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集中と分散のコントロール

社内で通訳を始めたばかりの頃、クライアントでもあり半ば友人でもあった同年代の女性から、私は集中力を高めるともっと良いパフォーマンスができると助言を貰いました。

確かに通訳中に集中を削ぐような要素は沢山あり、当時はいちいち集中を削がれていました。社内会議なので、会議中の出入もありますし、隣で必死に議事録を取る方の動きを止めるわけにもいきません。最近ではビデオ会議に移行して音に集中しやすくなりましたが、色々な通知音も聞こえます。

これは極端なエピソードですが、昔、壇上でかなりフォーマルな逐次通訳している最中に、新人の営業担当さんから話しかけられて、音声を聞き逃したこともあります😅

そんな集中力へのリスクを排除できない場合に頼りになるのが何をも突き通さぬ集中力なのだろうと思い立ち、その後、ヨガ、筋トレ、高所アスレチックなど、色々試みて、折れにくい心は、ある程度、獲得できたような気がします💪❤️

しかし、安定した訳出や対応をするという意味では、通訳者になってから並行してタスクを回さないといけない場面を何度も経験したのが、一番役に立ったようにおもえます。

そこで体得したスキルは、集中力自体を高めるというより、異なる経路に異なる強度で集中を分散させる行為を、かなり無意識的にコントロールするものです。

話をわかりやすくするため、一般的に想像しやすい極端な比喩を使います。これ、実際やると危ないから、絶対やらないでください🤭

その比喩とは、傘を刺しながら、滑りやすい路面を生憎靴底が剥がれてしまったハイヒールで歩きながら、歩きスマホでメールに返信し、NHK world newsのシャドーイングを継続しつつも、前をしっかりみて人とぶつからぬ様に注意を払い、3分後のアクションを考えながら進んでいく、みたいな感じです。

マルチタスクという意味では、ヒトの身体で色んな臓器や組織が24時間365日フル稼働しています。そんな臓器様達は私が挙げたような比喩よりももっと複雑な情報を処理して狂いなく対応しています。

ヒトのDNAに刻まれたその働きのように、意識せずに通訳と並行して複数のタスクがこなせるようになるには、例えば英字新聞を読みながら全く違うレクチャーをきいて後で両者のサマリーができるか試してみるなど、負荷をかけた練習を一定期間継続するのも一つの選択肢かもしれません。

実際そのような訓練を通訳学校で経験したことがあるという話を通訳仲間からきいたこともあります。

通訳者を志すかどうかは別にして、集中力は普遍的な課題ですね。今、ランチ後に筋トレをして猛烈に眠気が襲ってきました。私の集中力、お仕事が終わる2時間後までは持続しますように🙏

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