舟崎泉美

小説家・脚本家・ライター。 小説『ほんとうはいないかもしれない彼女へ』(学研プラス)に…

舟崎泉美

小説家・脚本家・ライター。 小説『ほんとうはいないかもしれない彼女へ』(学研プラス)にて、第一回本にしたい大賞を受賞しデビュー。 小説や脚本を書いたり、作詞をしたり、映画を作ったり、アナログゲームを作ったりと、さまざまなクリエイティブに挑戦中。

マガジン

  • ひとりじゃ、生きられない。

    アナログゲームサークル「ひとりじゃ、生きられない。」に関連する小説を公開しています。

  • クリネタ連載小説

    過去に雑誌「クリネタ」にて連載していたショートショートをまとめてあります。

最近の記事

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はじめまして。

はじめまして。舟崎泉美と申します。 2014年に小説「ほんとうはいないかもしれない彼女へ」で第1回本にしたい大賞を受賞し小説家デビューしました。 現在は、小説や脚本を書いたり、作詞をしたり、映画を作ったり、アナログゲームを作ったりと、さまざまなクリエイティブに挑戦しています。 noteでは、これまで発表したけれど読まれる機会が減ってしまった小説や新しく書き下ろした小説をメインに掲載していきます。 どうぞよろしくお願いします。 これまでの実績はこちら。 http://f

    • 【小説】全ては土の中

      この物語はアナログゲームサークル「ひとりじゃ、生きられない。」で販売中のゲーム『冬虫夏草』に付属している小説です。 『冬虫夏草』は、「きのこ菌」が土に隠れている「虫」たちを見つけ、体を乗っ取り全滅させるボードゲームです。 「きのこ菌」と「虫」たちの”かくれんぼ”がはじまります! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー なあ、あんた知ってるか? 最近、この辺はヤバいらしい。なんたって、「きのこ菌」と「虫」たちの抗争が激化したって話だ。 タンポポがこの地に飛んで来た頃は

      • 【小説】みんな見てる。

         矢島綾は、孤独を感じていた。  それは、妻子ある男性との恋に溺れていたからだ。  綾は、仕事で知り合った一回り年上の水野尊と、一年前に恋に落ちた。  それ以来、綾は水野への一途な愛を貫き通していた。しかし、水野は口では「愛している」と言っても、妻と別れるつもりはなく、来年小学校に入る子どもにも溢れんばかりの愛情を注ぎ続けていた。どれだけ彼を好きでも、彼との愛に未来は見えない。そうと感じた綾は、日々、満たされない思いを抱えていた。  親しい友人にのみ、水野との情事を打ち明

        • 【小説】性格整形

          「これじゃ、視聴者に伝わらないだろ!」 「私の脚本ちゃんと読めてますか? 太田さんが理解できなくても、視聴者は理解できてますから」  会議室ではプロデューサーの太田と、新人脚本家の朱莉が言い争っていた。  二人の激しいやりとりは今にはじまったことではない。  朱莉と太田がドラマを作りはじめたのは、今から約半年ほど前のことだ。それから何度も何度も打ち合わせを重ね、ようやく脚本を作りはじめたのは一か月ほど前のこと。しかし、それからというもの二人の争いは収まる様子を見せず、延々と議

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        はじめまして。

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        • ひとりじゃ、生きられない。
          1本
        • クリネタ連載小説
          5本

        記事

          【小説】監視の館

           人々はどこへ向かうのだろう。その先に何があるのだろう。  西暦2018年。早朝のスクランブル交差点は、今日も人であふれていた。巨大なディスプレイには、笑顔でニュースを読む女性キャスターが映し出されている。 「史上初、人工知能のHALが世界的権威のある、ニュートン科学賞を受賞しました! これは新しい歴史のはじまりです。人工知能が人間を超える時代が訪れるかもしれませんね」  交差点の真ん中に立つ少年は、新たな時代の幕開けをただ茫然とながめていた。そして、彼の隣には、彼に腕をから

          【小説】監視の館

          【小説】シンデレラはいつだって

           おとぎの国に住むシンデレラは母が亡くなり悲しみの日々を過ごしていました。そんなある日、父は再婚。継母と義姉二人が家に来ることになったのです。しかし、再婚後、まもなく父も亡くなってしまいました。  シンデレラに残された家族は継母と義姉二人。どちらもわがままで自分勝手。シンデレラの気持ちなんてちっとも考えていません。しかし、シンデレラはわかっていました。この世で生き残れるのは、美人で優しくて素直な女の子だけだって。ご飯を作れて、お裁縫ができて、お洗濯にお掃除もできて、男性に尽く

          【小説】シンデレラはいつだって

          【小説】マリコの想い

           誰もいない車内で彼女はなぜ私の隣に座ったのだろう。  彼女を通り越し通路の向こう側をちらりと見る。平日の新幹線自由席は、人が少なく空いている。  この席に座らなければいけない理由。もしかして、それは私なのかもしれない。 「あの? どこかでお会いしましたっけ?」  私より一回りほど下、20代前半だろうか。とてもキレイだが、口元の大きなほくろが、やけに目出つ女性。少しうつむき加減の彼女を下から覗くように見る。  怒っているのだろうか泣いているのだろうか、唇をかすかに震えさせな

          【小説】マリコの想い