毎日笑顔で通える学校 〜自分に合った教育を選べる時代へ〜 ③
不登校児が全国で24万人。
学校に行けない、自分に合っていないと感じる子供が増えています。そして、その辛い思いを一緒に抱える親も増えています。
そのままの自分でいいんだと心から思える場所でのびのびと過ごしてほしい。毎日を笑顔で過ごしてほしい。そのように願う親は多いのではないでしょうか。
フリースクールちば森の楽校にも、ここに辿り着くまで長い時間悩み続けた保護者の方がいらっしゃいました。
「学校にうまく馴染めず、発達障害の診察を受けることを勧められました。養護教育センターで、一ヶ月に一度の診察を受け、1年後に発達障害の診断がついたんです」
「診断まで一年かかるんですね」
「そうなんです。診断がつくまでの一年間、親として私は今どうすればいいんだろう、今後どうするべきなんだろう、と悩む毎日でした。」
長い時間をかけて診断が下りた後も、親子で悩む日々は続いたそうです。
「診断がついたあと、通級(通級指導教室)で週一回取り出し授業をしてもらうことになりました。通級って、普段は普通学級で過ごして、一週間に一回だけ、呼び出されて他の教室で授業を受けるんですよね。ある時、ふと、うちの子は通級へ行く時になんて言って教室を出ていくんだろう、って思ったんです。それで聞いてみたんです、『みんなにはなんて言って出て行ってるの?』って。そしたら、『おれ、バカだから、違うクラスで授業受けないといけないんだよ、って出ていくんだよ』って言ったんです。
本当に胸が張り裂けそうでした。
うちの子をこんな気持ちのままにさせていいわけがない。
どこか、別の場所を探してあげないといけない。
そう思ったら、もう、いてもたってもいられませんでした」
しかし色々なフリースクールを見学に行っても、なかなか思ったような場所は見つからなかったそうです。その時、同じように子供の居場所を探していた仲間と、それなら自分たちで作ればいいじゃないか!と思い立ち、ちば森の楽校を立ち上げました。
「最初は私たちだけで、手探りで学校作りを始めました。でも、作って本当に良かった。うちの子は、それまでの表情が嘘のように毎日笑顔で楽しく過ごせるようになったんです。
この子を産んだ母親として、これまで自分を責める日々が続いていました。私がこんなふうに産んでしまったから、息子が苦しんでしまったんじゃないかって。でも、ここで生き生きと過ごしている息子を見て、そんな気持ちも徐々に消えていくのを感じました。
でも、ある時、息子が私にこう言ったんです。『ママ、ぼく、こんなふうに生まれてきてごめんね』って。そこで気づいたんです。私だけがそうやって自分を責めて苦しんでいたんじゃなかったんだって。実は、息子自身も、私に対して申し訳ない、そうずっと思っていたんだって。
息子は、そのままで良いんです。今なら本当にそう言うことができます。
普通の学校では、もしかすると、うまくできないことが多かったのかもしれない。でも、ここなら、自分に自信をもてて、今までできなかったことも沢山できるようになりました。それに、できないことがあったって良いと思うんです。いろんなデコとボコのある人たちがいて、それぞれのデコとボコを補いながら、一緒に生きていく社会でいいじゃないですか。私は、そんな社会になって欲しい。そうなれば、きっとどんな人たちも生きやすい社会になるんじゃないかと思っています。」
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