![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68829351/rectangle_large_type_2_f0ea13051171346acefb743be8ac7d6e.jpg?width=800)
恐怖症克服のために「認知行動療法」をやってみた!
「恐怖症」というと「高所恐怖症」などを思い浮かべる方が多いと思いますが、私は「注射・病院・診察」などの恐怖症です。「注射」の恐怖症の方はそれなりに多いと思いますが、「病院・診察」までも「こわーい!」と感じるのは、なかなか珍しいかも。。。しかも、私の場合は「恐怖」を感じるだけでなく、ひどい時は「血管迷走神経反射」という状況が起こり、「失神」して記憶を失うことも多数。
そんな私ですが、今年、初めてメンタルクリニックに3か月間通って「認知行動療法」という治療を受けてみました。けっこう大変でしたが、自分ではだいぶ「恐怖感」がなくなった気がします。
私と同じ症状の方は少ないんだろうなーと思うのですが、1人でも困っている方のお役に立てればと思い、自分の経験をお伝えしたいと思います。「認知行動療法」の説明などはホームページを検索すればたくさん出てくるのですが、実際に体験した話などはほとんどないと思うので、少しでも参考になれば嬉しいです。
1 「恐怖症」とは
ある特定の状況や対象に過度な恐怖を感じ、その恐怖によって生活や精神状態に支障が生じてしまう病気の総称のようです。「高所恐怖症」が有名ですが、「対人恐怖症」「広場恐怖症」など様々なものがあるみたい。生活などに支障がなければ特に治療は不要なようですが、支障がある場合は治療が勧められています。
2 私の症状
小さい頃から病院や注射が苦手(もう数十年も)。「恐怖」を著しく感じ、恐怖感が強い場合は「血管迷走神経反射」という状況が起こり「失神」してその場で倒れてしまいます(よく小学生の時に朝礼で倒れる子がいたかと思いますが、あれと同じ症状)。
「恐怖」を感じるものとしては、恐怖感が強いものは、「健康診断の採血」「病院の診察、治療(他人のお見舞いなども含む)」などですが、病院に行かなくても例えば、「喫茶店で隣に座った人が病気の話をしているのを聞く」「医療系ドラマを見る」なども「恐怖」。「病院の診察券を見る」「人形を使った人工呼吸の体験授業」「自分の血管を見る」などだけでも「恐怖」だし、昔は「献血センターの前を通る」だけでも、緊張感が高まり辛かったです。。。
3 メンタルクリニックに通おうと思ったきっかけ
ズバリ「ワクチン」です。コロナ禍でテレビではワクチン接種の映像ばかり流れ、自分も打たないといけないと思っただけで「恐怖」。「職域接種」などのニュースもあり、自分の職場でも「職域接種」が始まったら、職場内で「ワクチン」の話題が飛び交いそうで、それを考えただけで「恐怖」。
といっても、自分の症状が「恐怖症」ということは知らず。。。今まで病院などで何度も失神で倒れているのに、「恐怖症だから心療内科に診てもらった方がよいですよ」など教えてくれることもなく、ネットで自分と同じ症状の人がいないか調べても全然見つからず。。。なので、精神的な症状(病気)ということは考えず、自分が変なだけだなーと思ってました。
ある日、たまたまネットで「血、注射などが苦手な恐怖症」を発見。 「おーっつ!!自分はもしかしたら、この症状なのか?!」
思い切ってメンタルクリニックに行ってみました。
4 メンタルクリニック受診
「行く」といっても、ネットで調べるとメンタルクリニックはたくさんあるし、どこへ行ってよいのか。。。行きやすくて、病院がキレイで、先生が優しそうなところ(ネットで先生の写真をチェック(笑))を選んでみました。
それでも行く前は、かなり敷居が高い・・・。でも、行ってみると先生は怖くないし、心理士さんは丁寧に話を聞いてくれるし、結果的にはとても居心地が良い場所でした。自分が悩んでいることを誰かに聞いてもらえると、それだけで気持ちがラクになるんだなーとも思いました。
「恐怖症」の治療はクスリを飲む場合もあるらしいのですが、私の場合はクスリは飲まずに「カウンセリング」が中心。
治療は、何十年も恐怖に感じているものを乗り越えるため、自分にはけっこう辛かったですが、効果もかなり実感でき、思い切ってチャレンジして良かったです。
<治療内容の概要>
〇治療方針:認知行動療法
〇初診:先生との面談(30分程度)。その後、臨床心理士さんとの面談(30分程度)
〇2回目以降:週1回通院(結局、初診も含めて12回通院・約3か月)。
毎回、臨床心理士さんによるカウンセリング(50分程度)+先生の診察(5分程度)
※ただし、通院するだけでなく、自宅での宿題(内容は臨床心理士さんと相談して決める)をすることが必要
※通院回数は、通常は12回程度のよう
※必ず「週1回」でなくても良いようですが、「週1回」の方が効果が高いよう(間が空くと、宿題の結果などを忘れてしまうなど)。あと、私の場合は、宿題をし続けるのがつらかったので、通院時に臨床心理士さんや先生が「1週間頑張ったね」と褒めてくれるのをモチベーションにしてました。
〇費用:「先生の診察」は保険対象ですが、「カウンセリング」は保険がきかなかったので、1回の通院であわせて1万円ぐらい(カウンセリングの金額は病院にもよるようです)
<認知行動療法とは>
