すいへり～べ！』やりたい。けど、作業に戻る。

ちょっとプレイ中。
　夜、プカプカから定時連絡。
「外は砂嵐よ。フィールドがあっても気が滅入るわ」
「いいエアラフトの出物は？」
「メリオール社を通さないとダメ。買うことないわよ」
「ふうむ」
　長居すれば支配者一族と知り合えるかも……だが、まあ次の機会だな。

　ああ、遊びたい。〈プカプカ〉を育てたい。あと、クトゥルフのゲームも楽しそうですな。現実にまで忍びこんでくる感じがｇｏｏｄだ。さて、作業に戻ります。

　いやはや、すまんです。仕事が終わるのは、まだまだ先らしく。ゲームは、ちょっぴりになってしまってます。ううう。細く長く続けるつもりなのでいいんですが。でも、さみしいですもんね。

※やはり流行り初めのこの時期に、言い出しっぺの私のツイートが減ったのが原因か、他の人の日記も減り始めた気がしていた。

　ちょっとプレイ中。
　二等船客は船医の処置を受ける。オルビクの腕は良いが、蘇生失敗は起こるらしい。
「〈プカプカ〉、もしそうなっても君に責任はない。蘇生確率は乗客の資質に起因する」
「それでも、お客さん全員が無事に目覚めて欲しいわ」
　うむうむ。いい子だ。

　セーブ。
　次の寄港地はラルサ（工業惑星）。
　ジャンプは４に成長（パワープラントはまだ３）。
　二等船客８人。船倉は特等のルシー・ディノク（ポントスの貴族で科学者）の船荷とヴォルクォーツ（消費中）。
　ルシーの護衛のマルガと、船医のオルビクも同乗中。以上。

※ネジ巻いて仕事しなきゃいけなくてTwitterを封印したいときはセーブ。

　ちょっとプレイ中。
　ラルサの主星に寄港。工業の発達した主星と小惑星帯に人口が集中している。
　〈プカプカ〉は久しぶりに精製した燃料を補給して嬉しそう。彼女の成長に必要な他の物も調達できそうだし、いいエアラフトも買えそう。二等船客の解凍も全員成功した。

※ガスジャイアントが無い星系だと燃料が有料になることが多い。水界があると海水をスクープできることもある。この辺は『トラベラー』のまんま。

　あー。続きがやりたい！
　やりたいが、どうにも暇がない。終わったらたっぷりやるぞ～。

　あともうひと山ってときが一番辛いなあ。まあ、楽しくもあるんだが。
　ああ、『すいへり～べ！』がやりたい……。

　久々にプレイ中。
　もともとのルシーとの契約は、この星系（ラルサ）までだった。「ポントスまで行くのか？」と聞いたら「まずは小惑星帯へ向かってくれ」とのこと。
　まあ、たっぷり儲けさせてもらっているからいいけど……というわけで主星を飛び立つことに。

　って、『すいへり～べ！』の前に、確定申告だよ。
　仕事追いつめられてたから、まったく手つかずだよ。わーん！

　小惑星帯は、鉱山だけでなくこの環境を逆に利用した工場が多いらしい。
　氷の塊の工場についたのだが、妙な指示が。
　ルシー「荷物を積み替えてもらうわ」
　今まで運んでたものを下ろし、似たような船体部品を積み込むらしい。うさん臭いなあ。

　〈プカプカ〉が「話がある」とのこと。
　貨物の積み替えは工場小惑星のスタッフに任せ、ブリッジでクルーだけで話すことに。
「隣のゲートに入ってる船なんだけど……」
「なにか問題でも？」
「ディノク家所有の機械船なのよ」
「ハーニオンにいたやつか？」

「そうみたいね」
　ハーニオンで追っ手をまいたのに、ここで合流する？
「だったらあの船で帰ってくれればいいのにな」とオルビク。
　なんか複雑なランダムシナリオだ。もしかして、ルシーの目的自体が、微妙にランダムになってて、それを統合してるのか？

　貨物の交換を終え、ルシーと話す。
「降りるのか？」
「いいえ。ポントスまで行って頂戴」
「じゃ、こっちは囮じゃないんだな」
「えっ！」とルシーが驚く。
「貨物の重量が増加してる。組み立てるのに合流したのね」と〈プカプカ〉。
「そんなとこだろう」

　ルシーは貨物の中味は教えてくれない。
「生体宇宙船を囮にするような真似はしないわ」
「君の口からそんな言葉が出るとは」
「私が嫌いなのは、パトローネだけよ」
　なるほどね。とりあえず使い捨てにされることはなさそうなので、ポントスを目指すことにする。

