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新型コロナウイルス患者を治療している医師に聞いた治療薬開発の見通しと感染予防法

実際に患者の治療にあたっている国立国際感染症センターの忽那賢志(くつなさとし)医師に治療薬開発の見通しや正しい感染予防について聞いた。(写真はHPより)

Q:ワクチンと治療薬開発の見通しは?
A:有効かもしれない候補はいくつかあるが、臨床試験が必要。数か月では無理、最低でも半年くらいかかる。一般的に使えるようになるのには時間かかると思う。
Q:ワクチンについてWHOは18か月(1年半)ぐらいかかるとしているが?
A:MARSは2012年に見つかって、ワクチンも開発されているが、まだ、いいワクチンとは言えない。開発にはかなり時間がかかるもの。例えば、4年前のリオデジャネイロ・オリンピックの時に「ジカ熱」が流行ったが、あれもまだ、ワクチンで有効なものが作られれていない。開発には、そのくらいのスパンがかかる。ワクチンが出来たとしても、あまりいい効果が得られなかったりとか、いくつかワクチンを作ったとしても、それを実際に投与してみたところで十分な効果が得られないということも多々あるので、ワクチンの開発は難しい。
Q:WHOの18か月というのは短い方か?
A:最短で18か月ではないか。

Q:マスクの効果は?
A:マスクはもちろん効果はある。感染している人が咳とかくしゃみをしている時に飛沫という形でウイルスが出てくるので、その飛沫をしっかり抑えるために付けるもの。しっかりと覆われていれば、そこから周りに拡がらない効果はあるので、症状がある方に関しては、使った方がいいというか、むしろ使ってもらいたい。一方、症状がない方の場合、特に咳とくしゃみとかないような人に関しては、これは感染症の予防につながるという証拠はない。鼻とか口周りにしっかり覆われていて、病原体が入りにくいというイメージはあるが、付けている人と付けていない人と比べて、インフルエンザなどの発症率には差がないという研究が多い。
Q:適切なマスクの使い方は?
A:ずっとマスクを付けっぱなしにしていることが多いと思うが、例えば満員電車などで、咳とか浴びたりして、表面がウイルスやばい菌で汚染されているような状態でずっと付けっぱなしにしていたら、マスクを手で触ることで目から入ったり、鼻を触ったりした際にウイルスが入り、結局、マスク表面のばい菌に触れたりすることがあるのかなと思う。ちゃんと適切にこまめに使えば効果はあるかもしれないが、ずっと付けっぱなしにしているだけでは、あまり効果はない。
Q:アルコール消毒については?                   A:アルコールの方が、殺菌効果自体は高いが、手洗いでも大丈夫。30秒間しっかり洗うことが大事。アルコールは少量でも消毒効果は高いが、どちらかというとちゃんとこまめに手洗いすることの方が大事。

Q:「エアロゾル感染」について中国メディアなどが感染の可能性を伝えているが?
A:「エアロゾル」イコール空気感染のように思われているが、全く別の物。特定の環境でしかエアロゾル感染はしない。例えば、医療行為で人工呼吸器を使うときなどに口の中に管を入れる際などにウイルスの混じったエアロゾルが発生することがある。そういう状況では空気感染に準じた対策が必要になる。普通に暮らす中で空気感染対策は必要ではない。医療従事者は気をつけなければいかないが、一般に暮らす方々がエアロゾル感染することはない。

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