思考や行動の癖を把握し、自分の認知・行動パターンを整えていくことで治療効果をあげていくものです。専門家ではないので、詳細は省略しますが、国の「認知行動療法センター」のホームページなどに詳しく説明があるので、良かったらご覧ください。
認知行動療法にはいくつか種類があり、私はそのうちの「暴露療法」(恐怖に慣らせていく治療法)に取り組みました。
5 治療の進め方
私がやったことは、大まかにいうとこんな感じ。
① 自分が恐怖と感じることを書きだす
② ハードルが低いものから家で練習する(宿題)
※宿題の内容、結果はノートに記録
③ 毎週の臨床心理士さんとのカウンセリング
宿題をやってみて感じたことなどを臨床心理士さんと話し合い、次回の宿題を決める
④ 上記をやりながら、自分の思考のクセを把握し、修正していく。
⑤ 対応方法を身につける
<①自分が恐怖と感じることを書きだす>
・「血管」「採血」などの文字や写真を見ること
・「医療系ドラマ」を見ること
・自分の血管を見ること
・病気や治療に関するネット記事を読むこと
・喫茶店で隣の人が病気や治療の話をするのを聞くこと
・採血や注射の映像を見ること
・ワクチン接種をすること
・病院の診察を受けること
<②ハードルが低いものから家で練習>
・上記を順番にチャレンジ
・やってみて思ったこと、身体の反応などをノートにメモ
※ノートへのメモも含め1日30分~1時間程度
(恐怖感が強くて、ちょっとやっては休むの繰り返しでしたが)
※心と体はつながっているので、宿題をしながら感じた「恐怖」により、「吐き気」「頭痛」「緊張」「怖くて叫ぶ」などの身体の反応がけっこう出ていました。なので、宿題がつらいつらい。。。通院中の3か月は、気力も体力も低下し、「苦手なものに立ち向かうのは、こんなにも自分からエネルギーが奪われるものなのか!」と何度も思いました。
紙に苦手な言葉を書き、テレビの横に置いて毎日見る練習。最初はこれを見るのも怖かった。。。
恥ずかしいですが、ノートのメモの一部。。。こんな感じでずっと記録をつけてました
<③毎週の心理士さんとのカウンセリング> ・ノートを見ながら、臨床心理士さんと宿題をやって感じたこと、身体の反応などをディスカッション
・「次回の練習では、こうやってみようか」などのアドバイス
<④自分の思考のクセの修正>
臨床心理士さんに言われて一番びっくりしたのは、
「倒れてもいいや!」「気持ち悪くなるかもしれないけど、まあいいや」
という気持ちをもてば良いということ(倒れないようにしたり、気持ち悪くならないようにする努力はしなくて良い)。
ずっと「倒れたらどうしよう」「気持ち悪くなったらどうしよう」とか考えてきたけど、それが「思考のクセ」。その不安や恐怖の気持ちが、さらに自分の不安が恐怖を高めて悪循環になっていたよう。
心理士さん「倒れたらなんでダメなの?」→私「人に迷惑をかけるから」→心理士さん「目の前の人が倒れたたら、あなたは迷惑だと思う?」→私「それは迷惑と思わないなぁ」→心理士さん「倒れたらダメというのは思い込みなんじゃない?」→私「確かにそうかも」
こんなやりとりをしてました。確かに自分で自分にルールを作り、自分を縛ってたりしますよね。。。
<⑤対応方法を身につける> 「恐怖」を感じたら、以下を行うことを練習する。
① 深呼吸をする(吐く時間を長く)
② 「倒れたらどうしよう・・・」などを思ったら、その不安に反論
(例)「倒れても死ぬわけではないから大丈夫」などを自分に向けてつぶやく
③今に集中する
不安や恐怖の正体は、「将来の想像(また倒れたらどうしよう・・)」か「過去の経験(前に同じような時に倒れた)」から来るものなので、「今」に意識を集中
(例)「今の自分の身体は具合が悪くない」と診察中に自分の身体をリアル に確認
こんな練習を何度も何度も何度もしました。最初は全然できなくて、「怖い!!」と思ったら「反論」とかしている余裕がなくて「恐怖」で頭がいっぱい・・・という感じでしたが、ちょっとずつちょっとずつ。
何度も練習をしていくと、「恐怖」を感じた時の対応方法が身についてきます。
忘れないように自分でまとめた資料
臨床心理士さんや先生が、「今週も頑張ったね!」と毎週褒めてくれて、それをモチベーションになんとか頑張れました。臨床心理士さんや先生との相性は大事だなーと思いました。
6 治療の効果
「恐怖」に思っていたことも、何度も繰り返して慣れていくと「恐怖感」がかなり少なくなりました。医療系ドラマなども最初はほとんど見られなかったのが普通に見られるようになったし、採血や注射の映像も最初はyou tubeで検索すらできなかったのが、今は見ても恐怖をほとんど感じなくなりました。ワクチンも無事に2回接種できたし、病院でも最近は倒れたり気分が悪くなったりすることがなくなりました。
つらくても頑張って宿題をやったことが「自信」につながっているし、少しずつできるようになったことで「過去の倒れた記憶」などが「上書き」されている気がします。
「苦手なことも繰り返していけば、ちょっとずつできるようになる!」
私と同じように困っている方がいらっしゃったら、ぜひ、メンタルクリニックに相談に行ってみてください。「こんなことで病院に行っても良いのかな」と私も最初はとても不安でしたが、先生や心理士さんは普通に受け止めてくれるので大丈夫です!
私も、まだ「恐怖」が全部なくなったわけではないので、一緒にがんばりましょう!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?