　どうも、チャーター客の期間が長いと、このシナリオばかり細かくなるなあ。もう少し気楽に旅をしたいし、今はまだジャンプドライブのならし段階なのに。
　でも、ヴォルクォーツがある間はジャンプドライブだけ育ってしまうなあ。しかたないか。

　ヴォルクォーツもだいぶ消費し、〈プカプカ〉のジャンプドライブはもうじき５。６にするには足りないから高いとこで売っちゃうほうがいいかも。
　ジャンプだけ高くてもジャンプ３しかできないんだが。やはりこの貨物を早く届けて倉庫に余裕を作りたい。

※ジャンプ３しかできないのは、パワープラントが３までしか育っていないから。

　ポントスへは一度には行けない。まずはブンウーへ。
　〈プカプカ〉は精製燃料を補給したので調子が良い。
「残念なお知らせよ。もうじき、冷凍肉がなくなっちゃうわ」
「ルタカには買い付けに行きたいな。ところで、ディノクの機械船は？」
「来てないわね」

「あっちが囮なのよ」とルシー。
　ブンウーは隣接する星域への入口で貿易の拠点。相手が何者か知らないが（教えてくれない）、ポントスへの航路は限られるから待ち伏せされている可能性も……と思っていたら、ガスジャイアントで遭遇イベント発生ときた。

　ランダムイベントを統合するシステムからすると……。
「おとなしく停船しろって。海賊かしら……」と〈プカプカ〉。
　あ～んやっぱりぃぃ！
「つなぐわね」
「こちらは自由貿易船〈プカプカ〉の船長だ。そっちは？」
「名乗るつもりはない。停船せよ」

「武器は？」
「ない」
　というかできてない。いったいあの武器は何なんだ？
「貨物を狙っている。逃げて！」
「無茶を言うな」
　と、ルシーと言い合っていると、〈プカプカ〉が――
「答えなさいルシー！　あの船を知ってるの？　海賊じゃないの？」
「ええ……」

　回線を切って相談――を選択する。
「あれは“連合”探査局の特殊部隊よ」
「“連合”に追われてる？」
「違法行為はしてないわ。彼らはメリオール社と組んでる。“連合”の意志では動いてない」
「どっちでもいいわ。あの機械船、本気よ」
「時間を稼ごう」

　狙いは貨物だ、下手な攻撃はできないはず。
　ところが敵は「こちらの武装は高性能だ。生体宇宙船の中枢を狙い撃つ」ときた。
「なんて連中なの！」と怒る〈プカプカ〉。
「やってみろ、こっちは積み荷をいつでも破壊できるんだ。そうだな、〈プカプカ〉」

「そうよ！　私の船倉は特殊に成長してるの。積み荷は粉々よ」
　〈プカプカ〉が、自キャラのハッタリにツーカーで応える。
　宇宙船との以心伝心、たまらん。
　敵船との交信でハッタリをかます行為自体が、そもそもたまらんのだが。カークにでもなった気分だ。

「馬鹿馬鹿しいな」
「信じなくても結構。ギャンブル好きなら試してみるんだな」
「そうよ、どうぞご自由に。中枢が焼けるまでに粉々にするわ」
　生体宇宙船の良いところは嘘がつけるところかも。丸腰だが外装は厚いので、あとは逃げる手があれば……。

※どこかで〈プカプカ〉が嘘をつきたがらないという話があった気がする。必要とあれば嘘をつける柔軟性がある、ってことだろうか。

　とりあえず、全力で離脱。ガスジャイアントへと向かう。まあ、飛びこんでも捕捉はされるだろうけど、撃ってこなければ動きはこっちのほうが速い。
「鬼ごっこなら負けないから！」と〈プカプカ〉。
　〈彼女〉は、ちゃんと心得ていた。危険だがあれしかないと。

「全員、身体を固定して」
「できるかい〈プカプカ〉？」
「誰にでも初めてはあるでしょ。失敗したら難破船だけど」
「私は船長だ。君と運命を共にするのは当然だが……」
　ルシーたちも反対はしていない。敵は威嚇のみ。狙い打ちはあちらのハッタリのようだ。

　敵が気づいたときはもう遅い。
　〈プカプカ〉は逃げながら、燃料のすくい取りをしていたのだ。そして、ガスジャイアントから離脱すると、近距離でジャンプを試みる。
　どこへ飛んだかも読めないジャンプ……。わざとやっても大丈夫なのか……？

2012-02-07～2012-03-12