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20240128

日曜日、曇り。
用事があり、友人と二人で都営三田線の千石駅へ。通っていた高校がある街だ。この駅に降りるのは30年ぶりだと気がつきさすがに驚く。30年かあ。3年間通った高校だ。いろいろなことがあった時期で、多感で、楽しくて、楽しくなかった。毎日のように通っていた個人商店のようなコンビニのような店はもうなくなっていた。そこでいつも菓子パンやみたらし団子を買って食べていた。とにかく団子ばかり食べていたのではないか。

東洋文庫の中にあるレストラン「オリエントカフェ」に行く。セットの名前がいい。「マルコポーロセット」(オムライス)「プチャーチンセット」(魚料理)「エカチェリーナセット」(シチュー)。どういうことなんだろう。私が一番惹かれたのは「ペリーセット」だ。ステーキ。名前だけで選んでくださいと言われたら、ペリーだなあ。でも私は黒豆ときなこのアイスクリームを注文。これがべらぼうに美味しかった。

その後古本屋「青いカバ」さんへ。魅力的な本が並び、何を購入したらいいか迷いに迷う。店主さんと楽しくお話もさせていただき、至福の時間を過ごす。欲しい本ばかりだ。ここに住みたい。逡巡の結果、ずっと未読だった萩尾望都「バルバラ異界」三冊セットと小島信夫を購入。お店のロゴがプリントされたサコッシュも購入。夫には山田太一さんが書いた「ふぞろいの林檎たち」の企画書が掲載されているシナリオ雑誌(昭和58年刊行!)をお土産に購入した。帰り道、なぜ私はリョサやボラーニョを購入しなかったのか、セリーヌ・シアマ特集や柳家小三治特集のユリイカもやっぱり読みたかったなあと、なぜ買わなかったのかの嵐。出会ったのに、手にとったのに。うちに持って帰ればよかったな、いつかゆっくり読めばいいじゃんかと後悔する。他にも素晴らしい本がたくさんあった。図版や写真集など、手に取り、その古さに感動したり、紙のざらざらした感触を確かめたり、その時代のフォントを感じては、呼吸したり。幸せだった。自分は本の全てが好きなんだなと思った。

用事を済ませ、友人とおしゃべりをして帰る。母校、小石川高校はもうない。中高一貫校になった時に小石川高校というものはその歴史に幕を閉じたのだという。寂しいとは思わない。ただただ、不思議な3年間だったなと思い返す。青春の輝きとかそんなものはなかった。学校をサボって池袋の本屋で立ち読みしながら、ただずっと頑張っていた。そんな記憶。


特に真ん中、感慨深い

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