![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/99132345/rectangle_large_type_2_829abea8e1d216d728551a2cf494d351.png?width=800)
人には平等に1日が24時間しか与えられない(3500文字)
あっちでもこっちでも相互フォローのカワイさんのこの日記の疑問にお答えしようと思った。
私は20代後半までバンドをやっていた。子供を産んだのは25歳の時、それまではフリーターみたいな生活でバイトしてない時間はずっと音楽に費やしていた。聴くにしても弾くにしても歌うにしても曲を書くにしても、音楽理論も勉強したりしてたしとにかくバイト以外の時間は音楽だった。
子供が生まれてからは子供を食わせないといけないので真面目に働こうと思って、それでフリーランスの通訳の仕事を始めた。その時点では「子供を食わせていけるならなんでもいい」みたいな感覚だったので、裏を返せば通訳でもミュージシャンでもどっちでもいいけどとりあえずたまたま通訳の仕事が来たから通訳をやることにした。
子供が1歳の時に保育園に入れたけど、日本の保育園という場所は「子供を預けてその間は仕事をする、つまり自分自身の人生を生きる、子育て以外に自分のアイデンティティを構築するのをサポートしてくれる場所」ではない。そうではない。そう作用してくれればいいけどそんなことはない。
持ち物や衣類全てに手書きで名前を入れさせられるのは当たり前、それどころか子供の遊び道具やバッグ、雑巾に至るまで、手作りを強要される。「お母さんが仕事で忙しいんだから、保育園に預けて離れている間はせめて手作り品に囲まれて親の愛情を実感させてあげてください」という呪いの言葉を吐き続けられ、保育園に預けてる間は仕事をし、夕方迎えにいって連れて帰ってきてからは子供と遊ぶ時間を削って手作り品の製作をしないといけない日が続く。連絡帳も当然毎日目を通し、手書きでの返信を強要される。一度、原稿を書くついでにパソコンで返信を打ってプリントアウトしてそれを連絡帳に貼り付けて持たせたら文句を言われた。「手を抜かないでください」「心がこもってない」と。なんでお前に心を込めないといけないんだ?と思うんだけど、理屈としては「子供を預かっていただいてる立場」に私たちは置かれていた。え?給料もらって労働してるプロじゃないの?そしたら対等じゃないの?私がへりくだる必要あるの?っていうかどうして日本て人間関係を縦にしか理解できないの?どっちかが上じゃないといけないとか法律で決まってないよ?対等でよくない?って思うんだけど多数決で私が負けるのは分かってるので口には出さない。
しかしそうやって「昼間子供を預けて子育てを丸投げしてるんだから楽はさせてやらない」とばかりに、保育園からの要求はとても多く、幅広く、時間を取られる。
そして当たり前だが、子供を預けている間は遊んでいるわけじゃなく働いている。子供を食わせないといけないので。そしてバンドのメンバーも各自、昼間は働いてるのでスタジオに入るのは夜、ライブも当然夜やるわけだが、親に子供を預かってもらうのにも日々、文句をブーブー言われるわけである。「音楽をやっている」というのを「遊んでる」とイコールに考える人たちってとても多くて、こちらが本気で精進していても、それは精進してるのではなく楽しそうに遊んでるにしかならないのだ。
保育園からの要求をクリアしながら、親に文句を言われながら、なんとかバンドの運営もやっていた。ボーカル/ギターってリーダーにされがちっていうのもあって私がスケジューリングとかライブのブッキングとかをやっていた。まあ私の仕事と子育ての都合をあれこれ言わなくて済むのでそれはそれで良かった。
その時点ではいくつかのレコード会社と話はしてたんだが、私の要望とレコード会社の要望が合わなかったりで決裂したり、通訳で仕事をいただいてたレコード会社洋楽部の中には「デビューしたくて通訳やってるの?」と訝ってくる人もいて「違います、仕事です」「じゃあもしウチの邦楽部からデビューのオファーあっても断っていいね?」「はい、結構です」という会話をした後に本当にそういう話が出て、怒られ「断っていただいて結構です、申し訳ありません」と平謝りしたこともあったりで
ここから先は
¥ 100
今日のパンが食べられます。