飼い慣らす不機嫌

普段は、たいてい、おおむね、機嫌よく楽しく毎日を過ごしているが、3ヶ月に一度ほど、どうにも手がつけられないくらい気分が地を這うことがある。

一瞬でも油断すれば堰を切ってあふれでるであろうドロドロとした気持ちを、どうにか表面張力で内側に留めおく。ときおりつくため息はガス抜きであり、心をかき乱されないよう努めて平静を保つ。たとえ不意に子どもが鉛筆削りのクズを床にぶちまけても、こんなのは想定内だという顔をして。

大丈夫、大丈夫と呪文を唱えるように、そろりそろり、なみなみ注がれたコップの水がこぼれないように。そのまま寝床にたどり着けたなら、今日はわたしの勝ちだ。

思い込みを吸い込み、未来を先取りしすぎて、実体よりもずいぶんと大きく膨らんだ不安や悩みたちは、しゅるしゅる縮み(消えはしない)、適正サイズで胸の隅に収まる。

ここ数年あちこちで見聞きする「自分の機嫌は自分で」という言説、分からなくもないけれど、ちょっとしたもやもやも感じてしまう。その根っこが、「周りに迷惑をかけないようにしましょう」っていうジャパニーズな精神性と結びついているような気がするからかもしれないな。

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