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GDP戦後最悪マイナス27.8% その裏側にあるものは・・・

内閣府が発表した2020年4月から6月期(2020年度第1四半期)のGDP=国内総生は年率換算でマイナス27.8%とリーマンショック直後の2009年1月から3月期の17.8%を超える戦後最悪の落ち込みとなった。その裏側を読み解く。

〇新型コロナが個人消費を直撃
この数字が表すものは、まず新型コロナウイルスの感染拡大による影響がいかに大きいかだ。リーマンショックは言わば人災だったが、今回はウイルスのパンデミックがもたらしたもの。グローバル化が進む中、コロナで人の往来がなくなり、貿易などモノの移動が制限されることの影響を思い知らされた結果と言える。特にコロナが個人消費を直撃したことが大きな痛手となった。政府は一人一律10万円を支給するという「特別定額給付金」を打ち出したが、消費の底上げにつながったとは言いがたい。

〇景気回復“戦後最長”の幻で消費増税
「アベノミクスは戦後最長の景気回復になった」こうした声が聞かれたが蓋を開けるとそうではなかった。内閣府は有識者による「景気動向指数研究会」で国内の景気が拡大局面から後退局面に転換する「景気の山」が2018年10月だったと判定した。結局、戦後2番目に長い5年11か月となった。この景気が後退する中で2019年10月に消費税を8%から10%に引き上げたことになる。今年6月まではキャッシュレス・ポイントの還元事業など緩和策を講じたが、終わってみると大きな効果があったとは言い難い。個人商品は約530兆円とされる日本のGDPの半分以上を占める。これをコロナが直撃した。

〇GDPは経済を反映しているのか?
GDPは本当に経済の実態を映していのるかという疑問もある。国内で一定期間に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額のため、日本企業が海外で生産したモノなどは含まれていない。またコロナ禍で消費が冷え込む中、メルカリやヤフオクなどで購入する人が増えているという。しかし、こうした売買はGDPには含まれない。運営サイトなどが受け取る手数料はGDPに算入されるが、中古品売買で生じた代金は算入されないからだ。

〇コロナ後のV字回復はあるのか?
リーマンショックの時はGDPが元の水準に戻るまで4年ほどかかった。政府はV字回復を目指すとしているが、エコノミストの多くは「回復するまでには数年はかかる」と見ている。とにかく感染を収束させることが先決であり、GoToキャンペーンのような“感染拡大策”と揶揄されるような対応をとっている場合ではないのかもしれない。

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