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フィロキセラと戦った歴史

昨日お話ししたフィロキセラですが、日本名をブドウネアブラムシというそうです。わずか1mmほどのこの虫が、19世紀後半ヨーロッパのぶどうを壊滅させました。

ワイン用のぶどうは大きく二つに分かれます。
ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis Vinifera)と呼ばれるヨーロッパ品種とヴィティス・ラブルスカ(Vitis Labrusca)と呼ばれるアメリカ品種です。
ワイン用に使われているほとんどがこのヴィティス・ヴィニフェラ種で、粒が小さく、糖度・酸度が高いのが特徴です。
※写真は今年9月に収穫した、いわばえのシャルドネです。

フィロキセラはもともとアメリカに生息していたアブラムシだったのですが、1863年ニューヨークから持ち込まれたぶどうの苗木に付着していたものが繁殖。耐性のないヨーロッパのぶどうの木は次々と枯れてしまったそうです。

フィロキセラは根に寄生するため、駆除も困難を極めました。ぶどうの木を守るために人々が講じた策は、継ぎ木。
アメリカ種の木の根に、ヨーロッパ種を継いだのです。
世界のほぼ全てのぶどうにこの措置が取られていますが、ごく一部の地域が自根を保ったまま生き抜いています。
フィロキセラが生育できない砂漠が周りにある地域や、地理的に孤立しているような場所です。その一つが昨日ご紹介したアンティドートです。

昨日まで最高の出来であったぶどうが、ザーッと降った雹によって一瞬で叩き落とされた話。今年はいい!と思っていたら、長雨に泣いた話。
でもそういう時こそ、くじけている間はありません。残されたもので、何ができるのか。全てを失ったとしても、何か他に手立てはないのか。
戦ってきた人がいるから、このワインがあるんだ。いつもそう思います。

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