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利己と利他

今回の記事では、「利己」と「利他」の違いと、その違いによって生まれる行動の差などを、言葉自体の定義から挙げて考えてみたいと思います。
*この記事では後半に有料部分がありますが、前半の約3,000文字程度は無料で読むことが出来ます。

言葉の定義

まずは言葉の定義から。

利己とは?

りこ‐てき【利己的】
[形動]自分の利益だけを追求しようとするさま。「―な生き方」「―な態度」

『デジタル大辞泉』小学館

利他とは?

りた‐てき【利他的】
〔形動〕 自分を犠牲にして他人の幸福・利益のために尽くすさま。

『精選版 日本国語大辞典』小学館

利己と利他は対義語になるかどうか?は様々な意見があるようですが、
ここでは利己と利他は対義語である、というように考えて以下にまとめていきたいと思います。

利己的な考えとそれから生まれる行動

利己的とは、自分の利益だけを追求しようとするさま、とあり、なんかめちゃくちゃ良くない言葉としてイメージしやすいですが、これは業種や状況によっては利己的な考えが必要な場合もあるかと思います。
#サッカーのフォワードとか
#究極のエゴイスト

しかしここでは医療・介護・福祉の中での話をしたいため、やはり利己的というと良くないイメージになるかと思います。
なぜなら、医療も介護も福祉もいずれも病気や障がいなどをお持ちの方に向けた分野だからです。
どの病院でも施設でも、その理念として患者様やご利用者様主体になるような支援などを行なうと書かれており、利他的に考えて行動できる人が圧倒的に向いている仕事だと思います。
*ここで補足
利他的=自分を犠牲にして他人に尽くすと定義にはありますが、医療・介護・福祉では自分を犠牲にするスタッフは長続きせず、決してこれを推奨するものではありません。利己的と比べて利他的な方が、つまり他人のためを思って行動できるかどうか?という点が非常に重要な考え方だと思います。

利己的な人の考えや行動としてよくあることが、
・頑張ってもどうせ給料は変わらないから適当でいいや、とか
・この方法がより治療効果が出やすいけれど自分が疲れてしんどいからいいや、とか
・説明するのに自信が無いから、なるべく相手が聞いてくるまでは黙っておこう、とか

他にも色んなパターンがあるとは思いますが、これらの利己的な行動を取ってしまう原因はその働く仕組み・労働環境にあるんじゃないかと思っていて、うちの会社では色々とその対策を打ってきました。

上の例で言えば、
・頑張って働くことで手当が増えるインセンティブや人事評価の仕組み
・より効果の高いと思われる方法についてスタッフ間で意見交換を出し合う集まりを週1回は必ずつくる
・利用者さんから訴えが出る前に、あらかじめしっかりと準備したり説明して進められる時間管理をする
こんな感じですかね。

そもそも医療・介護・福祉に携わる方たちは利他的な考えがベースにしっかりとあると信じていて、ただしその働く労働環境等によって(図らずとも)利己的になってしまうのではないか?というのが私の根本的な考え方でした。
つまり、私のプロフィールにも書いていますが、根源的に利他的な考えを持っているスタッフが働きやすい環境を考え実現するのが経営者の仕事であり、それをすることで自然と利他的な行動をとってくれるスタッフが育つ=サービスは人が作り出すもの、に繋がると思っていました。

が、実はそれだけでは無かったようです。それでも利己的な考えが表に出て行動してしまう人はいます。

なぜ利己的な考えになるのか?

いくら労働環境を整えたとしても利己的な考えや行動をしてしまう人がいる、
それはなぜなのか?
この記事には有料部分があるのですが、そこを書いているうちに徐々に整理できるようになってきて1つ見えてきたものがあります。
それは「余裕が無い(少ない)から」です。

利己的な人ほど、身体的にも精神的にも経済的にも社会的にも余裕が無い(少ない)状態に陥っていて、
・間違いや失敗を指摘されたくない
・他人や環境や制度のせいにする
・感謝しない、出来ない
こういうふうに繋がるのかなと思います(他にもあるとは思いますが)。
上記のような利己的な人の特徴はすべて「何らかの余裕が無い(少ない)」ために起きているのではないかと思います。

また余裕が無い(少ない)人というのは、今の未来が見えない日本の中ですでに現れ始めている徴候の1つなのかなとも感じました。
物価が上がり、給料は増えない(経済面)。
年金がいくら必要でもらえるのか、貯金もなかなか出来ない(経済面)。
今の職場はしんどい、けど転職したらどうなるか分からないから出来ない(身体面・精神面・経済面・社会面のすべて)。
親に色々と言われる、配偶者に色々と言われる、子どもに色々と言われる(経済面以外)。

もともとの性格が楽観的な人はともかく、
生真面目で我慢強い日本人であっても最近の経済や生活の中で「本当に余裕が無くなってきている」ために、利己的な考え・行動を取ってしまう(というか取らざるを得ない)人が出てきているということでしょうか。

結局大事なことは何か?ですが、どんな時代でどんな未来があるかどうか分からない中であっても、常に自分で考え、自分の足で行動し、自分で振り返り、自分で改善し続けていく、ということなのかなと思います。何が正解で何が間違いかなんて誰にも分かることではなく、自分の人生は自分で責任をもって決めていく、ということが非常に大事だと思います。というかそれが全てだと思います。
こんな分かった風なことを書いていますが、以下の本を2回読んだうえで上記のような文章にたどり着いています。本のタイトル名は怪しく見えますがオススメ書籍なので良ければぜひご一読ください。
#怪しいとか言って
#著者さんごめんなさい

*本文の中に「固定観念の解除」という部分がありますが、個人的にはそこがとても刺さりました

利他的な考えがどうやって身につくのかは不明

ではどうすれば利他的な考えや行動が取れるのか?
「利他」という言葉は上記の本の中には全く出てきませんでしたが、ヒントはこの本の中で得られるような気がします。

もともと利他的な考えを強く持っている人→気づいているステージに上がりやすい人
上記の式は間違いなく当てはまると思っていますが、

気づいているステージの人がそのままイコール利他的な人、というわけではないとは思います。
#この本を読まないと意味不明
#気づいている人って何に気づいているの

「余裕が無い」と利己的になりやすく、「余裕があれば」利己的になりにくいとは思いますが、だからといって利他的になれるか?というとそういうわけではないと思います。

どうやったら利他的な考えが身につくのか?
この命題は医療・介護・福祉の世界で人材育成などに携わる人にとってとても重要だと思われます。
答えはまだ分かりません。これから見つけていきたいと思います。

なお、入職の際に求職者が利己的なのか利他的なのかを見分ける方法については何となくありそうなので、色々と試行錯誤しながらやっていきたいと思います。

*ここから先の有料部分では、今回の「利己」や「利他」について考えるきっかけになったエピソードを書いています。
たぶん面白くない内容になっています。よほど読んでみたいという方以外には全くオススメできません。
それでも良ければどうぞ。

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